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- 土居バイオアシンメトリプロジェクト
総括責任者 土居 洋文
((株)セレスタ・レキシコ・サイエンシズ 代表取締役社長)
研究期間:1995年10月~2000年9月
生命における非対称性を指標にして、様々な生物種で、各種の生命現象を解析しました。哺乳類の初期発生における非対称性の出現を遺伝子レベルから探るために、マウス初期胚で発現している約25000個のcDNAの部分塩基配列を決定し、胚の体軸形成に関連する遺伝子や約4000の新規遺伝子を見い出しました。また、非対称分裂をする出芽酵母を用いて、酵母の老化過程で変動するmRNAをDNAマイクロアレイ法を用いて同定し、同方法を支援、解析するソフトウエアを独自開発しました。さらに、古細菌、線虫、分裂酵母を用いて、非対称分裂や非対称分配などに関わる新規遺伝子を見い出しました。
また、ゲノム情報のもつノンランダム性に基盤をおいた新しい理論を構築しました。これらの成果はポストゲノム時代を担う新しい考え方を提示するものと思われます。
マウスの初期発生で発現している約25000個のcDNAの塩基配列(部分)を決定し、胚の体軸形成に関与すると考えられる遺伝子や約4000の新規遺伝子を見い出した。
非対称分裂をする出芽酵母を用いて分裂回数の異なる細胞間で変動するmRNAをDNAマイクロアレイ法を用いて同定した。同方法を支援、解析するソフトウエアを開発した。
ゲノムの塩基配列やアミノ酸配列をオリゴヌクレオチドやオリゴペプチドの集合として捉え、頻度解析することにより、遺伝子の複製開始点や蛋白質の活性に関わる領域を予測した。
細胞分裂の分裂中心である中心体の新規な構成蛋白質を同定した。また、RNA干渉法を用いて線虫の卵形成に関わる一群の遺伝子を見い出した。
分裂酵母の挿入突然変異法を確立し、有性生殖過程がうまく遂行されない変異体を得た。その中には胞子形成時の核の分配などに非対称性を示す株があり、原因遺伝子を同定した。
超好熱性古細菌のDNA複製酵素やヘリカーゼを用いて核酸との非対称な結合様式を解析した。古細菌、線虫でアミノ酸組成に偏りのある新規のRNA結合蛋白質を見い出した。
▲DNA複製の非対称性と細胞分化
▲Pfu DNA合成酵素の活性部位の立体構造モデル。珍しいアミノ酸残基を色分けして示した。
▲出芽酵母の老化に関与する遺伝子のゲノムレベルでの発現の解析(マイクロアレイ法を用いた)。