科学オリンピックだより
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「科学オリンピックだよりvol.19」
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平成30年を振り返り 令和時代、科学はますます重要に

昨年に続きパネルディスカッションのモデレーターを務めた池上彰氏は、「今日は、令和という新しい時代に日本の科学技術の進む方向を皆さんと話したい」と口火を切り、山中氏に「平成が日本の科学技術にとってどのような時代だったのか」と質問を投げかけ60分間にわたる意見交換を始めました。 平成元年に研究医になることをめざして、大学院に入った山中氏にとって、平成の30年間は正に研究者としての道のりそのものでした。それを踏まえ、「克服できると思ったがんで未だにたくさんの方が亡くなっています。一方でヒトゲノムの解析は一晩もあればできるようになりました。 30年のうちにはいろいろ革新的なことが起こりましたが、それは予想できませんでした。この令和の時代に何が起こるか楽しみでもあり、怖くもあります」と率直に応えました。 「科学の進歩ととともに、科学者の責任はますます重くなっていますね」という池上氏の投げかけに、「資本主義社会を支えているのはイノベーションであり、その原動力として科学は欠かせません」と、科学の責任が重くなったからといってその進歩が止められるものではないと語りました。

イノベーションに話が及んだところで、チャン氏から、「イノベーションというのは皆さんの生活の不便なところを解決し、豊かにするもの」と説明があり、「その中で、日本の開発者はまだ世界をリードする立場にはないのではないでしょうか」とグローバル企業の社長という視点から、日本のイノベーションに対する厳しい指摘がありました。 これに対して岩間さんは、「国際生物学オリンピックに参加した際に、ほかの国の生徒が物おじせすに発言するのをすこいと思いました。また、自分の専門の生物学は、今や化学や物理、情報なくしては研究できない時代になっており、イノベーションには分野融合が必要だと感じているし、 今後は高校教育でも教科をまたいだ授業を実施して欲しい」と意見を述べ、末松さんも、国際化学オリンピックフランス大会での優秀な生徒達と出会ったことや、ご当地問題としてフランス産のワインの成分を分析する実験問題に取り組んだことなどの体験を紹介しながら、 「海外を見ると日本が見えてくる」とし、2人共に国際科学オリンピックヘの参加を適して、日本と世界の違いを体感できたことの意義を伝えました。