採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

早稲田大学

2024年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和6年度(2024年度) 新規RNA-タンパク質複合体解析技術の開発と創薬スクリーニングへの応用
採択課題紹介(531KB)
早稲田大学
理工学術院
次席研究員
小野口 真広  
SARS-CoV-2などの新興ウイルス感染症は、広範な人間活動に多大な脅威をもたらすリスクが存在する。新興ウイルスの治療薬開発は、感染症発生からできる限り早期に実現する社会的ニーズがあり、変異株の出現にも迅速に対応する必要がある。申請者らは最近独自に、任意のRNA配列に結合するタンパク質複合体を、安全、迅速、かつ定量的、網羅的に数百~数千ヌクレオチドの解像度で同定する新規手法を開発した(特許出願中)。本提案では、上記技術(シーズ)をさらに洗練させ、任意のRNAウイルスに対する治療標的となるRNA-タンパク質複合体を、安全、迅速、かつ網羅的に同定する手法を開発する。さらに、低分子化合物のスクリーニング系と組み合わせることで、RNA-タンパク質結合阻害活性をもつ抗ウイルス薬の開発を大幅に短縮化する技術を創出することを目的とする。また、ウイルスのみならず、がんや神経変性疾患などRNA変異が治療標的となりうる疾患への応用も検討する。
令和6年度(2024年度) 2型糖尿病の根治を目指した膵β細胞増殖活性化剤の開発
採択課題紹介(486KB)
早稲田大学
理工学術院先進理工学部(研究科)生命医科学科(専攻)
教授
合田 亘人
世界的に拡大の一途を辿っている2 型糖尿病の進展を抑制し改善することが、患者のQOL維持と健康長寿の延伸の実現のための喫緊の課題である。そのために、既存の治療薬とは全く異なる作用点に働きかけ、正常なインスリン分泌能を持った膵β細胞数を増やす新たな治療薬の開発が必要である。本研究では、膵β細胞に直接働きかけ、機能的な膵β細胞量を増やすことができるニューレグリン1を標的とした抗体類似タンパク質医薬品の開発に取り組む。既存の治療薬と作用点が全く異なることから、SGLT2阻害薬を含めた他剤との併用療法を基本として、本開発物の導入によって短期的には血糖値の降下作用が、長期的には2型糖尿病の根治が期待できる。
令和6年度(2024年度) 鑑賞者が表現者になる新感覚インタラクティブ・ロボット・アートの事業化
採択課題紹介(173KB)
早稲田大学
理工学術院創造理工学研究科総合機械工学専攻
博士1年生
紫藤 寛生
エンタテインメント事業におけるテクノロジーとアートの融合は、大きな市場と、多様な人々の活躍の場を創造してきた。そして、近年のコンピュータグラフィックスや仮想現実技術の進化は、このようなエンタテインメント事業の隆盛なしでは語ることが出来ず、技術の進歩にも一役買っていると言える。しかし、ロボット・エンタテインメントは未だ少なく、その市場は未開拓である。その原因は、エンタテインメント利用を目的として開発されたロボットが少ないからである。そこで、申請者は自らの技術シーズであるソフト飛行ロボットの開発技術を用いて、インタラクティブ・ロボット・アートという新感覚のロボット・エンタテインメント事業の立ち上げに取り組む。
令和6年度(2024年度) 抗がん活性予測AIシステムの開発と検証
採択課題紹介(273KB)
早稲田大学
理工学術院 先進理工研究科 化学・生命化学専攻
准教授(任期付)
清野 淳司 
従来の機械学習手法を用いた抗がん活性予測システムに、記述子の自動設定/選別技術といった独自の予測精度向上技術を導入することで、9種のがん種についての抗がん活性予測システムを構築し、その検証を行う。またこれまで培ってきたシンボリック回帰を本システムに組み込ませることで、解釈可能な予測を行うことを目指す。このような予測システムを用いて膨大な種類の化合物ライブラリーから有望な化合物をスクリーニングすることは、実際に細胞を用いたスクリーニング実験に比べて大幅な金銭的・時間的コストの削減となり、がん治療薬開発の促進につながる。将来的には本システムを、他の様々な生物活性の予測に適用することで、データベースに未登録な活性化合物を効率的に見出し、創薬分野へ貢献していきたい。
令和6年度(2024年度) 投手の寿命を延ばすための肩肘動作解析ドックの開発:投球フォームのリアルタイム評価による投球障害の予防に向けて
採択課題紹介(415KB)
早稲田大学
スポーツ科学学術院
教授
矢内 利政  
このプロジェクトでは、野球選手に頻発する疼痛性障害である『野球肩』 や 『野球肘』を予防するための革新的なシステム「運動解析ドック」を構築するための基盤となる動作評価システムを開発する。このシステムは、投球動作に含まれる障害発症因子を特定し、野球選手の個々の問題点をリアルタイムで評価するもので、効果的な予防法やトレーニング・リハビリテーションを提供・指導するサービスの科学的根拠となる。競合シーズとして、パフォーマンス向上を目的とした動作評価システムやそれを提供するサービスが存在するが、本システムは野球選手に頻発する投球障害の予防に特化し、その予防や再発防止に焦点を当てた独自のアプローチを提供するものである。開発される技術は野球以外のスポーツや健康維持にも応用可能である。このプロジェクトの成果を基に、起業後には「運動解析ドックシステム」のパッケージ化を開発し、市場の展開予定である。これにより、野球界だけでなく他のスポーツや健康産業のニーズにも対応でき、選手や一般ユーザーのパフォーマンス向上や健康増進に貢献する計画である。