採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

筑波大学

2024年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和6年度(2024年度) 映像認識AIのデータセット構築に特化したアノテーションシステム「TrackBox」の事業化
採択課題紹介(264KB)
筑波大学
理工情報生命学術院システム情報工学研究群エンパワーメント情報学プログラム
一貫制博士後期課程4年生
内田 郁真
自動運転やスポーツ産業での映像認識AIの発展に伴い、関連企業や研究機関では大規模なデータセット構築の必要性が高まっているが、10時間の映像アノテーションに約500万円を要するなど、多大なコストが障壁である。我々はアノテーション効率化によりデータセット構築コストを10分の1に削減することを目指し、映像認識AIに特化したアノテーションシステム「Trackbox」を開発する。Trackboxは我々が開発した物体追跡・行動検出モデルと独自の大規模データセットを活用し、アノテーションの半自動化と誤検出・IDスイッチ等の修正を簡易化する。本事業期間中は、実用化に向けた試作品開発、事業性の精緻化に注力する。
令和6年度(2024年度) AIによる世界最高精度の不正会計検知モデル開発
採択課題紹介(278KB)
筑波大学
ビジネスサイエンス系
教授
尾崎 幸謙
企業の不適切な会計に関する事例は年々増加する一方で、不正取引の複雑化、隠ぺい方法がより深化するなど不正会計の把握がより長期化するとともに困難化が増している傾向にある。従来、不正会計の検知は公認会計士などの一部の限られた実務家によって行われてきた。しかし、検知のためには実務経験を積むほかに、新たな不正会計を予見するための研鑽が日々必要で、実務家が不正を発見できるようになるまでには多大な時間とコストが必要となる。これに関して本研究ではAIを用いて高精度の検知を実現しつつ、不正の理由や不正につながる利益調整の有無や種類についても検知可能なソリューションを実務家等に提供する。
令和6年度(2024年度) Sleep State Solution: 脳波複雑性で解き明かす睡眠ステージ自動判定ソリューション
採択課題紹介(213KB)
筑波大学
医学医療系
助教
齊藤 夕貴
睡眠に関わる基礎研究や創薬研究、また臨床医療の現場では脳波解析によって睡眠解析を行うことが求められる。脳波解析には熟練した経験をもつ判読者の存在が必要不可欠であるが、判読者の時間的拘束・疲労蓄積がとても大きい一方、判読者間での結果がばらつきやすいという課題がある。我々はマウスの脳波に対して、判読者の目視判定を必要としない画期的な自動脳波解析プログラムを開発した。経験による習熟が必須であった睡眠解析であるが、熟練者間での判定以上の精確さでマウスの睡眠ステージ判定が可能となった。
本研究開発課題では脳波複雑性解析を用いた睡眠ステージ判定ソフトウェアの対象をヒト脳波に拡張し、医療機関での実用化に向けた検討を行う。また、将来的には睡眠を誘導するデバイス・システムづくりを目指していく。
令和6年度(2024年度) 計算撮像による省電力・高速な全数外観検査技術の研究開発と事業化
採択課題紹介(173KB)
筑波大学
システム情報系
助教
髙谷 剛志
現代の部材・部品はライン工程によって製造されている。検査において、画像に基づく外観検査は自動化に有用であるが低速であるため、全数検査のためには高速化が必要となっている。代表者は,イベントカメラと変調光源を用いた計算撮像技術によって、低消費電力でリアルタイムに外観検査可能な技術を開発・特許化している。当該技術を社会実装するため、①スタンドアローンな小型試作機の開発、②実際の不良品による能力実証を行い、事業化に向けて、③顧客ヒアリングによる必要仕様の策定、④ビジネスモデルの設計を行う。
令和6年度(2024年度) 医用画像と文章のペアデータを活用した医用画像特化LLMの開発
採択課題紹介(205KB)
筑波大学
医学医療系
教授
中島 崇仁 
本研究開発課題では、CTやMRIなどの医用画像に描出されている病変や状態について、大規模言語モデル(LLM)を用いて言語化することを目標とする。CNNベースの臓器ラベリングを教師データとしたLLM・RADS(Reporting and Data System)による前立腺や乳腺の病変のスコア化LLMなどを初期のプロダクトとして、筑波大学附属病院で本年5月から新しく導入するレポート作成システムで作成される「医用画像とその画像に対するレポート(文章)」のペアとなる組み合わせデータから医用画像とレポートに特化した大規模言語モデル(LLM)を構築する。既存の商用利用可能なオンプレミスで稼働するLLMを継続事前学習することで医療データの安全性を守りながら研究開発を行う。
令和6年度(2024年度) 機能性微生物カプセルによる鉱山跡地・重金属土壌の緑化
採択課題紹介(182KB)
筑波大学
生命環境系
教授
山路 恵子
高濃度の重金属金属元素を含む土壌は植物の生育を阻害するため、緑化が難しい。我々は、鉱山跡地の自生植物が、根に生息する内生微生物との共生関係により金属ストレス耐性を獲得していることを明らかにしてきた。また、機能性微生物をカプセルに包括し根に処理することで、鉱山跡地の緑化を促進できる可能性を示した。気候や土壌の金属元素の種類や栄養状態によって植物や微生物の種は多様であるため、対象地から適切な在来植物や微生物を選択し、機能性微生物カプセルを利用することにより、カーボンニュートラルやネイチャーポシティブを意識した、負荷を最小限にする生態系保全型の緑化が可能となる。