採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

筑波大学

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度(2022年度) 慢性疾患・難病治療に最適な新規モダリティの開発 筑波大学
医学医療系
教授
高田 英俊
抗体医薬は慢性疾患や難病の治療で優れた治療効果を示すが、製造コストが極めて高く、長期間繰り返し投与する必要があり、その高額な薬剤費(数百万円~数千万円/患者・年)は医療財政上深刻な問題である。また2~4週毎の受診と投与を必要とし、生涯継続しなければならず、患者の利便性が悪い。
抗体医薬の問題点を解決するために、患者自身の免疫系を利用し、体内で目的とする抗体を作らせる、低コストで患者利便性が良いだけでなく、効果的な新規モダリティを考案した。これは慢性疾患や難病の治療に応用する事も可能であり、医療のパラダイムシフトを起こすものである。先ずは、一つの疾患領域で臨床POCを取得することで実用化を図り、製薬企業へライセンスアウトする。
令和4年度(2022年度) 人と地球をヘルシーにする麹菌による代替プロテインの開発と事業化 筑波大学
生命環境系
准教授
萩原 大祐
地球環境負荷や食糧危機を背景に、畜肉に代わる植物を利用した代替肉の市場が急拡大している。代替肉の新たな選択肢の必要性から、申請者らは、古来より醸造に用いられてきた麹菌を有望な次世代タンパク源として着目する。本研究開発では、培地原料の検討、成分分析に加えて、麹菌の培養菌体が持つ健康機能性を明らかにし、さらに安心安全という価値を与えることを目指す。麹菌プロテインの製品思想をより鮮明にし、消費者に対して訴求力の強い、持続可能な食材に仕立てる。この成果から、我々が生産する麹菌代替肉のブランド化を目指し、多様な企業パートナーと連携可能な価値の高い食材の生産技術を確立し、これらの独自技術をもって事業化する。
令和4年度(2022年度) 芳香族化成品原料のバイオ生産技術の開発と事業化
2023年2月
「BioPhenolics株式会社」起業
筑波大学
生命環境系
教授
高谷 直樹
汎用化成品や工業材料の脱石油化とバイオマス代替は地球規模の解決課題である。本研究開発は、脱石油化時代のナショナルセキュリティとなる石油由来の芳香族原料をバイオマスを原料として代替生産する技術を開発し、持続可能な社会の確立に貢献する。具体的には、代表者のシーズである様々な芳香族原料の微生物生産プラットフォームを実生産菌に導入し、複数の芳香族原料のパイロット生産と試作を行う。予備的な調査から現在もっとも実用化を期待している化合物については、上記とともに、開発技術の知財化、ビジネスモデル策定、顧客開発等を進め、バイオ芳香族で人と地球を救うミッションを担う企業を設立する。
令和4年度(2022年度) ウェアラブルバイオ燃料電池の事業化 筑波大学
数理物質系
准教授
辻村 清也
IoTセンサへの給電が大きな問題となっている。特に人に適用できるウェアラブル電源プラットフォームとして我々は安全・安心で、環境に優しく、経済的かつ効率的なバイオ燃料電池(BFC)を開発してきた。紙に酵素と炭素のみでできたBFCを印刷する新電池は低コストかつ持続可能な次世代コネクテッドデバイスの普及を推進する。従来の電源では適さない低消費電力エレクトロニクス用途に向けた使い捨て、シングルユース向け製品を軸に、初期の顧客向けに製品市場適合性を向上させる。立ち上げから量産までの工業化をサポートし、市場参入戦略を強化する。BFC技術は、IoT市場での新しい顧客セグメントの適合性を拡大する新たな機会を創出する。
令和4年度(2022年度) 腎臓・病理・糖鎖の3医学を結集したオミクス解析による癌・希少疾患のバイオマーカー開発プラットフォーム 筑波大学
医学医療系
助教
川西 邦夫
腎臓は臓器ネットワークの要でその異常は全身に影響を及ぼす。病理診断は癌を含む診断と治療の要である。
糖鎖修飾はリン酸化と並ぶタンパク質翻訳後修飾で、タンパク質の構造と機能を決定づけるが、トランスクリプ
ーム解析からは予測できず、グライコミクスとプロテオミクスを統合したマッピング技術が必須となる。腎臓学、病理学、糖鎖生物学の3医学を基盤とするオミクス解析とその基礎的・実践的な検証が可能なチームのもと、疾患特異的な診断・治療マーカー開発により、癌や希少疾患の早期発見・治療による健康寿命の促進を実現する開発ベンチャーを目指す。透析医療(日本、アジア諸国)、乳がん(世界)と、疾患に応じた医療市場を対象として、診断あるいは治療マーカーの実装を医薬・医療機器開発メーカーとのタイアップのもとで行う。
令和4年度(2022年度) 細胞トレーサビリティを実現するレッドバイオ向けリアルタイム細胞状態診断 筑波大学
生命環境系
准教授
八幡 穣
本プロジェクトは、これまで有効な工程管理ソリューションが存在しなかった分野に、新たに細胞工程管理ソリューション”Cell QC”を提供することを目指す。第一に対象とする食品製造分野では、微生物汚染は重大なリスク(事業の存続に関わる)だが、その検出には19世紀以来の培養法が使われている。これには日単位の時間を要し、各工場ではその作業と判断に数人のスタッフが24時間3交代で従事している。Cell QCでは、これを“一細胞自家蛍光分析技術(国際特許)”により大幅にまで短縮し、その判断も定量化することで、顧客企業に「重大なリスクの回避」「コストの削減」という二つのコア価値を提供する。