採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

筑波大学

2021年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和3年度(2021年度) 多品種少量の単純作業の置き換えに特化したロボットシステムの開発と実証実験
2021年11月「株式会社Closer」起業
筑波大学
理工情報生命学術院
システム情報工学研究群
知能機能システム学位プログラム
博士前期課程2年
樋口 翔太
人手不足の解決策とされるロボットによる自動化は重工業やエレクトロニクス産業では進む一方で、とりわけ食品・化粧品・医薬品などの三品産業では進んでいないことが課題となっている。現在のメーカーが発売するロボットを用いてSIerが導入するロボット導入の産業構造は、重工業等の大量生産のニーズに対応してきたが、同様に三品産業でニーズの高い少量多品種の自動化を考えると、コストや専門知識、設置スペースが必要であることが導入障壁となっている。本研究開発課題では、工場ラインの包装・充填(ピックアンドプレース)に自動化対象を絞り、同一アルゴリズムで多品種少量生産の自動化が可能なロボットを開発することで、インテグレーションの工数を大幅に削減するなどして導入障壁の解消を目指す。
令和3年度(2021年度) アクセシブルな歩行リハビリテーションシステム 筑波大学
システム情報系
教授
矢野 博明
本研究開発では、病院や自主リハビリテーション(以下、リハビリ)施設を想定顧客として、現場での受容性を高めた歩行リハビリシステムをPOCとして開発する。本システムは、主に脳卒中で麻痺が残った患者の足を健康な人と同じ軌跡上を移動させることによって歩行機能の再獲得をサポートするもので、ベルトドライブによる静音化や機構変更による利用者や理学療法士のアクセス性の向上、装置と制御機器をモジュール化して分解組み立てを容易にすること、体重免荷機構による安全性の向上、外観デザインを柔らかい印象のものに改良する。これらを短期に開発し、想定顧客へのデモンストレーションやインタビューを元に、ビジネスモデルの構築及び実用化への道筋をつける。
令和3年度(2021年度) バイオ医薬品等の非侵襲的経上皮薬剤投与を可能にする可逆的タイトジャンクション開口剤の開発 筑波大学
生命環境系
微生物サスティナビリティ研究センター
教授
臼井 健郎
バイオ医薬品は従来の小分子医薬品よりも特異性と活性の高さで有意性がある反面、その投与には注射・点滴等の肉体的・時間的負担を伴う侵襲的手法が必要なため、患者のQOL低下を招いている。この解決法の一つにタイトジャンクション(TJ)の可逆的開口剤開発がある。TJは皮膚や粘膜等の上皮で細胞同士を強く接着することで、体外の異物への障壁として機能する一方、バイオ医薬品等の難吸収性物質の吸収障壁となっている。TJを一時的、かつ局所的に緩めることで、経皮・経肺・経粘膜等の侵襲性が低く、かつ汎用性の高い投与が可能となると考えられる。本研究開発では、天然化合物MA026をベースに開発を行う。また、ビジネスモデルとしては、製薬企業や化粧品の製造企業へのライセンス提供を行い、医薬品の経皮・経口製剤化やスキンケア等化粧品の有効成分を効率よく吸収させる高機能化粧品開発を通じて患者や一般消費者へのサービス提供を行う。
令和3年度(2021年度) 細胞培養(培地)の最適化に特化した技術推進と事業化 筑波大学
生命環境系
准教授
應 蓓文(イン ベイウェン)
網羅的実験と組み合わせたデータ駆動式の培地最適化技術の実用化を目的とする。細胞培養を行い、得られる膨大なデータセットに機械学習を適用することにより、培養目的や細胞種類に合った最適培地の構成を予測する。データ蓄積により、予測精度の高い人工知能(学習モデル)を構築する。培養実験の設計から予測までの一連を標準化し、プラットフォーム化することにより、細胞培養の最適化サービスを提供する。これにより、業界伝統である一社で完結する細胞培養を水平分業し、新しい培地最適化市場を創出する。培地最適化に特化することで、潜在的な競合各社と差別化し、細胞培養の標準化に向け、権威的なコンサルティングサービスを提供する。
令和3年度(2021年度) 人工知能を利用した見逃しも見落としも防ぐ膀胱内視鏡検査支援システムの事業化
2021年12月「Vesica corporation」起業
筑波大学
附属病院 泌尿器科
病院講師
池田 篤史
膀胱がんの診療に必須の膀胱内視鏡検査は、客観性が乏しい。観察記録は実施した医師の技術や経験の差により、その質にばらつきが生じており、検査画像の正確な位置や付随情報は、医療者間の共有に不向きである。私たちは、膀胱内視鏡検査時の漏れによる“見逃し”、観察していたのに診断できなかった“見落とし”を防ぐ膀胱内視鏡検査支援システムの技術開発を行っており、泌尿器科専門医と同等レベルの診断精度を確認している。膀胱内視鏡システムにプログラム医療機器として組み込むことで、医師の検査を支援し、内視鏡メーカーに対するライセンシングとクラウドベースの従量課金によるビジネスモデルに基づく事業化を目指す。
令和3年度(2021年度) 神経系の操作による冬眠様状態の誘導法を利用した人工冬眠サービス事業 筑波大学
医学医療系
教授
櫻井 武
われわれはQニューロンと名付けた少数の視床下部神経細胞の操作により、本来ならば冬眠をしないマウスやラットに冬眠様の状態(QIH)を誘導することができることを示した。これは、人工冬眠に道を拓く研究であると考えられる。ここでは、将来のヒトへの冬眠様状態の導入を目的としてQニューロンを興奮させる薬剤を開発するための分子標的の同定とそれに作用する薬物の探索、効果の検証、およびQニューロンを興奮させうるデバイスの開発を行い、製薬会社へのライセンシングを念頭に、マウスやラット、サル、競走馬や家畜などへのQIH導入、救急医療や慢性疾患治療への応用、ヒトへの人工冬眠サービスを見据えたビジネスプランをブラッシュアップする。