採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

神戸大学

2023年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和5年度(2023年度) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する口腔内電気刺激舌筋トレーニング装置の開発
採択課題紹介(317KB)
神戸大学
医学部附属病院医療技術部
副部長
技士長
加藤 博史
我々は軽症から中等症のOSAS患者に対し電気刺激による効果的なMFT(Oral Myofunctional Therapy:口腔筋のトレーニング)の実現を目指している。近年、欧米ではOSASに対し電気刺激による治療機器およびトレーニング機器が上市されている。また、MFTは軽症~中等症のOSAS患者のAHI(1時間当たりの無呼吸低呼吸指数)を改善するとの報告がある。これまでOSASへの関与が大きいとされるオトガイ舌筋を電気刺激によりトレーニングすることは困難であったが、昨年度、特殊な電極と刺激方法を用いてオトガイ舌筋を選択的に刺激する技術を発明した。この技術は、すでに上市されている舌体への電気刺激と比較し、オトガイ舌筋を選択的に強く刺激することが可能である。また、神経筋電気刺激(NMES)を用いた電気刺激を併用することも可能であり、従来の方法と比較し大きなトレーニング効果が期待できる。
令和5年度(2023年度) 画期的なカーボンニュートラルのエネルギー供給を可能とする日本発の新技術「ナノ金属-水素反応の実験実証 (正四面体凝縮モデルのメカニズム確証)」
採択課題紹介(251KB)
神戸大学
海事科学研究科
准教授
金崎 真聡
水素の凝縮系核反応エネルギーによる異常発熱、いわゆるナノ金属水素核反応エネルギー(MHE)は、我々のグループのここ数年の研究進展により、発熱量の着実な上昇と高い再現性が確認されており、画期的なカーボンニュートラルの新たなエネルギー源として早期の実用化が期待されている。その発熱のメカニズムは、4個の水素原子の正四面体凝縮(4H/TSC)モデル理論による核変換メカニズム、即ち、ナノ構造の固体結晶内で水素が特異的に核反応する一種の核融合反応で説明できると考えている。本課題では、4H/TSC反応が生じた確固たる証拠となるヘリウム3の検出を行い疑問の余地なく核融合反応の発生を実証すること、4H/TSC反応が放射性物質を発生しないクリーンなエネルギー源であることの実証を目的とする。この実証が実現すれば、世界のエネルギー問題に対する画期的で現実的な解決技術への道が開かれる。
令和5年度(2023年度) 細胞間シグナルCD47-SIRPα系を標的とした新規がん治療法の開発
採択課題紹介(219KB)
神戸大学
大学院医学研究科
助教
小谷 武徳
様々ながん細胞に高発現する抗原に特異的に結合し、単独もしくは抗SIRPα抗体(マクロファージの抗体依存性細胞貪食を促進する抗体)との併用により「強力な抗腫瘍効果を発揮する従来にない抗体」及び、RNAiなどを用いてより効率的に「CD47-SIRPα結合の形成を抑制する方法」を確立する。将来的にはこれらを臨床の現場で使用できることを目的としており、本研究開発実施期間(2023年度)においては、これらについて非臨床POCの取得を目指す。本研究開発実施期間後は、非臨床POCを取得したこれらの技術シーズついて特許取得を行い(一部はヒト抗体などの製剤化の過程も自前で行い)、製薬企業への導出を図る大学発ベンチャー企業の設立を想定している。
令和5年度(2023年度) コラーゲン分解酵素MMP-1の発現を抑制することによりシワだけでなく、”たるみ”も予防する神戸大学発のスキンケア商品の開発
採択課題紹介(250KB)
神戸大学
農学研究科
教授
白井 康仁 
我々はヒト表皮培養細胞及び遺伝子改変マウスを用いて、PKCdeltaとDGKgammaがシワ形成を促進するMMP-1の発現に重要な働きをしていることを明らかにした。さらに、このMMP-1の発現を抑制する天然植物エキスを見い出した(特許出願中)。これらの知見をもとに試作品クリームを作製し、小規模なヒト試験を行い良好な成果を挙げている。一方、我々が見出したMMP-1発現阻害はシワだけでなく、「たるみ」も予防する可能性が高いことが最近明らかになった。また、市場にはMMP-1をターゲットとするシワ予防化粧品や、首元のたるみを予防・改善する商品はない。特にたるみに関しては、適切な評価系もない。そこで本研究では、シワだけでなく、科学的エビデンスに基づいたたるみを予防する全く新しいスキンケア商品の開発を行う。
令和5年度(2023年度) 組織のサイバーレジリエンスを向上させるサイバーインテリジェンス情報サービスの構築
採択課題紹介(185KB)
神戸大学
工学研究科
准教授
白石 善明
デジタルトランスフォーメーション(DX)やインダストリー4.0等の“つながる世界”に向かって社会が進む中では、サイバー攻撃による対応コストの増大は経営的な課題として企業にのしかかりつつある。組織のサイバー攻撃に対する回復力、すなわち“サイバーレジリエンス”を向上させるために、研究代表者が開発中のセキュリティ情報検索エンジンを内包したサイバーインテリジェンス情報を提示するサービス化を行うためのシステム開発と性能評価を行う。クライアント組織からの攻撃の痕跡情報を本研究のシステムへの入力として、関連する情報を抽出・加工し、攻撃に関する情報をクライアント組織へ提示するといった、サイバー攻撃への対応を支援する情報提供サービスの構築を目指す。
令和5年度(2023年度) 細胞膜のメカニクスを標的とした革新的がん治療法の開発
採択課題紹介(236KB)
神戸大学
バイオシグナル総合研究センター
准教授
辻田 和也
近年、がん細胞自体の物理特性ががん治療の有望なターゲットとして世界的に注目されている。研究代表者は細胞表面のメカニクスを司る細胞膜張力の低下が転移性がん細胞に共通した物理特性であることを世界に先駆けて見出し、細胞膜張力を高く操作するだけで、腫瘍形成能、浸潤・転移能が著しく抑制できることを明らかにした(特許出願)。本プロジェクトでは、細胞膜張力が「機械的がん抑制因子」として働くというコンセプトを治療法に応用すべく、マウスモデルを用いた検証、細胞膜張力を上げる作用を持つ化合物のスクリーニングを行い、細胞自体の物理特性をターゲットとした全く新しいタイプのがん治療法の創出を目指す。
令和5年度(2023年度) 光オンデマンド合成法によるポリマーや医薬品原料の安全で安価なエコ生産システムの事業化
採択課題紹介(175KB)
神戸大学
理学研究科
准教授
津田 明彦 
本課題では、当グループが開発した「ハロカーボンを原料とする光オン・デマンド有機合成法」の事業化に向けた研究開発に取り組み、化学品生産で使用するための製造システム・安全設備・ライセンス・ノウハウおよび技術指導のパッケージを国内販売するための事業立ち上げを企てる。加えて、ユーザーを先導することを目的に、当該合成法を用いて合成することができる化学品の自社での受託製造、およびオリジナル化合物の製造販売に向けた研究を実施する。大学発ベンチャー企業を立ち上げ、ホスゲン化反応によって合成することができる種々の有用化学品を取りそろえ、国内化学産業の発展への貢献を目指す。