採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
大学推進型

神戸大学

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度(2022年度) 革新的な神経変性疾患評価用バイオマーカー 神戸大学
バイオシグナル総合研究センター
教授
今石 浩正   
我が国では、近年急速に進むストレス化社会、高齢化社会に伴い、今後も急増すると予想される医療費の抑制が喫緊の課題となってきた。本研究開発では、その中でも特にストレスや高齢者に伴って発病者が増えると考えられる、うつ病、パーキンソン病およびアルツハイマー病といった幅広い神経変性疾患に対し、患者血清と薬物代謝酵素であるP450との蛍光競合反応を行うことで、患者と健常者を早期に識別可能とするリキッドバイオプシー技術を提供する。疾患の早期発見が可能となれば、病気の治療や予後改善に繋がると共に、医療費の抑制も可能になることが期待される。
令和4年度(2022年度) 患者のQOL向上を目指した、新規生体類似材料を用いた、異物付着抑制効果を有した尿管ステントの研究 神戸大学
保健学科(泌尿器科)
准教授
重村 克巳
本研究は「生体にやさしい材料を用いて、より効果的な尿管ステント表面の改質」を目的として新規尿管ステントの創出を行う。生体物質にヒントを得たコーティング剤をステントに施して、体内の異物反応を減らし、異物低付着性を実現させる。本新規尿管ステントの、結石等の付着抑制効果や、生体適合性をin vitro、in vivo、そして大型動物での非臨床試験で評価する。
最も患者さんへの害が大きいとされる結石の付着を抑止し、既製品よりも長期間安全に留置でき、留置中の閉塞による感染症や腎機能低下の頻度も軽減する新規ステント創出を目指し、表面物性、構造と異物付着抑制効果、生体適合性等との関係性について学術的基盤を構築し、尿管ステントの設計指針を確立する。
令和4年度(2022年度) Rasシグナルの網羅的阻害を基軸とした革新的がん治療薬の開発 神戸大学
科学技術イノベーション研究科
教授
島 扶美
●Rasは抗がん剤開発の恰好の分子標的であるが、抗がん剤開発の難易度は高く、上市例は現状ではマイナーなRas変異種に対する1剤のみで治療充足度が極めて低い。
●申請者らは、Rasの標的分子群に保存されRasの結合認識に必須の共通ドメインに着目し、独自の探索技術を駆使して、抗がん作用を示すリード化合物「Rasの変異種を問わない新規Rasシグナル阻害剤」を同定し、特許出願を果たした。
●ここでは上記「新規Rasシグナル阻害剤」の「医師主導治験」を見据えた医薬品開発候補選定とプロファイリング、特許強化を実施し、革新的がん治療薬の創出を目指す。
令和4年度(2022年度) 前立腺癌幹細胞を標的とした新規癌ウイルス療法薬の開発 神戸大学
大学院科学技術イノベーション研究科
教授
白川 利朗     
近年、腫瘍免疫を活性化または誘導する癌免疫療法(Immuno-Oncology: IO)剤の開発競争が世界中で激化している。腫瘍細胞に感染し細胞融解やアポトーシス、さらには腫瘍免疫誘導を引き起こす腫瘍溶解性ウイルス(Oncolytic virus: OV)もIO剤の一つのモダリティとして開発が進んでいる。現在までに我々は、癌幹細胞マーカーとして知られるCD44と低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor; HIF)を標的とする新規治療遺伝子を創出し、強力な抗腫瘍効果を発揮することを確認した(特許出願済:特願2019-239677)。今回、本治療遺伝子を搭載した新規OVを開発する。今回の研究期間内に非臨床POCを獲得し、創薬ベンチャーの起業を目指す。
令和4年度(2022年度) 構造発色する無機ナノ粒子の新規色材としての事業化の検討 神戸大学
大学院工学研究科
助教
杉本 泰        
本プロジェクトでは、退色しない・重金属を用いない、新たな無機ナノ粒子色材を提案し、実用化に向けた検証試験を実施する。代表者が開発した高屈折率材料ナノ粒子が特殊な光学共鳴現象を示すことに着目し、既存の色材では実現できない機能を実装することで、新しい色材市場を開拓する。さらに、本プロジェクトで開発する新規無機ナノ粒子は、産業技術や生体への適合性が高く、環境負荷の小さい材料で形成されており、現在、世界において課題となっている環境問題、生物多様性の保全などを解決し、持続可能な未来(SDGs)に資するものである。本プロジェクトで申請者の独自シーズを基盤としてセキュリティ、コスメティクスからバイオ分野まで広い応用に向けた課題を解決し、事業化を目指す。