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アクセス ACCESS

No.20A1310月20日(木) 13:00~14:30

オンライン企画

新型コロナのミス&ディスコミュニケーション
Discussion about mis- & dis- communication during COVID-19 pandemic

堀川晃菜(サイエンスライター、知識流動システム研究所フェロー)
Akina Horikawa (Science Writer, Fellow of Knowledge Mobility based System Inst.)

場所:オンライン

企画概要

新型コロナウイルスが現れたころの混乱から時を経て、対策や予防、治療といった、対処方法に関する研究は進みました。ですが、ウイルスが現れる前のような生活には戻っていません。戻ることはないのかもしれません。そして、いつかまた別の感染症が現れることも覚悟しなければなりません。

本企画ではさまざまな立場の専門家が、COVID-19をめぐるこれまでのコミュニケーションふりかえり、“つぎ”のために必要なコミュニケーションのあり方を議論します。90分のセッションでは、最良の答は見つからないかもしれませんが、参加者のみなさんとともに、よりよいコミュニケーションのためのヒントを見つけたいと思っています。

In the chaos that followed the emergence of COVID-19, research on countermeasures, prevention, treatment, and other coping strategies has advanced. However, our lives have not returned to the state they were in before the virus emerged. In fact, it may never return to the way it was. We must also be prepared for the possibility that another infectious disease may one day emerge.

In this session, we will review our previous science communication on COVID-19 and discuss the communication needed for the "next emergency" with experts in various fields. Ninety-minute sessions may not provide the best answers. We hope to find hints for better communication together with the participants.

登壇者プロフィール

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堀川 晃菜 HORIKAWA Akina

サイエンスライター、知識流動システム研究所フェロー。農薬・種苗メーカーへの入社を機に、農薬や遺伝子組換え作物をめぐるリスクコミュニケーションに関心を持つ。だれもが科学・技術を身近に感じられるよう、ビジネス誌寄稿から児童書執筆まで手掛ける。著書に『みんなはどう思う?感染症』他。

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小泉 周 KOIZUMI Amane

自然科学研究機構(NINS)特任教授・統括URA。医師、医学博士。應義塾大学卒業後、米ハーバード大学を経てNINS生理学研究所に。2020年、知識流動システム研究所理事として、新型コロナ小冊子を制作。経産省「未来の教室」STEAMライブラリーの「新型コロナde問いマンダラ」制作代表も務めた。

https://www.smips.jp/KMS/stop_covid-19_new/

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下村 健一 SHIMOMURA Kenichi

令和メディア研究所主宰、白鴎大学特任教授。元TBS報道キャスター、元内閣広報室審議官。

テレビ報道現場25年とメディアリテラシー教育実践20年の、「送り手」と「受け手」両方の体験を併せ持つコミュニケーションのプロフェッショナルとして、新型コロナをめぐるコミュニケーションについての所感と提案をいただきます。

http://shimomuraken1.com/

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鈴木 蘭美 SUZUKI Rami

モデルナ・ジャパン株式会社代表取締役社長。国内外の製薬企業で、事業開発、メディカル、マネジメントの要職を歴任。mRNAによる治療法開発の将来性への期待から、モデルナ社へ。ワクチンの未来と、製薬企業の社会的役割について語っていただきます。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2202/04/news011.html

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田中 幹人 TANAKA Mikihito

早稲田大学政治経済学術院教授、専門は科学技術社会論、ジャーナリズム論、計算社会科学。新型コロナ関連情報のメディア分析と、厚生労働省アドバイザリーボードとしてのリスクコミュニケーション実践から、ソーシャルメディア時代のコミュニケーションについて、ご提言いただきます。

https://www.jst.go.jp/ristex/rinca/discours/files-210422-3.html

プログラム

13:00

はじめに

・ファシリテーターより企画趣旨説明

「正しく恐れる」への違和感

『みんなはどう思う?感染症』執筆の経緯

・登壇者の紹介と進行について

セッション(1)と(2)では、それぞれのメインとなる話者2名が、3~5分程度の話題提供をします。その後、チャットへの投稿内容も交えながら、他の登壇者も加わって議論します。

13:05

<セッション(1) 伝え手の視点から>

話題提供:小泉周氏、鈴木蘭美氏

小泉周氏:

 子ども向け小冊子制作の経緯と完成までの困難

 小冊子や「未来の教室」STEAM教育コンテンツへの反響と葛藤

鈴木蘭美氏:

 mRNAの治療薬としての将来性や開発の展望

 COVID-19対策やmRNAワクチンを巡るコミュニケーションへの思い

13:30

<セッション(2) 受け手の視点から>

話題提供:下村健一氏、田中幹人氏

下村健一氏:

 コロナ禍での報道とその受け止められ方についての所感

 不確かな情報や不安との向き合い方の再考

田中幹人氏:

 コロナ禍におけるSNSを含むメディア分析

 リスク情報への接し方:日本と海外の比較

14:00

<セッション(3) “つぎ”のために>

最後は登壇者全員で議論します。

事前あるいは当日チャットに寄せられた質問や意見のなかから、議論するトピックあるいはテーマを選びます。“つぎ”のために必要なコミュニケーションのヒントを見つけるために、質問や意見、感想やコメント、提案、なんでも結構ですので、ぜひチャットに書き込んでください。

出展レポート

企画概要の補足

企画概要は冒頭のとおりで、議論を具体的なものにするため、登壇者の一人である下村健一先生のご協力により、大学生のみなさんにアンケートに取り組んでいただいた。登壇者からの話題提供だけでなく、アンケートの結果から、参加者の関心が高いトピックはなにか、COVID-19に関連するコミュニケーションのどこに・なにに、問題意識を持っていたかを意識しながら、議論をすすめた。

話し合った未来像

これまでのCOVID-19にまつわるコミュニケーションを振り返り、COVID-19に限らない感染症に関するコミュニケーションについて、今まさに取り組むべき課題はなにか

セッションでの意見、論点

    事前アンケートでは、マスクとワクチンへの関心の高さが伺えたほか、だれの(どこの)情報を信頼すればよいか、意見が異なった場合にどうすればよいか、という悩みが多く見られました。

  • 新型コロナウイルス流行初期、まだわからないことがあるなかでどのようなコミュニケーションをめざしたか、なぜそうしたか?
  • 製薬企業の情報発信やコミュニケーション活動において、薬機法という法律が足かせになっているという事情と、それを乗り越えるにはどうしたらよいか?
  • まだわかっていない(いなかった)ことや、その時点でのコンセンサス外のことなど、“想定外”といわれるようなことが起こった場合、あるいは起こり得るという事実に、どう向き合えばよいか?
  • 科学や技術が現在進行系のとりくみであることによっておこる、“想定外”事実について、どのようにコミュニケーション(発信・受け止め)したらよいか?
  • “リテラシーが高い”がゆえに、(医学的にあるいは科学的に)誤った情報ばかりを集めてしまったとき、必要だったのはなんだったのか?
  • 医学的あるいは科学的に正しいことが伝わらないことが起こるのはなぜか?
  • わからない/不確定であることの不安とどうつきあえばよいか?
  • リテラシーとはなにか?リテラシーが高い(低い)とは、どういうことなのか?
  • 同調圧とはなにか?コミュニティ(例:国)によって受け止め方や政策はなぜ異なる?
  • 異なる考え方の相手とどう向き合えば良いか(ButではなくAndで、など)
  • 安心して意見が言えるようにするにはどうしたらよいか?
  • だれ/どこの情報であれば、信頼あるいは信用できるのか?
  • 今後なにを議論したいか?すればよいか?(セッション中のアンケートより)
  • 「起こるかもしれないリスク」と「起こった事実」の伝え方、受け止め方の具体案(31%)
  • 科学と社会/異なる専門家どうしをつなぐ「横断的な人材」を増やすには?(13%)
  • withコロナに向け、日本が「今、すべきこと」は?(55%)
  • 投票システムの不調により、4番目の選択肢が当初表示できなかった。その後、終了前数分、表示できた「どんな人・しくみなら、信頼できるのか?」に、2%が投票した
  • セッション終了後に、「これからまた新しい感染症が出現したときに、あなたが一番大切にしたいことはなんでしょう。」という問いに応えてもらえるようよびかけたところ、45名からの回答があった。いただいた意見は、今回のセッション関係者一同、今後の取り組みにつなげていきたいと考えています。

セッションで出たキーワード

ミス/ディスインフォ、ミス/ディスコミュニケーション、薬機法、三密(感染予防の三密、情報の三密)を避ける、“カチカチスイッチ”と“スイスイスイッチ”、ButではなくAnd、リテラシー、同調圧、マスク、ワクチン、情報収集と選別・取捨選択、多角的な視点、心理的安全、信頼・信用、第三者機関、サイエンスメディアセンター

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