SCIENCE AGORA

金閣寺のきらめきは漆のおかげ
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金閣寺の金箔の下に漆黒の漆が塗られているのを知っていますか?
漆はウルシノキの樹液を原料とする塗料で、美しく耐久性の高い塗膜を作ります。その歴史は非常に古く、6千年前の縄文前期に遡ります。溶剤を使った化学塗料と異なり、酵素反応でゆっくりと固化する漆は乾燥による容積変化がありません。この性質を巧みに利用したのが、螺鈿(らでん)や蒔絵(まきえ)などの伝統漆工芸です。また。漆の下地は金箔に独特の輝きを与えます。しかし、漆文化は現在、存亡の危機にあります。チームうるしサイエンスでは、植物科学、高分子化学、文化財修復学などのコラボで、新しい漆科学を目指しています。今回の展示では金箔の輝きを引き立たせる下地漆の役割などを紹介し、 実費での蒔絵体験をしていただきます。

Did you know Urushi is painted under gold-leafing on the wall of Golden Pavilion Kinkaku-ji?
Japanese lacquer, Urushi is a unique paint material. It solidifies very slowly by itself without volume-shrinking. Decorative craftwork techniques, such as Raden, Makie or gold-leafing are based on this feature.
In these days, production of Urushi is becoming more difficult in Japan.
At our booth, you will find many interesting facts about Urushi and you can have trial of Makie-artcraft on date 25 and 26.(with small payment)

出展者 チーム漆サイエンス
開催日 11月25日(土)、26日(日) 終日
会場 1階 アトリウムエリア
形式 ブース
URL
備考 有料(参加費800円)

タイムテーブル

開催報告

本展示は、漆芸や文化財建造物に使われる漆の背景にある科学を紹介することを目的に企画しました。漆の由来(木の樹液です)、固化(ウルシオールの重合機構)のメカニズム、金箔貼りの下地漆の光沢への効果などを実体験で知ってもらうとともに、日本の伝統工芸が輸入漆に依存している現状についても考えていただくように展示を考えました。サイエンスアゴラの中では異色の企画だったと思いますが、多くの方に訪問していただき、日本の伝統文化を支えている科学について知ってもらえたと思います。本展示は、漆芸家や漆生産者(漆掻き)、高分子化学、文化財修復学、植物科学などの専門家のチームで実施したものです。来訪者のご興味に合わせて、各専門家がリレーで展示を紹介していく体制も良かったと思います。特に、蒔絵体験をされた方々は、芸術と科学の垣根を超えた貴重な経験をできたのではないかと期待しています。

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