スマートエネルギーマネジメントシステムの構築

【開催報告】SIP第3期「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」
2025年度公開シンポジウム
「スマートエネルギーマネジメントシステムの社会実装加速に向けて
~事例から学び、地域・分野を超える新たな展開へ~」

開催概要

令和7年8月25日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催、内閣府共催による、SIP第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」のシンポジウムをハイブリッド形式で開催しました。本シンポジウムは、今後期待される研究開発成果を社会実装先となりうるユーザー(企業、自治体等)の皆様に広く発信することで、社会実装の加速、及びより広い地域・多様な分野への横展開を促進させることを目的として開催しました。また、多くの皆様に、本課題のコンセプトや目指す将来像について理解を深めていただけるよう研究者との対話の場としてポスター展示を同時開催しました。

日時:
2025年8月25日(月)13:00~17:30
会場:
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)東京本部別館(K’s五番町)1階ホール
(Zoomウェビナーによる同時オンライン配信)
研究開発成果ポスター展示(同時開催):東京本部別館(K’s五番町) 2階会議室A
主催:
国立研究開発法人科学技術振興機構
共催:
内閣府
後援:
一般社団法人電気学会
参加者数:
現地参加 94名、オンライン参加 258名

プログラム

時刻 内容
13:00 開会挨拶
13:10

「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」課題全体説明 
資料(2.6MB)

■登壇者

浅野 浩志
SIP第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」 プログラムディレクター
岐阜大学 高等研究院地方創生エネルギーシステム研究センター 特任教授
東京科学大学 総合研究院ゼロカーボンエネルギー研究所 特任教授
電力中央研究所 名誉シニアアドバイザー

■概要

最適なエネルギー需給運用によるCO2排出削減と新たな価値を生み出す社会インフラを確立するため、スマートエネルギーマネジメントシステムは、再生可能エネルギーを主力とし、電力・熱・水素などあらゆるエネルギーを地域・需要分野を越えてつなぎ、データ駆動型で生産・モビリティなどと統合的に制御する。その政策的意義を踏まえた将来像、GX市場形成のための地域特性に応じた社会実証の取組みなど最新の研究開発の進捗を報告する。

13:40

研究開発テーマA1「エネルギーとモビリティのセクターカップリング」成果報告 
資料(3.2MB)

■登壇者

林 泰弘
早稲田大学 理工学術院 教授
カーボンニュートラル社会研究教育センター所長

■概要

本研究開発テーマでは、地域で発電した太陽光発電の余剰電力をスマートメータのデータから把握して電動バス(以下、EVバス)に最適充電することで地域エネルギーを有効活用し、CO2排出削減にも貢献する「電力×交通セクターカップリングによるスマートエネルギーマネジメントシステム」の構築を目指している。この実現のために進めてきた研究開発の概要と、今年、宇都宮市での実証実験を開始した最新の成果および今後の展望についてご紹介する。

14:05

研究開発テーマB1「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」成果報告 
資料(1.3MB)

■登壇者

神原 信志
岐阜大学 大学院工学研究科 教授

■概要

脱炭素型熱電併給システムであるアンモニア・水素利用分散型エネルギーシステムの開発状況および開発品の社会実装の構想について述べる。具体的には、アンモニア改質器(水素製造装置)、アンモニア利用の工業炉・ボイラ・ガスエンジン、再生可能エネルギーを最大限利用するエネルギーマネジメントシステム、水素カートリッジシステムの開発状況とともに、それらを組合せたシステムや個別の機器の社会実装計画および構想を示す。

14:30

研究開発テーマC2「熱エネルギーマネジメントシステムの基盤技術開発と共通化」成果報告 
資料(814KB)

■登壇者

齋藤 潔
早稲田大学 理工学術院 教授

■概要

エネルギー最終利用の多くは化石燃料の燃焼による熱であり、CO2排出の最大の要因となっている。対策としてヒートポンプを用いた熱需要の電化が有効である。その効果的な利用を進めるため、熱エネルギーマネジメントにデジタルツイン技術を導入し、熱のフローや機器効率の「見える化」を実現し、エネマネ効果の予測・検証を可能にする技術を開発している。本事業では業務、家庭、産業分野の8つのユースケースについて技術実証を進めており、その概要を紹介する。

14:55 休憩
15:25

基調講演「It from Watt. 次世代エネルギーマネジメントから始まる地域の産業革命」 
資料(3.47MB)

■登壇者

岡本 浩
東京電力パワーグリッド株式会社 取締役 副社長執行役員

■概要

現在、電力システムはカーボンニュートラルに向けた再エネ大量導入とDX・AIの進展に向けたデジタルインフラの連系増大という需給双方の課題を抱えている。再エネ・DCの早期連系と系統設備稼働率向上のためには、次世代エネルギーマネジメントが不可欠である。そのためのMESH構想(電脳融合構想)の概要と取り組みの現状、今後の方向性について解説する。

15:55 休憩
16:05

パネルディスカッション 「地方自治体へのエネルギーマネジメントシステムの展開とその課題」

モデレータ:

磐田 朋子
芝浦工業大学 副学長/システム理工学部 教授

パネリスト:

岡本 浩
東京電力パワーグリッド株式会社 取締役 副社長執行役員
信時 正人
株式会社エックス都市研究所 理事
神戸大学学術研究推進機構SDGs推進室 客員教授
神戸SDGsオペレーションユニット ユニット長
岩船 由美子
東京大学 生産技術研究所 教授
林 泰弘
早稲田大学 理工学術院 教授
カーボンニュートラル社会研究教育センター所長
村上 公哉
芝浦工業大学 建築学部 教授
芝浦工業大学 SIT総合研究所 エリアEMS開発研究センター センター長
17:20 閉会挨拶
17:30 閉会

ポスター展示・発表(会場での実施のみ)

本課題のコンセプトや目指す将来像について、多くの皆様に理解を深めていただけるよう、研究開発テーマからの取組紹介・質疑応答と、研究者と会場でご参加される企業・自治体等の方々との対話の場として実施します。

ポスター発表の展示内容はこちらから

研究開発テーマ一覧 代表機関
A1 エネルギーとモビリティのセクターカップリング 早稲田大学
A2 RE100を実現する農村型 VPP の開発 農業・食品産業技術総合研究機構
B1 アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム 岐阜大学
B2 カーボンニュートラルモビリティシステム 東北大学
B3 系統安定化をサポートするUSPMによるインテリジェントパワエレシステムの開発 長岡技術科学大学
C1 エリアエネルギーマネジメントシステムのプラットフォーム開発と実装 東京大学
C2 熱エネルギーマネジメントシステムの基盤技術開発と共通化 早稲田大学
C3 産業用スマートエネルギーマネジメント連携システムの開発と実装 早稲田大学