プロジェクト紹介

研究分野の多様性を踏まえた研究公正規範の明確化と共有

研究代表者

研究代表者:中村 征樹
中村 征樹
大阪大学全学教育推進機構 教授

プロジェクトの目標

この間、わが国の研究機関において、研究公正を確保するための体制が整備されてきた。しかし、近年問題となることの増えてきた二重投稿や不適切なオーサーシップ等について、研究公正規範は一般論としては共通しているものの、どのような行為を二重投稿や不適切なオーサーシップとみなすか等、研究公正規範が具体的事例に適用される次元で分野によって対応が異なることが少なくない。その具体的な指針が、学協会等によって明示されていないことも多い。不適切な行為と公正な研究活動の境目が明確でない状況は、当事者の自覚がないまま研究不正等の問題が発生する背景ともなっている。

本プロジェクトでは、研究公正の具体的な規範を研究分野の多様性を踏まえて明確化するとともに、そこで明確化した研究公正規範について研究倫理教育や研修等を通してその共有を図る仕組みを構築することを目指す。

プロジェクトの概要

本研究開発プロジェクトでは、二重投稿(自己盗用を含む)や不適切なオーサーシップ等を中心に、①研究公正規範を研究分野の特性を踏まえた形で明確化するとともに、②そこで明らかになった研究公正規範をもとに研究公正教育・研修等で利用可能な教材を作成する。

研究公正規範の明確化にあたっては、国内外の学協会・ジャーナルが作成している執筆要領・関連規定等を収集・分析し、研究分野の動向や共通性等を整理する。また、多くの研究分野で研究公正規範がかならずしも明文化されていないことを踏まえ、国内の学術誌の編集委員やその経験者等、学術誌関係者を対象に、二重投稿や不適切なオーサーシップ等に関するインタビュー調査、質問紙調査を実施する。その結果を関連規程等の調査結果とあわせて分析することによって、それぞれの研究分野の特性を踏まえた研究公正規範のあり方を具体的に提示する。

そのうえで、上記調査の結果や、既存の研究公正教材で取り扱われている事例、これまで問題になった研究不正事例の調査結果を踏まえ、研究公正教育・研修等で活用できる教材を作成する。教材としては、研究分野の特性を踏まえ、それぞれの分野における具体的な研究公正規範を掲載した研究分野ごとのリーフレット形式のものとする予定である。また、作成した教材の利用方法としては、既存の教材や研修プログラムを補完する形での利用のほか、ラボでの指導等でも活用されることを想定している。


プロジェクトイメージ

ページトップに戻る