プロジェクト紹介

木質バイオマス熱エネルギーと地域通貨の活用による環境循環と社会共生に向けた政策提案

研究代表者

研究代表者:豊田 知世
豊田 知世
島根県立大学地域政策学部 准教授

プロジェクトの目標

本研究の目的は、地域通貨を活用した木質バイオマス熱利用について、現状のボトルネックを明らかにしたうえで、互いのシナジーを高めるエビデンスベースのシステム条件を提案することを目的とする。

①木質バイオマス熱利用のボトルネックと受容性調査による政策提案
現状の木質バイオマス熱利用政策のボトルネックと、消費者側の木質バイオマス熱利用に対する受容性を明らかにし、熱利用を普及するためのインセンティブ付与について提案する。

②森林資源・木質燃料利用のボトルネック解明と政策提言
川上(伐採・搬出)から川下(チップ化・熱利用)まで通した調査から、現場ごとの課題を抽出し、ボトルネックを明らかにし、その解消のための政策提言をする。

③木質バイオマス熱と地域通貨のシナジーによる社会的価値・便益評価
木質バイオマス熱と地域通貨の利用による社会的価値やインパクトを評価する、汎用性のある評価手法を確立し、それをエビデンスとして活用し、シナジー効果を創出する社会システムを提案する。

④持続的な地域通貨の管理・流通デザインの提言
地域通貨の持続的な管理・流通デザインを設計し、木質バイオマス熱エネルギー利用促進のボトルネックと地域通貨の持続的な流通のボトルネックの両方を解決するための政策提言を行う。

プロジェクトの概要

木質バイオマスがもつエネルギーの半分以上は熱エネルギーだが、日本ではこの熱利用を促進するための有効な政策がない。日本の最終エネルギー消費構造をみると、電気よりも熱エネルギーのほうが需要が大きいため、脱炭素化社会形成のためには、熱の普及が不可欠である。

木質バイオマスを薪やチップ、ペレットとして熱利用として活用することは、林業や加工業、エネルギー部門を横断した地域経済の循環効果だけではなく(経済)、地域住民が木質資源活用の地域循環過程に参加することで良好な社会関係資本を構築する効果や、小規模分散型のエネルギーシステム構築によるレジリエンス強化の効果(社会)が期待されており、加えて森林保全や脱炭素(環境)にも大きく寄与できる。しかし、これまで木質バイオマス熱利用による地域全体を包摂した社会的価値については評価されておらず、評価手法も確立していない。

本プロジェクトでは、これまで木質バイオマス熱が普及しなかった政策的な要因を明らかにしたうえで、木質バイオマス熱利用による地域全体のメリットを見える化し、木質バイオマス熱普及にインセンティブを与える手段として、地域通貨を活用した政策提案を行う。地域通貨は、単にモノ・サービスの取引手段だけでなく、新たな関係を生み出し、また共有価値に合わせて関係性を再編成できるツールである。木質バイオマス熱と組み合わせることで、お互いのシナジー効果を高めるシステム条件を探ることを目的とする。


プロジェクトイメージ

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