プロジェクト紹介

農林業生産と環境保全を両立する政策の推進に向けた合意形成手法の開発と実践

研究代表者

プログラムアドバイザー:香坂 玲
香坂 玲
名古屋大学 環境学研究科 教授

プロジェクトの目標

本プロジェクトを通じて以下の目標を達成する。

  • 政策プロセス・ニーズ把握:中部地方を中心に自治体において、農林業関係者、住民等によるコミュニティ・ミーティングを実施し、人口縮退期における土地利用・管理政策及び集落レベルでの土地利用方針の立案におけるICT・科学的情報の活用実態、ニーズ、課題を解明する。
  • データ整備:農林業における地域の生産と生物多様性に関する双方の情報整理を行い、データリストを作成し、農地及び森林の広域的な労働力、コストの調査分析を行い、ICT活用型のマッピング合意形成システムにおいて活用可能なデータとして整備する。
  • 開発:土地利用・管理政策及び集落レベルの土地利用方針の検討に活用可能なマッピング合意形成システムのプロトタイプを開発する。土地利用方針のエリアの区分(生産重視、マルチ機能、自然に戻す等)についてエビデンスに基づき区分を行うことを支援する。
  • 導入・課題特定:マッピング合意形成システムのプロトタイプを試験的に活用し、検討過程における課題の特定とシステム改善に向けたフィードバックを取得する。
  • 応用可能な領域の特定:本プロジェクトのアウトプットとしての、システムとその活用プロセスについて、応用可能な領域(上位・総合の計画、あるいは災害、福祉等)を検討し、将来的により一般的なシステムとして提案可能な領域を特定する。
  • マニュアルの構築:開発するシステムの仕様及びシステム活用プロセスについてマニュアルを構築し、ワークショップ・ウェビナー等により基礎自治体を中心に広く発信する。

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、農林業分野での環境保全と生産活動を両立するための科学的エビデンスによるマッピング合意形成システムの構築とその実装を行う。人口・担い手の縮退する状況下では、生産に加え、環境保全・獣害・防災といった戦略的な判断が求められることから、労働コスト及び管理エリアのダウンサイジングを勘案する。提案するシステムの対象となる政策は、土地利用・管理政策(管理構想、人・農地プラン、森林経営管理制度等)である。主に中部地方及びその周辺地域の基礎自治体において、都道府県、省庁等と連携しながら、集落レベルの土地利用方針を構想するための、科学的情報の評価、可視化、地図化を行うシステムを提案する。

具体的には、既存のICT普及政策に環境保全の要素を付加し、「農林業を実践すればするほど、生産性向上と生物多様性の保全が両立」することを目的とする。ダウンサイジングに向けたエリアの区分では、(i)団地化等により経営を志向するエリア、(ii)最低限の管理を行う「自然に帰っていくエリア」、(iii)それらの中間のエリアの区分(戦略的ゾーニング)を提案する。農業であれば、中山間部から平野部における圃場整備・管理状況や、ため池―用水―水田の生態系ネットワークでの位置づけを踏まえた優先的保全エリア・経営志向エリアの設定、林業であれば森林経営計画等における経営林とそれ以外の針広混交林化への誘導のエリア区分等が該当する。さらに、ICTの発展段階を踏まえ、経営志向エリアにおいても、生産性向上と環境保全が両立しうる具体的な施業・管理方式も検討可能なシステムを提示する。

具体的なアウトプットとしては、(a)土地利用・管理政策のプロセスにおいて活用可能な農林業、生態系、管理労働コスト等の基盤情報のマッピングを行う。その際、将来的な人口、土地利用の分布推定も行う。そして、(b)集落、自治体レベルにおける土地利用・管理の方針決定の支援を行うマッピング合意形成システムを共創・開発する。また、システムの活用実践も行い、その活用プロセス自体もアウトプットとして取りまとめて発信する。対象地については中部地方を中心に各県及び市町村と連携する。


プロジェクトイメージ

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