プロジェクト紹介

医療情報化推進に向けた課題解明と2020年代における政策基軸の形成

研究代表者

プログラムアドバイザー:奥村 貴史
奥村 貴史
北見工業大学 工学部 教授

プロジェクトの目標

医療の情報化に向けたあらゆる施策は、医療現場におけるニーズではなく医療財政上の要請から設計されてきた。そのため、医療現場では、医療用情報技術の導入により診療効率の悪化というコストを課されつつも、還元される便益は限定的であった。また、技術革新が停滞した結果として、政府はさまざまなコストを負担しつつも、期待された医療経済上の成果も得られていない。

我々の研究は、政策評価において用いられる費用便益分析を通じ、医療の情報化におけるこのマクロからミクロに至るさまざまなレベルにおける費用と便益の不均衡を明らかにする。そのうえで、不均衡の改善に向けた「費用の低廉化」と「便益の増大」を実現する各種の政策提言を通じて、医療の情報化に影響を受ける各種の主体における費用と便益のミスマッチの解消を図る。

プロジェクトの概要

1990年代後半より、政府はカルテの電子化に取り組み、普及率の増大に努めてきた。2000年代に入ると、この電子化された病院情報システム間で、患者情報をやり取りするための情報ネットワーク化が試みられるようになった。2010年代に入ると、CTやMRI等の画像診断の遠隔読影が一般化した。そして、2020年代に入り、人工知能技術における技術革新が医療に影響を与えつつある。

ここに至るまで、政府は多大なコストを負担しつつ施策を進めた。しかし、結果として、期待された医療費の軽減や医療の質の向上等の成果が得られているとはいい難い状態にある。医療の情報化に向けた施策は、医療財政上の要請から設計され、医療現場におけるニーズに応えてこなかった。そのため、医療用情報技術の導入により、医療現場にとっては、得られるメリットも限定されたまま診療効率が悪化するような事態が続いてきた。

そこで、本研究は、この「なぜ医療分野では情報技術による十分な恩恵が得られないのか」という問いに、様々な分野の政策評価に活用されてきた費用便益分析によって答えを見出したい。まず、医療現場や地域医療ネットワークにおける非金銭的費用を含む各種費用の定量化に加えて、情報技術より得られる便益の定量化に取り組む。そのうえで、医療用情報技術の費用と便益の標準的な評価手法の確立を目指す。これにより、医療の情報化における費用と便益の不均衡を明らかにしたうえで、不均衡の改善に向けた費用の低廉化と便益の増大を実現する各種の政策提言を行う。提案する施策により、医療の適切な情報化を通じた医療現場の負担軽減と質の向上、医療全体における費用対効果の改善が期待される。


プロジェクトイメージ

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