プロジェクト紹介

研究力の「厚み」分析による社会インパクトの予測と政策評価手法の開発

研究代表者

研究代表者:小泉 周
小泉 周
大学共同利用機関法人自然科学研究機構新分野創成センター 特任教授

プロジェクトの目標

「研究力の「厚み」分析による社会インパクトの予測と前向き政策評価手法の開発」を実現するため、5つの達成目標を設定した。

○達成目標1 政策・厚み・社会インパクトを、それぞれ階層ごとに、類型化・具体化する
・政策立案・評価などに用いられる社会インパクトを、対象や階層(国・大学・研究チームなど)ごとに類型化し、具体化する。例えば、民間企業等での応用、社会貢献、政策提言への影響などが考えられる。
・上記で細分化した社会インパクトを測りうる定量的指標を設定する(原則として既存指標を考えるが、必要に応じて新規指標を提案する)。
・上述の社会インパクトに影響を与えうる現在また過去の科学技術政策をリストアップし、こちらも類型化する。
・研究力の厚みを、研究環境、ならびに、研究成果(論文・特許・特許引用等)の点から細分化し、用いるべき指標を設定する(原則として既存指標を考えるが、必要に応じて新規指標を提案する)。

○達成目標2 それぞれの政策・厚み・社会インパクトをつなげるロジックモデルを提案する
・達成目標1で掲げた政策、厚み、社会インパクトのそれぞれの項目について、その関連性に関するロジックモデルを作成。考えられうる因果関係をすべて洗い出す。

○達成目標3 それぞれの研究力の厚みと社会インパクトの相関性について明らかにする
・研究力の厚み(研究環境、論文・特許・特許引用等研究成果)と、特定の社会インパクトについて、定量的な相関性を明らかとする

○達成目標4 それぞれの政策と研究力の厚みの関連性を明らかにする
・研究力の厚み(研究環境、論文・特許・特許引用等研究成果)がどのような政策によって改善したか、できるだけ定量的に、その相関性を明らかにする。

○達成目標5 将来の特定の社会インパクトを予測する先行指標となる厚み指標を特定し、政策との関連性と評価手法について提案する。
・国内外の具体的な科学技術政策とその社会インパクトに関する事例を参照するなどし、我々の提案が実証可能か検証する。

プロジェクトの概要

昨今、大学や研究機関における研究力向上にむけた様々な科学技術イノベーション政策や、それに基づく様々な具体的な取り組みがなされている。現在政策立案の際には、エビデンスに基づくことが必須となっており、とくに科学技術イノベーション政策においてはEBPM(Evidence-Based Policy Making)が叫ばれている。大学や研究機関の研究力向上にむけた政策評価の手段として、第5期科学技術基本計画における有識者ペーパーで示されるような様々な研究力の分析評価の指標(トップ10%論文割合など)があげられているが、従来の研究力分析は、過去の論文発表や被引用数など、短期的に過去にさかのぼる後ろ向きのエビデンスをもとに現状を評価するものであり、中長期的な社会インパクトを予測し、それを評価に組み込むような、前向きの未来予測型の評価は難しい。
今必要なのは、エビデンスに基づきながらも、社会インパクトについて前向きな未来予測ができる政策評価手法である。例えば、研究開発投資(ファンディング)における国・大学・研究分野ごとの強み分析、新規に勃興する分野の予測、それにともなう社会インパクトの予測である。
本研究では、研究代表者らが提案している研究力の「厚み」分析を用い、社会インパクトの予測と、前向きな政策評価手法の開発を目的とする。また、そのための仮説として、『「厚み」指標は、特定の「社会インパクト」の先行指標となる』という仮説をたて、政策立案と厚みとの関連、厚みと社会インパクトの関連に関するロジックモデルを提案し、その相関性を検証する。


プロジェクトイメージ

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