プロジェクト紹介

オープンサイエンスに基づく発達障害支援の臨床の知の体系化を通じた科学技術イノベーション政策のための提言

研究代表者

プログラムアドバイザー:熊 仁美
熊 仁美
特定非営利活動法人ADDS 共同代表

プロジェクトの目標

  • 市民が主体となったオープンサイエンス型の研究手法に基づくエビデンス構築プラットフォームの開発が完了し、様々な地域・領域で使われるようになる。
  • 調査研究と、ビッグデータや人工知能・ロボットなどの発達障害支援領域における実装研究を通じて得られた知見を、「対人支援領域における科学技術の活用ハンドブック(仮)」としてまとめ発行することで、対人支援における科学技術活用のノウハウが可視化され、広く発信される。
  • 障害福祉領域や、医療、母子保健、教育領域などの情報の電子化政策やデータヘルス施策を、相互に緊密な連携を維持しながら進めるための重要な知見を明らかにする。

プロジェクトの概要

福祉や教育などの対人支援は、個人と環境の相互作用による高文脈な意思決定の連続である。これらの「臨床の知」を体系化し、支援方法の標準化に役立てるためには、科学技術を活用したエビデンス創出を政策レベルで行っていくことが重要である。
本研究では、発達障害児支援領域での取り組みを通じ、(1)市民や保護者が主体となったオープンサイエンス型研究手法の開発と妥当性の検討、(2)科学技術の現場活用のための障壁・促進要因の実装科学的検討、を目指す。具体的には、(1)ロボットや人工知能を活用した支援者エンパワエメントツールの発展的開発と実装による当事者の体験価値(UX)の定量化、(2)事例研究型エビデンスの集積・解析プラットフォーム構築、(3)産官学が繋がる対話の場構築を通じ、「科学技術イノベーション政策のための科学」に寄与する知見を明らかにする。
【対人支援領域におけるエビデンス】対人支援は非常に個別的、応答的、高文脈だという特徴があり、細やかなフィデリティと高度な情報処理が求められる。それ故に、属人性が高まり、”センス”や”経験”等のヒューリスティクスに陥る傾向があるため、支援やサービスの質に格差が生まれやすい。例えば、発達障害支援は、まさに個別的、応答的、高文脈な対人支援分野であるゆえに、科学的エビデンスに基づいた実践(EBP)がなかなか進まず、地域や人などの環境に依存して受けられる支援やサービスが大きく異なる現状がある。国際的には、様々なエビデンスレベルの高い研究がおこなわれているのも関わらず、我が国では政策レベルでの導入が進んでこなかった背景に存在する、法的・制度的・文化的な障壁を解消するためには、「個」を徹底的に重視した実践に基づくエビデンスを示すことが重要である。EBPを重視しつつ、いかに個々の対象への丁寧なフィデリティを担保していくか、そしてそれらの知見を「臨床の知」としてどのように蓄積し、現場の実践に基づいたエビデンス(Practice based evidence; PBE)として活用していくかという点は、ほとんど研究がおこなわれていない。様々な障壁を解決し、個々の特性に合わせた治療や支援の標準化を目指していくためには、ICTや人工知能などの様々な科学技術を駆使し、政策レベルでエビデンスを蓄積していくことが重要である。
【科学技術活用の課題】科学技術が対人支援の現場で当たり前に使われる社会の実現のためには、PCやタブレット、ロボットなどのICT機器の導入費用の負担や、個人情報などの倫理的法的社会的課題(ELSI)、科学技術リテラシーの問題、文化的・心理的な抵抗、といった様々な障壁が存在する。それらの障壁を同定し、解消するための方略を示すことも重要である。


プロジェクトイメージ

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