プログラムについて

プログラムアドバイザー:伊地知 寛博

プロフィール

プログラムアドバイザー:伊地知 寛博
所属・役職
成城大学社会イノベーション学部 教授・大学院社会イノベーション研究科長

経歴等
1994年 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了,博士(学術)。
文部科学省科学技術政策研究所主任研究官,一橋大学イノベーション研究センター助教授等を経て,2007年より成城大学社会イノベーション学部 教授。科学技術・イノベーション政策論を専門とし,科学技術・イノベーション活動における多様な主体間のインタラクションとそのガバナンス及びマネジメント,国全体の研究システムやイノベーション・システムについての特性の把握及び研究開発・イノベーション活動に関する定量的観測に関心を有している。

プログラムへの期待

新たな知識を創出したり新たな機能を実現したりするための科学技術活動を推進したり,企業部門に限らずあらゆる部門において新たなプロダクト(製品やサービス)などを通じて付加価値を創出するためのイノベーション活動を促進したりするために,また,これらの取り組みが社会や経済に寄与しかつ悪影響を及ぼさないようにするために,科学技術・イノベーション政策が形成され執行されています。しかし,この“新しく”かつ“形がない”という特性に起因してか,これらの政策形成・執行のうち,合理的判断に基づいて行うべき部分についての客観的証拠(エヴィデンス)や論拠が,他の政策領域と比較して乏しいといわれています。この特性固有の困難さに挑戦して,少しでも他の政策領域に対して比肩し得るよう,科学技術・イノベーション政策における政策形成・執行にとっての有用な知見が求められています。この「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」は,我が国においてこういった目的を少しでも実現していくための,一つの重要なプログラムであると認識しています。

その内容としては,まずは,科学技術・イノベーション政策の対象となる制度・施策・プログラム等に関する意思決定に活用されるような客観的証拠や論拠を,多様な局面からもアプローチして,反証可能な知識の形態として導出することが期待されます。これには,当然,実施されている政策の状況やその影響等に関する監視(モニタリング)や分析(アナリシス),評価(アセスメントやエヴァリュエーション)といったことも関わってきましょう。

それから,科学技術活動においては,とりわけ,専門的知見を有する専門家の役割が重要です。政策形成・執行のためにそのような専門的知見をいかに活用するか,また,専門家と,そういった専門的知見を有しない一般国民・市民や政策決定者とのあいだで知見を共有するなどして,より妥当な結論にいかに到達していくか,しかもそれを有限の行政資源等のなかでより効果的に実現していけるようにするか,といったことも科学的に明らかにすることが求められています。

加えて,実際に政策形成・執行をするためには,これら多様な知見に加えて一般国民・市民が抱える希望・期待をも統合してより穏当な成果をいかに生み出すかといった,総合(シンセシス)や設計(デザイン)に関する知見とも切り離すことができないでしょう。

科学技術活動やイノベーション活動を通じて得られる知見や成果は,基本的かつ中長期的には国とは関係なく拡がる世界共有のものです。実際に,欧米等諸外国でも,我が国と同様な取り組みが進んでいます。そうであればこそ,この科学技術・イノベーション政策のための科学に関する取り組みや成果についても世界で共有され,このことを通じて,国際社会の一員として日本が世界に貢献していくことも期待しています。

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