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プロジェクト現場から

「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」
第8回プログラムサロン(2016年9月21日)開催報告

 本プログラムサロンは、「科学技術イノベーション政策のための科学」として推進している研究開発成果を実際の政策形成に活用できるものにすること(社会実装)を目的として、幅広い関係者の参加のもとに具体的にどのような実装の可能性があるのか、あるいは課題の特定とその克服の方法などについて共有する学際的な議論の場として開催しています(第8回プログラムサロン開催概要)。

 第8回目を迎えた今回は、「首都直下地震リスクを考える」というサブタイトルのもと、平成25年度採択課題である「市民生活・社会活動の安全確保政策のためのレジリエンス分析」研究代表:古田 一雄・東京大学大学院工学系研究科 レジリエンス工学研究センター センター長・教授)から、プロジェクトの活動報告と具体的な研究成果の紹介がなされた後、レジリエンスの強化に向けたエビデンスに基づく政策形成をどのように進めるかという視点で、会場の参加者を交えながら活発な議論が交わされました。 なお、今回のサロンは、本テーマに関する政策担当者や事業者といったステークホルダーの方々とともに、RISTEX「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域の林春男総括(国立研究開発法人防災科学技術研究所 理事長)や領域アドバイザーもコメンテーターに迎え、領域・プログラムを横断する対話の場が実現しました。

 本プロジェクトでは、最新のモデリングとシミュレーション技術にもとづき、東京23区における重要インフラの相互依存関係とその影響にフォーカスを置いた分析を行うことで、首都直下地震に直面した際のインフラシステムの脆弱性・耐性、リスクの見える化や復旧に向けたプランニング手法の開発を目指すとともに、制度設計の提言に取り組んできました。

 ディスカッションでは、政策の担い手がシミュレーション結果を実際に活用するためにはどのような工夫が求められるか、またモデリング・シミュレーション分析の結果に基づく政策提言を実現するために克服しなければならない課題は何か、といった点について多くの意見が寄せられました。東日本大震災などの経験を経た今、重要な政策決定において先進的な手法を用いてより客観的で正確なエビデンスを得られるようにしていくことは、学術・実務に共通して重要であることがあらためて確認されました。一方で、そうして導かれたエビデンスが実際の意思決定にきちんと参照されるために、「使いやすさ」といった実用性の高い形で研究成果がとりまとめられることへの期待感も示されました。

 古田プロジェクトでは、引き続き研究成果の有効性の検証や今後の課題についてステークホルダーとの意見交換を継続するとともに、よりオープンな形での研究成果の発信を予定しています。本研究開発プログラムとしても、レジリエンス・危機管理政策は重要なテーマのひとつとして、SciREXセンターなど関係機関と連携し継続的な議論の場を提供していく予定です。

第8回プログラムサロンの写真

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