委員長メッセージ ~ 2026年度の選考を終えて ~
今年度の「STI for SDGs」アワードの受賞者が決定しました。今年も全国から多くのご応募をいただき、科学技術・イノベーションを活用して社会課題の解決に挑戦する、多彩で熱意あふれる取組に出会うことができました。選考委員会では、それぞれの取組に込められた思いや実績、将来性について活発な議論を重ね、最終的に10件の優れた取組を選出しました。
今年度の応募では、社会課題そのものを出発点とし、その解決のために科学技術やデジタル技術を柔軟に活用している取組が数多く見られました。人工衛星やAIを活用した水道インフラの維持管理、地域医療の持続可能性向上、資源循環の推進、子どもの社会参加を促進する仕組みづくりなど、分野は多岐にわたりましたが、いずれも地域や現場の課題に真摯に向き合い、社会実装へとつなげている点が印象的でした。
また今年は、最先端技術そのものの新規性だけでなく、「どのような社会課題を解決しようとしているのか」「どのように社会へ広げていくのか」という観点が、これまで以上に重要であると感じました。優れた技術や研究成果を生み出すことはもちろん重要ですが、その成果を現場へ届け、多様な関係者を巻き込みながら社会変革につなげていく取組が数多く見られたことは、本アワードの趣旨であるSTI for SDGsの広がりを示すものと考えています。
同時に、未来に向けた夢や挑戦にあふれる取組も数多く見られました。木材を活用した宇宙開発への挑戦や、若い世代によるデジタル技術を活用した地域課題解決の取組などは、その象徴的な例と言えるでしょう。こうした取組は、現時点での成果だけでなく、将来の社会に新たな可能性をもたらすものとして高く評価されました。
さらに、次世代を担う若者たちの活躍も大変印象的でした。地域課題や地球規模課題を自分事として捉え、科学技術を駆使し創意工夫によって解決に挑戦する姿勢にあふれていました。こうした若い世代の活動は、将来の持続可能な社会づくりを支える大きな力になると期待しています。
2030年まで残された時間は決して多くありません。気候変動、人口減少、資源循環、地域医療など、私たちが直面する課題はますます深刻かつ複雑になっています。一方で、今回の応募や受賞取組を通じて、科学技術・イノベーションがそうした課題の解決に大きな可能性を持っていることを改めて実感しました。本アワードが、優れた取組を社会へ広く発信し、新たな連携や共創を生み出すきっかけとなることを願っています。
今回受賞された皆様に心よりお祝い申し上げるとともに、ご応募いただいたすべての皆様に敬意を表します。本アワードは今後も、科学技術・イノベーションの力で持続可能な社会の実現に挑戦する皆様を応援してまいります。
2026年9月
「STI for SDGs」アワード
選考委員会委員長 上田 壮一
(一般社団法人Think the Earth 理事)