地域に住み込んで研究する

地域に住み込んで研究する

このプロジェクトでは、地域社会の中で生活しながら、その地域の自然環境と人々の関わりを研究する人を「レジデント型研究者」と呼びます。実際にその場所に住んでいることに、どういう意味があるのでしょうか。
自然資源生態系サービスの研究では、息の長いフィールドワークが必要なので、常に研究対象の近くにいることによって、内容の濃い研究がおこなえるということも、もちろんあります。しかしこのプロジェクトで注目しているのは、研究者が自分自身の問題として研究をおこなうことの意味です。自分が人生を過ごす場所の未来を考えながらの研究は、「研究する」という行為の意味さえ変えてしまいます。学問的な興味からおこなう研究、あるいは、学会で評価を得るための研究とは違う、自分や自分のまわりの人たちの生活に影響する答えが求められるからです。
既存の大学や学会では、目新しい発見、世界に通用するような理論、あるいは目に見える利益をもたらす成果ばかりが重んじられることが多く、狭い地域での地道な研究活動は、取り組む人が少ないのが現状です。評価されなければ研究は続けられず、研究の裏付けがなければ、適切な環境保全もおこなわれません。そして、地域の環境保全は地球全体の環境保全につながるのです。だからこそ、レジデント型研究者へのサポートが必要なのです。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。