議論によって専門家の意識も変わる

議論によって専門家の意識も変わる

一般の人にとって、こうした議論への参加は、専門家と直接話し、その知識や考え方を知る貴重なチャンスですし、自分の意見を政治に反映する手応えを感じられる新鮮な体験となります。ですから、一度参加した人の多くは、もっといろいろな会議に参加したいと感じるようです。
では、専門家たちはどうなのでしょうか。このプロジェクトでおこなった意識調査の結果、ほとんどの専門家が、一般の人との議論が重要であり、参加したいと思っていることが確認されました。と同時に、自分の研究に興味を持ってもらえないのではないか、批判されるのではないかと不安を感じる専門家や、経済的・時間的余裕がなくて参加しづらいという専門家がいることがわかってきました。一般の人と議論することに不安や不便さを感じていたのです。
この問題には、たとえば、いきなり一般の人と議論するのではなく、まずは違うテーマを研究している専門家どうしで議論する場に参加するとよいようです。特に若手の研究者にとって、研究分野の違いによって着眼点や考え方が違うことを発見したり、刺激を受けたり、専門知識を相手に伝えるときのコツを得たり、この機会は、非常に有意義だということがわかりました。
公共コミュニケーションには、専門家の参加も欠かせません。特に、次の時代を担う若い世代の専門家への働きかけは、未来に向けてとても重要だと言えるでしょう。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。