より高度の知識経済化で一層の発展をめざす日本
諸外国への教訓
柴田勉・竹内弘高/編 田村勝省/訳
一灯社 2007年
21世紀の課題である知識経済化に日本がこれまでどう対応してきたかを、良い面も悪い面も含めて冷静に分析した好著。教育、労働市場、金融市場、企業経営、科学技術政策、産学連携、産業政策、グローバリゼーション、ネットワーク、ソーシャル・キャピタル、暗黙知、「場」、模倣の防止、非次元的な差別化、など様々な観点から立体的なアプローチがなされている。世界銀行が後援したプロジェクトの成果であるので、国際的な視野からの分析がなされている。しかし、そうした国際的視野を踏まえた上で、第10章では知識に関する日本のアプローチが欧米と違うということを主張し、そこに積極的意義を求めていることが注目に値する。
(大守 隆:東京都市大学環境情報学部 教授)