2021.10.10

10/10(日) 混沌(カオス)を生きる<デジタルの日イベント> デジタルは『ちょうどいい道具』になれるのか~個人データと自己の関係~<終了>

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デジタルの日ロゴマーク混沌(カオス)を生きる <デジタルの日イベント>
デジタルは『ちょうどいい道具』になれるのか~
個人データと自己の関係~

画像:イベントバナー

デジタルは『ちょうどいい道具』になれるのか

Covid-19がもたらしたパンデミックは、給付金の支払いから感染者追跡アプリ、ワクチン接種管理など、日本のデジタル化の遅れを露呈しました。2020年に発表された電子政府ランキングでも前回2018年の10位から14位に後退しています。今年9月に発足したデジタル庁はこうした遅れを取り戻し、行政のみならず社会全体のデジタルトランスフォーメーションを進め、誰ひとり取り残さない人にやさしいデジタル化を進めることも期待されています。

一方、デジタルテクノロジーは、日々SNSやあらゆるネット上のサービス上で個人データが蓄積・分析・拡散され、個々のユーザーのネット履歴が即座に広告やECサイトへの誘導に活用されたり、人の注目ばかりを引きつける情報が横行する注意経済(アテンション・エコノミー)が増加したりするなど、デジタル空間における個人の尊厳や自律が危ういものになっています。そうした人々の警戒心が今後のデジタル化を阻む要因にもなっているのも事実です。またSNSやゲームアプリ依存、ネット上の言論空間で起きる炎上や分断、誹謗中傷の問題など、デジタルと付き合う上での課題は山積みともいえます。

それでは、デジタルテクノロジーとのより良い付き合い方とは何なのでしょうか? 前半のトークセッション、後半では個人データを用いたワークショップを通じて、人間とデジタルとの「ちょうどいい関係」を探ります。

①【トークセッション】14時00分~15時30分
デジタルは「ちょうどいい道具」になれるのか?~現代のコンヴィヴィアリティをめぐって

概要
人間とデジタルやAIの違いを明確にすることで、どのあたりが人とテクノロジーの「ちょうどいい」関係なのかを探るべく、多様なゲストをお迎えして議論します。 デザインエンジニアとして人とテクノロジーの共生を提唱し、『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』を今年出版した緒方壽人氏(Takram)、対人認知のバイアスの社会への影響を社会心理学の立場から研究する唐沢かおり氏(東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻教授)、JUNETやWIDE Projectでの活動を通して日本におけるインターネットの発展・普及に貢献してきた砂原秀樹氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)、「べき則」の観点からデジタルと人間の違いを明らかにしてきた七丈直弘氏(一橋大学 経営管理研究科教授)をお迎えし、人間とデジタルの「ちょうどいい」関係について議論します。

登壇者
緒方壽人(Takram デザインエンジニア)
唐沢かおり(東京大学 大学院人文社会系研究科 教授)
砂原秀樹(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
七丈直弘(一橋大学 経営管理研究科 教授)
ファシリテーター
塚田有那(編集者/キュレーター)

②【ワークショップ】15時45分~18時00分
デジタルペルソナから『ちょうどいい道具とは何か?』を考える

概要
日々ネットサービスに提供している個人データからは、データ上の「デジタル・ペルソナ」が浮かび上がってきます。データから描き出されるデジタルとしての"自分"は、一体どんな姿をしているのでしょうか?
このワークショップでは、Google Takeoutサービスを活用し、デジタルサービスの利用により蓄積・収集された利用履歴といった個人データを、ユーザー本人がそのまま保有し・再利用する「データポータビリティ」を体験します。後半では、今秋公開予定のアプリ『Personary 2021』を活用し自分のデジタル上のペルソナを可視化します。

導入講演
國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
登壇者
(前半)「デジタル情報を自分の手に取り戻す体験をする」
    柴崎亮介(東京大学 空間情報科学研究センター教授)
(後半)「自分のデジタルペルソナを体験する」
    橋田浩一(東京大学大学院情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センター教授)
ファシリテーター
庄司昌彦(武蔵大学社会学部 教授/国際大学GLOCOM主幹研究員)
塚田有那(編集者・キュレーター)

※詳細はお申込者に直接ご連絡いたします。

開催概要

■詳細アカデミーヒルズサイト
■日時:2021年10月10日(日)14:00-18:00
■会場:オンライン開催
■参加費:無料/事前申し込み必要(お申込み期限:2021年10月10日(日)14時まで)
■主催科学技術振興機構 社会技術研究開発センター
■協力アカデミーヒルズ

お申し込みはこちらから

登壇者

photo スピーカー
國領二郎
慶應義塾大学総合政策学部 教授
1982年東京大学経済学部卒。日本電信電話公社入社。1992年ハーバード・ビジネス・スクール経営学博士。1993年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助教授。2000年同教授。2003年同大学環境情報学部教授、2006年同大学総合政策学部教授などを経て、2009年より2013年総合政策学部長。また、2005年から2009年までSFC研究所長も務める。2013年より2021年5月慶應義塾常任理事を務める。
主な著書に「オープン・アーキテ クチャ戦略」(ダイヤモンド社、1999)、「ソーシャルな資本主義」(日本経済新聞社、2013年)がある。
「人と情報のエコシステム」領域総括

photo スピーカー
庄司昌彦
武蔵大学社会学部 教授 国際大学GLOCOM主幹研究員)
中央大学大学院総合政策研究科博士前期課程修了、修士(総合政策)。おもな研究領域は情報社会学、情報通信政策など。東京大学情報学環客員研究員、内閣官房オープンデータ伝道師、総務省地域情報化アドバイザー、(一社)オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン代表理事、(一社)MyData Japan理事、技術と社会の対話プラットフォーム「HITE-Media」研究代表者なども務めている。
担当プロジェクト:「人文社会科学の知を活用した、技術と社会の対話プラットフォームとメディアの構築」

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七丈直弘
一橋大学 経営管理研究科教授
東京大学理学部数学科を1994年3月に卒業後、同大学院工学系研究科に進学し、1999年に博士(工学)を取得。2000年、東京大学大学院情報学環の立ち上げに際し、助手として着任。その後、特任助教授、助教授(准教授)として、イノベーション研究およびデジタルコンテンツ分野の人材育成に従事。2010年、早稲田大学高等研究所(WIAS)准教授。2012年から2016年まで、文部科学省科学技術・学術政策研究所で上席研究官として、第10回科学技術予測調査の企画と実施に携わる。2016年より東京工科大学教授・IRセンター長。2020年より現職。研究テーマは、データ駆動型アプローチによる複雑現象の理解。その対象は先端材料から、大学や企業での研究開発、科学技術政策、未来洞察、アニメ製作プロセスまでを含む。
担当プロジェクト:「冪則からみる実社会の共進化研究 -AIは非平衡な複雑系を擬態しうるか-」
関連インタビュー:「AIと社会の関係を「冪則」で読み解く」田中(石井) 久美子(東京大学先端科学技術研究センター教授)

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橋田浩一
東京大学 大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター 教授
1981年東京大学理学部情報科学科卒業。1986年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。1986年電子技術総合研究所入所。1988年から1992年まで(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向。2001年から2013年まで産業技術総合研究所。2013年から東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター教授。2017年から理化学研究所革新知能統合研究センター社会における人工知能研究グループグループディレクター分散型ビッグデータチームリーダを兼任。専門は自然言語処理、人工知能、認知科学。現在の主な研究テーマはパーソナルデータの分散管理と意味的構造化およびそれに基づく人工知能。
担当プロジェクト:「パーソナルデータエコシステムの社会受容性に関する研究」

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柴崎亮介
東京大学空間情報科学研究センター 教授
東京大学 空間情報科学研究センター 教授 1982年東京大学大学院工学部土木工学科修了。建設省土木研究所勤務の後、東京大学工学部助教授、同大学生産技術研究所助教授を経て、1998年より現職。実世界を対象とした総合的計測・センシング技術、多様な観測データとシミュレーションによるデータ同化と状況推定技術、それらを利用した意思決定や活動支援サービスのデザイン技術などの研究・開発を行う。
担当プロジェクト:「データポータビリティ時代におけるパーソナル情報のワイズ・ユース実現支援プラットフォームに関する研究」

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砂原秀樹
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授 情報処理学会監事
WebDINO理事 WIDE Project Board Member デバイス WebAPI コンソーシアム 副代表

1984年から日本におけるインターネットの構築とその研究に従事。2005年よりインターネットを通じて環境情報を共有するLive E!Projectを開始。インターネット上に分散した人間の行動、ネットワークセンサ、自動車、物が生成する情報から知識を構成することに興味を持つ。またインターネットを基盤とした安心・安全な社会を構築するためのセキュリティ、プライバシーの研究にも従事。
担当プロジェクト:「データポータビリティ時代におけるパーソナル情報のワイズ・ユース実現支援プラットフォームに関する研究」

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緒方壽人
Takram Director, Design Engineer
ソフトウェア、ハードウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで幅広く領域横断的な活動を行うデザインエンジニア。東京大学工学部卒業後、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)、LEADING EDGE DESIGNを経て、ディレクターとしてTakramに参加。主なプロジェクトとして、「HAKUTO」月面探査ローバーの意匠コンセプト立案とスタイリング、NHK Eテレ「ミミクリーズ」のアートディレクション、紙とデジタルメディアを融合させたON THE FLYシステムの開発、21_21 DESIGN SIGHT「アスリート展」展覧会ディレクターなど。2004年グッドデザイン賞、2005年ドイツiFデザイン賞、2012年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など受賞多数。2015年よりグッドデザイン賞審査員を務める。

photo スピーカー
唐沢かおり
東京大学 大学院人文社会系研究科 教授
京都大学大学院文学研究科博士課程退学。University of California, LosAngeles, Ph.D(Social Psychology)。
専門は社会心理学。社会的認知、なかでも、人が他者をどう理解し、道徳的な観点からの評価を下すのか、また、そのプロセスにあるバイアスが、どのような相互作用や社会現象をもたらすのかについて、「対人認知」、「道徳心理学」、「実験哲学」の文脈で研究。情報技術が、倫理や道徳、社会のあり方、人間の定義をどのように変えるのか、対ビッグデータ、対AI認知についても関心。著書に『社会的認知--現状と展望』『〈概念工学〉宣言!--哲学×心理学による知のエンジニアリング』『なぜ心を読みすぎるのかみきわめと対人関係の心理学』など。
JST-RISTEX「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」プログラム総括

photo ファシリテーター
塚田有那
編集者・キュレーター
世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。一般社団法人Whole Universe代表理事。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。12年より、東京エレクトロン「solaé art gallery project」のアートキュレーターを務める。16年より、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム(HITE)」のメディア戦略を担当。近著に『ART SCIENCE is. アートサイエンスが導く世界の変容』(ビー・エヌ・エヌ新社)、共著に『情報環世界 - 身体とAIの間であそぶガイドブック』(NTT出版)がある。大阪芸術大学アートサイエンス学科非常勤講師。
http://boundbaw.com/