
まるで染物のような背景は、結晶の方位の異なりを赤や黄色などに色分けした銅系形状記憶合金のEBSD像。加熱と冷却の繰り返しによる結晶粒の異常成長を発見した東北大学の貝沼亮介教授らは、できた結晶内のモヤモヤ模様に気づいた。近隣との方位のずれを青や緑に際立たせるGROD像(手前)で見ると大きな結晶粒(白線)内に小さな結晶の集合体ができていた。
熱処理中に900℃から500℃に下げると微妙に方位の異なる小さな結晶に分かれ、再加熱すると方位を揃えながら隣の結晶を侵食するように異常成長する(赤矢印)と考えている。わずかな方位のずれが成長の駆動力になるのだという。(特集2より)