基礎的研究推進事業評価報告書


第1部 科学技術振興事業団の機関評価にあたって
1. はじめに
 科学技術振興事業団(以下「事業団」という)では「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成9年8月7日内閣総理大臣決定)に基づき、事業団が運営する事業の全般にわたって評価を行い、事業団が実施している事業の内容とその科学技術振興上の意義を明らかにするとともに、事業団の運営に当たっての改善事項を抽出することを主眼とする評価(以下「機関評価」という)を行っている。(資料1参照)

 事業団は機関評価を実施するに当たり事業団の外部から選任される評価者からなる総合評価委員会(以下「委員会」という)に機関評価を依頼するものとされており、熊谷信昭委員長(大阪大学名誉教授)及び13名の委員から構成される当委員会が設置された。(資料2及び資料3参照)

 事業団は多岐にわたる事業を実施していることから、機関評価については事業を「科学技術情報流通促進事業」、「技術移転推進事業」、「基礎的研究推進事業」、「研究交流促進・研究支援事業」、「科学技術理解増進事業」の5つに大別し、平成10年度から毎年度個々の事業についての評価を順次行うとともに、平成14年度にそれらの結果を総合した運営全般についての評価を行うとしており、平成12年度は基礎的研究推進事業を機関評価の対象と選定した。

 委員会では当該事業を評価するため基礎的研究推進事業評価部会(以下「部会」という)を設けることとし、委員会委員である 寺田雅昭 国立がんセンター 総長を部会長に指名した。部会は寺田部会長及び部会委員13名から構成され本事業の評価活動を行った。(資料4参照)

 委員会は平成12年5月9日に開催された第5回会合において部会を設置した。部会は先ず事業団の実施する個別事業についての検討を行うこととし平成12年9月29日から平成13年1月22日まで5回の審議を行い、評価の状況を委員会に対して中間的に報告した。(平成13年2月16日)
 委員会での意見等を踏まえ部会は更に2回の審議を行い評価報告書の取りまとめを行った。平成13年6月15日、委員会は部会における取りまとめをふまえ本報告書を作成した。(資料5参照)

 部会では、創造科学技術推進事業、国際共同研究事業、戦略的基礎研究推進事業及び個人研究推進事業のそれぞれの事業の研究実施場所の視察及び研究者等との意見交換を行うとともに創造科学技術推進事業の元総括責任者、国際共同研究事業の元代表研究者、戦略的基礎研究推進事業の研究統括、個人研究推進事業の領域総括と意見交換をおこなった。

 委員会は、事業団から評価対象事業についての説明を受けた後、(1)事業による成果は得られているか、(2)国民に十分な説明が出来ているか、(3)効率的・効果的に業務運営がなされているか、(4)業務運営システムに問題はないか、(5)時代(社会・経済)の要請の方向に沿っているか、(6)科学技術の発展の状況と整合しているか、更には、(1)事業の中でも特に重点化すべきものは何か、改善点は何か、(2)我が国が将来に向かって科学技術分野で果たすべきことに関する展望を踏まえた上での評価対象事業の展開を図るための方策如何、という視点から評価を行うこととされた。委員会は審議にあたりこれらの視点を踏まえ評価を行った。(資料6参照)

 事業団では、その基礎研究システムの国際性及び研究成果の世界的水準からの比較の必要性に鑑み委員会、部会とは別に海外の学識経験者にも評価を依頼することとし、別記要領に従い海外評価委員5名が招聘され評価を行った。海外評価委員は評価に際して事業団役職員との意見交換のほか創造科学技術推進事業、国際共同研究事業、戦略的基礎研究推進事業及び個人研究推進事業のそれぞれの事業の研究実施場所の視察及び研究者等との意見交換を行うとともに既に審議を行っていた部会の委員と意見交換を行い、別添の通り各自の評価報告書の提出を行った。この報告書については部会及び委員会の審議においても十分参考とすることとした。(資料7及び資料8参照) 
2. 評価対象事業の概要とこれまでの成果
(1) 創造科学技術推進事業
目的・内容
 本事業は、基礎的な研究から今後の科学技術の新しい領域を開拓するとともに、技術革新をもたらす新しい科学技術の芽を積極的に生み出すことを目的とし、幅広い調査に基づき卓越した指導力・洞察力を備え若い研究者を触発しうる総括責任者を指定し、そのもとに産・学・官及び海外の優れた若手研究者が一定期間(5年)組織、研究分野の壁を越えて新天地(オフキャンパス)に結集し、人中心の研究と弾力的な運営を行うことにより、創造性を十分に発揮しつつ基礎的研究を推進するものである。なお、研究者の創造的研究活動が意欲的に進むようプロジェクト毎に研究推進に不可欠な事務的事項を支援する(黒子)仕組みをとっている(別表参照)
体制及び予算
職員  12名 
平成12年度予算  78億円
(別紙参照)
業務実績・成果
20プロジェクトを実施中(41プロジェクト終了)
(別紙13参照)
(2) 国際共同研究事業
目的・内容
 本事業は、革新的な科学技術の芽の創出や日本と海外諸国との科学技術活動の協力を図ることを目的とし、創造科学技術推進事業と同様の研究形態(日本側の研究チーム)をとり外国の公的研究機関と科学技術の基礎的分野で共同研究を行うことで、両国の異なる文化、研究活動の融合を通じて基礎的研究を推進するものである。平成9年度から先進国型に加えアジア・太平洋地域型として当該地域に固有な自然環境、社会環境に着目した共同研究を進めている。(別表参照)
体制及び予算
職員  2名
平成12年度予算 21億円
(別紙参照)
業務実績・成果
先進国型8プロジェクト、アジア・太平洋地域型3プロジェクト実施中(6プロジェクト終了)
(別紙13参照)
(3) 戦略的基礎研究推進事業
目的・内容
 本事業は、「科学技術創造立国」を目指し、明日の科学技術につながる知的資産の形成や新産業の創出を図ることを目的として、国(文部科学省)が示した戦略目標のもとで定められた研究領域について、大学、国公立試験研究機関、特殊法人、企業等に所属する研究者から研究提案を募集し、その研究機関の研究ポテンシャルを活用しつつ競争的な環境のもとで、将来の科学技術に大きなインパクトをもたらし、国際水準から見てピークを狙う基礎的研究を推進するものである。(別表参照)
体制及び予算
職員 33名
平成12年度予算291億円
(別紙参照)
業務実績・成果
285課題(18研究領域)実施中
(別紙13参照)
(4) 個人研究推進事業及び若手研究者研究推進事業
目的・内容
 優秀で意欲のある若手研究者に自由な研究実施の機会と研究費を与え、既存の組織・体制のなかで実施が困難であった研究者個人の自由な発想に基づく基礎的研究を推進するものである。
(ア) 個人研究推進事業
 本事業は、時代を先駆ける科学技術の芽を創ることを目的とし、これまで研究者個人により温められていた初期的な段階の研究を研究者の前歴、業績にこだわらず広く募集し、研究者の独創性を活かした自由な発想に基づく基礎的研究を推進するものである。(別表参照)
(イ) 若手研究者研究推進事業
 本事業は、新しい研究分野や技術領域の開拓や科学技術創造立国を目指した知的資産の形成、新技術の創製を目的として、個人研究推進事業の成果あるいは個人レベルの研究成果の飛躍的発展を図るため、柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者のグループ研究に焦点をあて、独創性に富む研究提案を広く募集し基礎的研究を推進するものである。(別表参照)
体制及び予算
職員   4名
平成12年度予算  40億円(個人研究推進事業)
13億円(若手研究者研究推進事業)
(別紙1012参照)
業務実績・成果
(ア) 個人研究推進事業
 182課題(9研究領域)実施中、200課題(10研究領域)終了
(イ) 若手研究者研究推進事業
 42課題(3研究領域)実施中
(別紙101113参照)
   
第2部 評価意見
はじめに
 この評価報告書は7回にわたる部会での審議及び領域総括等との意見交換、現場視察などを踏まえ、事業団における基礎的研究推進事業について評価を行い次のとおり意見を取りまとめた。これらは別に行われた海外評価委員による意見も参考にしながら、独自の意見として取りまとめたものである。
 ただし、事業団の基礎的研究推進事業は国の科学技術政策の実施の手段としての重要な位置づけを持ち、事業団の事業の評価は国の基礎研究の推進のあり方全体に係る部分も出てくる。そのような全体的視点から事業の評価に際して前提となる事項をあらかじめ以下に掲げておく。
(1) 基礎研究のあり方
 事業団の基礎的研究推進事業は日本全体の基礎研究制度の中で優れているが、国全体の中での位置づけはまだ十分に大きいとは言えない。具体的には各省庁の主要な競争的資金による基礎研究費全体の15%程度である。このような優れた事業の拡充をはかるとともに、この独創的な研究システムを積極的に日本の基礎研究制度の中に取り入れていくことが望ましい。特に基礎研究が国際的、国内的にもダイナミックに展開するためには研究者の流動性が不可欠であり、研究者の活性化、視野を広げるためにも役立つものである。
 一般に基礎研究制度は、当初は研究システムの特徴を活かした運用がなされているものであっても、年を経るにつれて次第に初期のダイナミズムが失われて旧来型の柔軟性に乏しい運用に戻っていく傾向がある。こうした観点から事業をつねに見直すことが必要である。
(2) 基礎研究の戦略性
 国として重点的に進める基礎研究にあっても具体的な戦略目標が必要である。その際の戦略目標とは単純な指標だけで示せるものではなく、科学技術戦略あるいはその他の国の戦略、我が国の特性や特異性を十分踏まえて設定されるべきであり、具体的には次のような事項に配慮することが必要と考えられる。
欧米の科学技術戦略は系統的かつ総合的に行われている。日本の科学技術戦略は限られた分野・目標に限定されてしまう傾向が強い。更に科学技術と人間社会のかかわり合いに配慮し、産業化・企業化への具体的目標達成への総合的な科学技術戦略が定められることが必要である。
日本の基礎研究については、問題解決の意識が少ないため総合的な視点が育ちにくく、物作り重視(ツール志向)になり結局手段が目的化する傾向があり是正を図っていくべきである。
基礎研究から実用に向けての道筋を考えるに当たっても、アメリカにおける研究は一般的に数カ所の研究機関の研究者による共同研究であるのが多いのに対し、日本の研究はほとんどが単独の機関での研究である。優れた研究成果を生み出していくには、共同研究体制を組めるように研究費を支出し、最後にはそれが実用につながるよう手当していく必要がある。
研究者は、研究費が与えられた場合自分のファミリーだけで行う研究者と、世界中の一流の研究者と協調して行う研究者とに分かれる。すぐれた成果は明らかに後者から生まれる。研究者は世界的なネットワークをうまく使うことが必要である。
 また、例えばバイオサイエンスの場合、現在では、海外の研究所に直接投資して研究する方がかえって大きな成果をあげることができる。一方、バイオサイエンスの研究者はグローバル化して、日本人であっても日本の研究として行っているという意識はない。このように科学技術の分野に応じて「日本のシステム」ということの意味するところを考えなければいけない。
   
   以上のような観点から戦略目標や研究領域が決定されるべきである。このためには戦略目標の決定責任者を明らかにし、日本の社会での目標や優先順位を明確に定め、社会との関係における科学技術上の目標の論理構築を行っておくことが何より重要である。このような議論の中で、研究現場の意見を踏まえた、日本全体の研究組織、研究者や研究予算のあり方が示されることが望ましい。
(3) 評価のあり方
 評価については、いくつかの段階・種類があり、それぞれに応じて適切に実施することが必要である。
国費を使った様々な研究については、全体として十分成果が上がったのか、もし上がっていないとすればプロジェクトの選定や研究費の出し方のどこに問題があったのかなどを見直すことが必要である。
研究者や研究課題の評価については、評価を行う専門家が真に独創的なものを理解できずに排除する恐れが常にある。厳正な評価は重要であるが一方で異なる価値観からの多元的な評価が行われることも重要である。また、研究者が他の研究分野における研究者の独創性を謙虚に認める風土に乏しい我が国においては、専門家の教育と個性を尊重する新しい風土作りが必要であると共に評価者も評価していくことなどが必要である。
研究においてアイデアを生み出す人とそのアイデアを発展させる人はタイプが違い、同じ人ではできないことが多い。研究において芽を創った人だけを独創的だと評価するのではなく、大きな流れにした人も対等に評価をすべきである。
中間・事後評価は、企画(事前評価)そのものの評価の意味もあり事前評価者と事前評価に関与しなかった人で構成することが望ましい。また事業の内容によっては評価者に海外の科学者を含めることも考慮に入れることが重要である。
期間を定めた研究は、研究の終わりごろに芽が出ることや終わった後かなり時間が経って成果が出ることもあるので、長期にわたる追跡調査が必要である。
中間評価と事後評価の評価結果が次の展開に使われることが殆どないという研究者や評価者からの不満がある。これらの評価結果を活用して良い研究成果を更に発展させる制度が望まれる。
(4) 成果の公開
成果の公開に当たっては、使いやすく専門家以外の人にも理解できるよう分かりやすく公開すべきである。インターネット上では外国政府機関の研究がかなり細部まで公開されているが、日本は今でも不十分である。日本の政府機関等の資料は国民が誰でも見たり使えたりできるように公開すべきである。アメリカの政府機関等では著作権がほとんど付いていないが、日本では公開されるときに著作権が付いており利用しにくい。国民の税で行われるものの研究成果の利用は極力制限を設けないことを原則とすることが望ましい。
日本人研究者は成果の宣伝が不十分である。研究者も学会等の発表の場で絶えず自分の成果を主張する必要がある。このためには英語の問題も含めて、研究成果の出版や発表の媒介に対する国の援助は極めて重要である。
(5) 大学における教育との関係
公募型研究の場合は、大学から若手研究者をピックアップすることとなるが教育との兼ね合いの問題が出て来る。
選ばれた研究者が研究にかなりの時間を投入しようとすると今の大学、大学院における教育システムとの調整をどこかで行わないと大きな問題となる可能性がある。こうした研究者の大学での教育義務をある程度免除するシステムを大学の方で創らないといけないかもしれない。
2. 基礎的研究推進事業の全般的評価
(1)  1980年以前は基礎研究は大学において研究者の自由な発想により推進されていた。1980年頃より経済社会の発展のために新技術の芽の創出を目的とする基礎研究を強力に進めるべきという強い要請が出る一方、貿易摩擦問題が先端技術分野にも及びはじめ、欧米の日本に対する基礎研究タダ乗り批判がおこるに至った。基礎研究を推進するため、日本で初めての研究期間を定め、かつ流動的研究制度を創設した(創造科学技術推進事業の創設)。
1980年後半には日米科学技術摩擦にまで基礎研究問題は発展し、国際貢献に向けた対応に加えて、1990年代前半には個人の独創性を目指す基礎研究が強く求められるようになる(国際共同研究事業・個人研究推進事業の創設)。更に1995年の科学技術基本法、第1期科学技術基本計画を受けて国際競争力のある科学技術創造立国を目指す政策が各省庁こぞって採用された(戦略的基礎研究推進事業の創設)。このように日本の基礎研究戦略は短期間で大きく変化しており、これに対応して事業団は創造科学技術推進事業、国際共同研究事業、戦略的基礎研究推進事業、個人研究推進事業等の諸事業を適切かつ有効に機能させてきた。特に事業団はこのような基礎的研究推進事業を行うにあたり研究者に良好な研究環境を提供するいう観点から各種の支援業務を行うなど研究者を主体とした黒子としての役割を続けている。
(2)  事業団のすべての基礎的研究推進事業の母型となった創造科学技術推進事業を見てみると1981年創設当時にあっては画期的な事業であった。
 1980年以前にあっては、我が国の研究は終身雇用により、常設の研究組織が中心となって進められてきた。科学技術分野も基礎研究と応用開発研究が比較的明瞭に棲み分けて進められて来た。
 このような中で創造科学技術推進事業は、意識的に学際的なテーマを取り上げ(このため異分野研究者との積極的な交流を促進)、学術的基礎研究に止まらず新技術の創製までを目標とする(このため組織の壁を取り払った産学官からの研究者を結集)一方、総括責任者の裁量を極力尊重し、期間限定の研究組織、任期付の雇用による新しい研究システムを創設した。また、研究推進に当たっては研究者のオリジナリティーが発揮されるよう事業団の直轄方式による柔軟な運営を行った。
 このシステムは、大きな成功をおさめそれ以降、理化学研究所の国際フロンティア研究システム、(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST)の研究事業等に、その特徴が反映されている。
 もちろん事業団の基礎的研究推進事業では、多くの研究者の中から優秀な研究者を選考し集中的に投資を行う方法をとっており、多数の研究者に平等に配分される我が国の従来の基礎研究制度に比べ違和感を生じさせている点も少なくないが、新たな研究システム構築には不可避な摩擦であると考える。
(3)  因みに創造科学技術推進事業については1988年および1996年に米国NSF(National Science Foundation)の委託によるJTEC(Japanese Technology Evaluation Center)が調査を行い、米国においても参考にすべき点が多いと高い評価をしている。
(4)  その後、創造科学技術推進事業のメリットを生かしつつ、国際共同研究の新しい枠組みとして構築した国際共同研究事業を設けるとともに、提案公募方式による個人研究者を対象とした個人研究推進事業、既存の研究機関の研究ポテンシャルを活用した戦略的基礎研究推進事業が設けられており、それぞれ十分な成果をあげている。
3. 基礎的研究推進事業の個別事項に関する指摘
(1) 基礎的研究推進事業の基本的考え方
 我が国の基礎研究諸制度の中で、事業団の基礎的研究推進事業が多額な研究費の投入によるプロジェクトの推進や総括責任者、研究代表者等に大きな自由度を与えたことは妥当であると考える。
 まず創造科学技術推進事業は公募型をとらないユニークな方式であるが、前述のように日本の基礎研究システムに大きな影響を与えており評価される。国際共同研究事業も非公募という点では同様であるが、創造科学技術推進事業の成果を展開したものも見られ、欧米諸国の協力のもとで研究が推進されたことは評価される。
 一方これら以外の事業団の基礎的研究推進事業について、戦略目標を明確に定めた上で、広範な分野の様々な研究者、研究テーマの公募という方法を採ったことは、多様な研究資金により日本の基礎研究を重点的に推進するという点からも評価される。
(2) 研究者等
領域総括・研究統括
 領域総括及び研究統括(以下「領域総括等」という)は広範なデータベースを利用した調査や事業団の独自の調査を踏まえ、その分野で活躍している者を選んでいる。
 個人研究推進事業における領域総括は英語で言うならばDirectorではなくMentorに該当し、研究者を直接指導はしない。研究者は、大学や国研などそれぞれが所属する研究機関で研究するが、それぞれの機関で孤立しかかっている等の情報が入ると研究者の上司と協議して問題の解決を図ることのほか、1年に1度は研究現場を訪問してその職責を果たしている。
 また領域総括等は研究現場の訪問のほかシンポジウム、打ち合わせ等を通じて常に研究者の研究状況を把握し、助言や予算配分を通して研究の進め方にフィードバックをかけている。このような領域総括等の機能や徹底した中立性は、事業団の基礎的研究推進事業の特色として維持することが適当である。
研究者
 基礎的研究推進に当たっては産学官の優れた研究者の連携結集が必要であるが、それぞれの事業に問題がない訳ではない。特に創造科学技術推進事業や戦略的基礎研究推進事業においては、材料系やエレクトロニクス系のプロジェクトでは企業の研究者が比較的多く参加するが、生物系ではなかなか企業の研究者の参加が得られにくい傾向が見られる。
 一方、事業に参加した大学の研究者は一見数が多くはないが、大学を辞めてきた人、ポスドクを含めれば相当な人数となる。また、事業団の基礎的研究推進事業においては若い研究者の育成(大学院生の教育の意味も含め)という見地からも実績を挙げており、評価すべき重要な成果である。
 事業に参加したポスドクの処遇については、固定された給与体系ではなく研究者毎に年俸を決めており、その際の裁量の幅は標準的年棒の±30%としている。研究代表者、総括責任者等は単に高給を払うのではなく、実績に応じた明確な考課を行っており、健全且つ競争的な人事政策となっている。
(3) 研究費
 多額な研究費を投入し、その運用に際しては研究代表者、総括責任者等に大きな自由度を与えていることは研究活動自体に柔軟性を持たすこととなり、研究の発展に大きく寄与している。ただしプロジェクト・研究課題毎の研究費には幅はあるもののなお大枠があるようであり、もっと柔軟性を持たせることを検討する必要がある。
(4) 研究期間
5年ないし3年という期限を付けることは明確な目標と適当な緊張感を研究者に与えることとなり評価できる。
創造科学技術推進事業では研究実施期間が5年間であるが、研究開始時の研究設備の立ち上げに期間を要するため、実質的に研究を開始するまでに1年程の準備期間が必要となっているのが実態である。また、国際共同研究プロジェクトについても特に相手国研究機関との関係においても準備期間は必須である。このような点を配慮してこれら両事業とも実質研究期間5年を確保するため、半年ないし一年の準備期間を与えるのが望ましい。
(5) 研究場所
 創造科学技術推進事業の研究実施場所については、国立大学の場合、現在の大学の体制等の問題からオフキャンパス方式をとっている。これには大学キャンパスから離れて行うことにより、大学等の運営から独立し、十分なスペースの確保や能力のある研究員の雇用が可能となるなどのメリットがある。海外評価委員の大学の研究施設改善が必要という指摘は尤もなものであり、オフキャンパスによりすぐれた研究者のための良好な研究環境の提供を図っている点は高く評価したい。
 しかしながら基礎研究は、同じ場所に多くの優れた研究者が集まって密接に情報交換しながら研究を行うことが良いという考え方もある。例えばライフサイエンスであれば、大学の研究室に近い場所に研究実施場所を持つ形に出来たらより適切な場合もあろう。大学側の理解を受けながらオンキャンパスのメリットを生かすことも考えるべきである。
 創造科学技術推進事業以外では、研究者の判断により研究実施場所を選べることとなっており適切である。
(6) 成果
社会還元
 事業団の行う新技術の創製に資する基礎研究については息の長い研究であり、具体的に目に見える成果に結びつくには相当長期にわたる懐妊期間が必要である。基礎的研究推進事業については、研究成果の技術開発段階への移行や具体的な商品開発まで至っているかどうかという点のみならず、新しい科学技術分野の創設、特許の取得や我が国全体の科学技術の中で画期的な方向付けやインパクトを与えたか、新しい研究システムとして他の制度等への波及効果など多様な観点から社会還元が行われているかを見るべきである。これらの点を考慮に入れると事業団の基礎的研究推進事業は十分その成果を上げていると考える。ここでは特に、事業発足後十分時間の経過している創造科学技術推進事業を例に取ってみても、研究の終了したプロジェクトは科学技術に対して様々な影響と効果を上げている。例えば、林超微粒子プロジェクト、増本特殊構造物質プロジェクト、緒方ファインポリマープロジェクト、掘越特殊環境微生物プロジェクト、宝谷超分子柔構造プロジェクト、榊量子波プロジェクトなどがある(別紙14参照)。
 しかしながら、新しい基礎研究システムの成果を評価するためには、現在行われている5年程度の研究課題評価だけでは十分ではない。長期にわたる広範な追跡調査も含めながら10年以上の長期的な評価を国の指針などとは別に自主的に行ってみることが望ましい。
論文・特許・企業化
 基礎的研究推進事業における最新1年間の外部発表件数は、創造科学技術推進事業726件、国際共同研究事業269件、戦略的基礎研究推進事業6,619件、個人研究推進事業983件になっている。問題は外部発表の質であり、これらについては審議の過程で事業団の基礎的研究推進事業に限らず定量的評価の難しさが再三指摘された。所謂、サイエンス、ネーチャーへの掲載数だけで比較することは必ずしも適切とは言えないという意見がある。事業団の基礎的研究推進事業が総合的には評価し得るものとなっていることは認められるものの、より一層国際的評価に耐えうるようなものとしていく必要がある。
 特許については、その対象とする研究が極めて原理に近い研究段階であるため、登録件数を他の応用段階に近い研究を行う機関と比較することは難しいが、大学に比べれば画期的な件数になっている。特に注目すべきは、事業団が特許出願のために、原則それぞれのプロジェクト事務所等に専門家(技術参事等)を配置し、更に事業団本部に多数の嘱託弁理士を配置することにより研究者を殆ど煩わせることなく海外を含む調査、出願手続き、特許取得の可能性の検討等を実施していることはユニークな方式であり、日本の他の研究システムに波及させることを望みたい。基礎的研究推進事業の成果の企業化については、事業団の技術移転制度(新規事業志向型研究開発成果展開事業、独創的研究成果共同育成事業、委託開発事業、研究成果活用促進事業など)に乗せてはいるもののこの努力は一層充実させるべきである。
(7) 設備の利用
 基礎的研究推進事業で調達した装置等は新しく始まるプロジェクトに移したり、あるいは、総括責任者、研究代表者の所属している大学等やそのプロジェクトに参加した研究員の出身企業等で引き続き使用させるなど設備の有効利用が進められているが、これを一層進めるべきである。
(8) 評価
基本的考え方
 創造科学技術推進事業などの事業は、初めから応用研究を目標としているのではなく、また事業団は総括責任者に5年間の研究の推進を任せることを事業運営の基本としているので、中間評価は、評価というよりはアドバイス程度でよいという考え方もありえよう。
 一方、戦略的基礎研究推進事業など学内で比較されやすい事業については、限られた人々に多額な資金が配分されていることとなり、つねに不満や批判がつきものである。研究費の配分に浴している研究室とそうでない研究室との研究内容や指向の違いが明白なときは問題ないが、それが少ないときが問題となる場合がある。戦略的基礎研究推進事業では現在、中間評価に際し領域アドバイザー以外の外部の専門家を参加させるケースも見受けられるが、今後はこの様な点を考慮して外部の専門家の参加により一層積極的に取り組む必要がある。中間評価によって、後半の研究を進めるか打ち切るかまでを決定できれば、中間評価の意義も緊張感も高まるであろう。
 一方、戦略的基礎研究推進事業には共同研究者がいるが、この共同研究者が受け持っている部分の評価についても研究代表者とは別に、明確に実施すべきである。
 また研究者の選定が適切であったか、本当に研究が結実したのか、などを評価するためには、基礎研究から実用化に至るまでに相当の期間が必要であるため長期の追跡調査を的確に行うべきである。
ピアレビューの考え方
 ピアレビュー(一般に当該研究の専門領域に近く、かつ先輩ではなく同僚を審査委員として行われる評価)の重要性は、いうまでもないが、ピアレビューだけで事業団の基礎的研究(提案公募型基礎的研究)の評価を進めることにはいくつかの問題がある。
 第一に専門家が非常に狭い範囲に入り込んで総合的視野に欠けること、第二に基礎研究であっても基盤的な基礎研究でないプロジェクトリサーチあるいは、コントラクトリサーチに対しては別の評価方法が必要であること、第三に評価者が評価に当たって知り得た情報を不正に使用しないようにすることも必要であろう。いずれにしろ多額の資金を投入している研究の評価であり、各事業の狙い、特徴などを反映させた的確な評価方法を確立すべきである。(2001年度に事業団はピアレビューのフィージビリティ調査を実施する予定となっておりその結果に期待する)
評価結果の反映
 前述のように、事業団の基礎的研究推進事業の研究期間は最長5年間となっているが、例えばバイオサイエンスの研究は世界的に見ても5年間は最短期間であり、もっと長期の研究期間が必要であるとの意見も強い。事業団では、平成12年度から新たに基礎的研究発展推進事業を開始することとしているが、厳正な評価の前提の下に、すぐれた研究に長期の資金の提供が保証されるようにこの制度を運用していくことは、実効ある評価制度の定着のためにも大いに期待されるところである。
 また評価結果の活用と言う意味で、このプロジェクトに加わった研究者について、大学をはじめ各研究機関における種々のしくみや制度においても適切に評価してもらう必要がある。
評価結果の公開
 事業団における評価結果については、事前・中間・事後評価はすべて公開されており、問題はない。しかし、評価の際に研究費の額やその使途については明らかにされていないケースが一部ある。評価は元来投入した研究費に対する成果だと考えるので、実施した個々のプロジェクトの研究費の内訳の公開を更に進める必要がある。
(9) 他の制度との関係
 平成13年度予算では未来開拓学術研究推進事業の新規分が廃止となり、文部科学省内での出資金による大型基礎研究制度については一応整理されている。
 出資金による公募型基礎的研究制度については文部科学省以外に厚生労働省、経済産業省、農林水産省等で行われているが、それぞれの行政目的に応じた基礎研究となっており、事業団の基盤的基礎研究とは整理がなされ発足したものであるが、特にその成果の活用に向けては、より一層の促進が図られるよう連携が必要であろう。
 科学研究費補助金については、日本の学術研究全般を底上げする制度の構成となっており、比較的少額の研究費が多数の研究者に配算され、その執行も大学事務局等の能力を活用して進められている。一方、事業団の基礎的研究事業は原則として国の定めた戦略目標に従い、かなり高額の研究費が重点的に配分されており、このような予算の性格に応じ研究費を効率的・集中的に使えるように経理、人事、特許事務等も全て事業団が直轄し、研究者への負担を最小限のものとなるように工夫している。
4. その他の配慮事項
(1) 事業団の海外の展開について
 基礎研究事業を進めるにあたって海外の研究機関、研究者との連携や共同研究の重要性は増大するものと考えられる。その際特に米国との関係は権利関係、戦略の調整など難しい点を含んでおり、事業団としてはこれらに対応するため米国に拠点機能を確保することが重要である。
(2) 応募者の属性
 戦略的基礎研究に関連して、国公立研究機関(以下「国研」という。)の研究者の参加が少ないこと、国研に今後は積極的な参加を期待するが、現在の国研のミッションではなかなか組織的に参加するのは難しいのではないか、などの議論が行われた。国研の実情は、行政目的、分野、規模なども異なり一概に述べることは難しいとの認識で一致したが、2001年度より国研の大半は独立行政法人化しており、それら研究機関にあっては、行政官庁の監督を受けることなく研究機関の長の了解のもとで研究者が自由に各省のマルチファンドに応募し、優秀な研究を行うことが活発になると言われている。そうした制度の変更に伴い、旧国研研究者も積極的に事業団の基礎的研究推進事業に応募してくることを期待する。
(3) 若手研究者の独立性
 個人研究推進事業に応募する若手研究者の組織における位置付けについて、組織の拘束力により自由な研究を行うには限界があるのではないかという指摘と、組織の柔軟度により十分対応できるであろうという指摘が行われた。今後、科学技術基本計画に基づき、若手研究者の独創的な研究の促進に向けて、予算措置が行われ、あるいは制度改善を伴う研究機関の見直しが進められていく予定である。
 このような我が国全体の動きの中で事業団の若手研究者を対象とする基礎的研究推進事業が有効に機能していくことを期待する。
   
第3部 提言
 委員会は以上の評価意見をまとめたが、最後に全体として特に注意すべき事項を提言として述べることとする。
(1) 研究システムの長所と改善点
 事業団の基礎的研究推進事業は、全体として我が国の研究開発システムの範となるものであると考えている。特に明確な戦略目標の下に研究領域が設定されて、公募により研究課題と研究者を募り、厳しい評価を経て選定していく方式は今後の基礎研究の推進方向としてもっとも的確であると考える。特にその際、事業団が行う、期間を限り、産学官から優れた研究者を現実に1つの場に集め、「姿なき研究所」としての研究運営を図ることは新しい研究システムの創製として従来多くの研究機関のモデルとなってきた。特に一般にいわれる「姿なき研究所」が観念的な研究システムであるのに比べ事業団のシステムは、年限を限った直轄組織として実在する研究組織とすることにより、経理・人事・特許管理・研究管理の雑務から研究者を解放し、また定員制度により若手研究者の雇用が進めにくい公的研究機関の研究者のためには大きなメリットとなっており研究者からも高い評価を受けている。問題は、このように個別にすぐれた制度や仕組みがあるにもかかわらず、我が国の基礎研究システム全体がなお改善を図るべき点が多数残っていることであり、この点については国全体で考えなければならない点である。
 事業団の個別の事業にも改善すべき点がなくはない。実施の段階で言えば、現在の研究者や総括責任者、領域総括等、海外評価委員も、研究プロジェクトの立ち上がりに準備期間を要することから、ある程度の準備期間が必須であると述べており、もっともな意見と考える。このほか、研究資金の弾力性、選定手続きの一層の透明性、評価の公開の促進などが指摘されたが、詳細は本論に指摘してあるのでここでは述べない。但し、基礎的研究事業における単年度会計の問題など国の資金を活用することから来る制約が部分的にあるとのことであり、これらは事業団単独の努力では実現しがたいものもあり、関係者の協力などが望まれる。
(2) 国際的評価に耐えうる基礎研究
 我が国はこれまで基礎的研究を積極的に推進し、ある程度の成果を収めてきたが、国際的な比較においては十分とは言えない状況にある。国際社会で広く日本の成果を紹介するなど国際社会での活動を高め、研究環境を整備し外国の研究者も来やすい状況をつくり、その研究を国際的評価に耐え得るものにしていく必要がある。
 例えば、国際共同研究事業は相手国と密接に連携しながら研究を進めることで、その実施期間中に国際的な人的ネットワークが形成され、また研究終了後もそれが保持されるため、優れた成果をあげている。今後、基礎的研究においては国際的な取り組みが、今まで以上に重要となるところから、国際共同研究事業の拡充強化など事業団における基礎的研究の国際性を一層高めることが必要であろう。
(3) 研究事業のフォローアップシステム
 一方、研究プロジェクトの終了後、基礎的研究事業の成果から最大の効果をあげるためのフォローアップシステムを事業団として整備することが望ましい。事業団としては短期間に優れた成果を基礎研究で上げたにもかかわらず、その先の事業に対しやや受け身の対応であったことは否めない。このような事業は、法律的には付随的業務という性格の事業となるであろうことからやむを得ない点があるものの、その効果は本来業務に劣らぬ大きな社会的インパクトとなるものもあることを強く認識すべきである。学術的な観点から言えば、得られた科学技術上の知見を踏まえ、新しい科学技術分野の創出や学会として発展させていくための支援がある。新技術開発の観点からいえば、基礎的研究の成果の中でとりわけ優れたものにその展開を促進するための新しい研究の機会を与え、技術化に一層の確実性を与えることがそれに当たる。
(4) 研究成果の自主的・長期的評価
 更に事業団は、如何なる研究制度であれ不断の見直しが必要であるとの認識の下に、自らの調査に基づく的確な制度の見直しを図ることが望ましい。特に、評価や領域設定の意見を聞く場に(今回の海外評価委員のような)事業団の事業を知悉している海外の優れた研究者を含めることは重要である。また、課題評価や機関評価は日本の場合5年の単位で行われることが多いが、革新的な基礎研究システムは5年で結実することは殆ど不可能であり、長期にわたり広範な学問的発展と社会の隅々への影響として浸透していくものであると考える。新しい基礎研究システムの創設者たる事業団では10年以上20年程度にわたる評価を自主的に行ってみることが望ましい。特に事業団は、研究システムについてこのような長期的評価を行い得る数少ない機関であり、その評価結果は日本の新しい研究システムの構築に大いに役立つであろう。その際には従来の経緯(NSFの委託により創造科学技術推進事業の調査が行われれている)から、米国NSF等の協力も得られることが望ましい。
 これらの独自の評価を踏まえて基礎研究システムの開発のフロンティアたる事業団は新しい基礎研究制度を提案していくことも、その任務と考える。
(5) 事業の見直しの視点
 最後に、事業団が今後自ら状況の変化に対応して行うべき見直しについて述べておく。今後の科学技術動向については、@新たな科学技術基本計画が決定され(2001年4月)科学技術の戦略的重点化、研究開発システムの改革、産業技術力強化のための産学官連携の仕組みの改革などが重点的政策として定められたこと、A2001年4月をもって旧国研の大半が独立行政法人に移行するとともに、大学の独立行政法人化への検討が行われていること、B企業の研究状況も経済状況やグローバル化を踏まえ大きく変化していること、などを勘案すると基礎研究をめぐる環境も大きな変化が見られるものと予想される。
 このような大きな改革・変化の中で、基礎研究の今後の方向としては、基礎研究推進機関のCOE化や競争的資金の比率の飛躍的増大が図られる一方、それらの結果としての組織体の評価やオーバーヘッドだけで解決できない個人と組織の利益の衝突も生じてくることも想定され、これらに向けて事業団としては対応していくことが必要となるであろう。
 大学、国研が大きく変わろうとしている中で創造的な基礎研究を支えてきた事業団の役割は益々重要となっている。評価に当たっても独創的ですぐれた科学的成果があげられることはもちろんであるが、更に我が国の科学技術に課された課題に対処していくために以下の視点から事業の見直しを常に行うことが必要である。
 ア 新技術の創製が図られているか。
 イ 海外から注目されるなど国際性は発揮されているか。
 ウ 若手による良質な萌芽的研究が進められたか。
 エ 研究成果を具体的な技術や更には産業として発展させるものとなっているか。
 オ 生み出された科学技術、又は目標としている科学技術を総合的、社会的観点から評価しているか。
 このような制度の見直しと併せて、基礎的研究推進事業のそれぞれにあっては、より柔軟な運用や仕組みの改善を指向していく組織としての風土が培われるべきであろう。また我が国の基礎研究を支えるもう1つの重要な制度の科学研究費補助金との基本的性格の違い(第2部3.(9)参照)を生かすことが重要である。

This page updated on August 22, 2001

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