成果概要

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スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発[2] 量子ビット制御フロントエンドの先鋭化

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、スケーラブルな高集積量子誤り訂正システムを実現するための量子ビットの制御と観測を行うフロントエンド(図1)の性能向上と小型化を目指す。

図1
図1:量子ビット制御フロントエンドの位置づけ

具体的には、(1)ディジタル信号処理を活用したシステム簡略化と信号品質の向上、(2)システムの高集積化による小型化、(3)複数ユニットの同期に必要なクロック分配の効率化、(4)エラーシンドローム解析バックエンドと連携して誤り訂正処理を行う観測およびフィードバック制御の実装、について個別に取り組んできた成果を、実際の超伝導量子ビットを用いて評価するために統合し、評価実験を行った。また、研究開発してきた技術を超伝導以外の方式の量子ビットの制御に利用するためのシステムアーキテクチャの検討を行った。

2. これまでの主な成果

 2025年度には、これまでに開発してきた要素技術を100量子ビット規模向けに評価可能なシステムとして統合し、信号処理ボード、制御ボード、および筐体を開発・製造した(図2)。

図2
図2:100量子ビット規模の制御を想定した制御装置

実際に、本装置を用いて超伝導量子ビットの制御・測定実験を実施し、装置の動作確認を行った(図3)。

図3
図3:実際の超伝導量子ビットでの実験結果の例

また、超伝導量子ビット以外の量子コンピュータへの技術展開も行った。特に、QCCDイオントラップ方式におけるイオン輸送用電極の制御および配線数削減に向け、信号の時間多重化手法を開発した。PoC用基板を開発し、複数チャネル向け信号生成機能および実環境における動作を確認した。

図4
図4:信号多重化によるイオン輸送用電極制御線の削減

加えて、誤り耐性量子コンピュータの実現に向け、エラーシンドローム解析バックエンドと連携するための通信プロトコルを開発し、研究開発項目1との連携実験によりその有効性を確認した。

3. 今後の展開

本格的な誤り耐性量子コンピュータの実現に向け、高フィデリティな量子ビット制御に必要となる、より高品質な信号制御が可能な制御装置の実現を目指す。
また、誤り訂正処理に必要な量子ビットの制御・観測方式を確立し、エラーシンドローム解析バックエンドと組み合わせることで、誤り訂正および論理量子ビット上での計算処理を実証する。
加えて、他方式の量子ビットを用いた量子コンピュータ向けに検討したアーキテクチャを、実際の量子ビット制御へ適用し、その性能を評価する。

QCCD:
Quantum Charge-Coupled Device
PoC:
Proof of Concept