成果概要

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誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発[3] 導波路光パラメトリック増幅器および光量子導波路回路に関する研究開発

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究では、大規模高速汎用光量子コンピュータに不可欠なスクイーズド光生成技術と光量子導波路回路技術の高度化に取り組みました。周期的分極反転リチウムナイオベート(PPLN)導波路型光パラメトリック増幅器(OPA)では、導波路構造・作製プロセス・位相同期法の改良により、最終目標である10 dBスクイーズド光生成を達成しました。また、OPAを量子信号検出のプリアンプとして用いる広帯域測定技術を開発し、THz級帯域観測および40 GHz級リアルタイム量子信号取得の基盤を示しました。石英系平面光波回路(PLC)では、Einstein–Podolsky–Rosen (EPR)生成回路などの要素回路とモジュール化を検討し、実機適用に向けた損失要因と改善課題を明確化しました。

図1
図1 光量子コンピュータに向けたデバイス技術(左:低損失PPLN導波路、右:平面光波回路(PLC))

2. これまでの主な成果

(1)導波路光パラメトリック増幅器による10 dBスクイーズド光生成

PPLN導波路型OPAの高性能化、広帯域測定技術、実機向け安定作製に取り組みました。

a. 10 dBスクイーズド光生成と実機向け安定作製

PPLN導波路の加工技術を見直し、低損失導波路作製に成功し、8 dB級まで向上させました。さらに、制御光導入に伴う光損失と位相誤差のトレードオフを解消する新規位相同期技術を導入し、最終目標である10 dBスクイーズド光生成を実現しました。開発したOPAは実機向けに安定製造できる技術基盤を整備し、理研の光量子コンピュータ実機の安定稼働にも貢献しています。

図2
図2 10dBスクイージングレベルの実証
b. 広帯域光量子測定技術の創出

従来のホモダイン測定では電気回路の帯域が制約となっていました。本研究ではOPAを受光前段のプリアンプとして用いる量子測定法を提案し、光の直接検出により最大6 THzにわたるスクイーズド光観測を実証しました。高速光通信向け検出器との組み合わせにより、43 GHz帯域でのリアルタイム振幅測定も実現し、超高速・多並列光量子計算に向けた測定基盤を構築しました。

図3
図3 高速リアルタイム量子ノイズ測定結果
(2)石英系平面光波回路によるEPR生成回路とモジュール化

本研究項目では、ユニバーサルスクイーザ回路の基本動作確認を起点に、MΔ-PLCとVHΔ-PLCの比較、EPR生成向け回路の作製・評価を進めました。EPR生成回路ではスクイーズド光経路の損失を合計0.9 dBに抑え、入力10 dB時に約5.7 dBの出力スクイージングが見込めることを確認しました。ファイバアレイ接続によるモジュール化では接続損失が0.2 dBから1.2 dBへ増加することを確認し、研磨角度、MFD差、接着時位置ずれ等を主要な改善課題として抽出しました。

図4
図4 EPR生成向けPLCの回路構成と作製チップ

3. 今後の展開

PPLNによる高性能量子光源の実現を中心に下記の取り組みを進めていきます:

  • PPLN導波路型OPAの高レベル化・安定製造技術をさらに発展させ、実機向けデバイス供給の信頼性を高めます。
  • PLCでは、EPR生成回路の低損失化とファイバ接続を含むモジュール化時の過剰損失低減を進めます。
  • 偏波・空間モード・時間応答管理を含め、集積光量子回路技術としての完成度向上を図ります。