成果概要
最終更新日:
多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット[7] 河道閉塞対応を支える技術
2025年度までの進捗状況
1. 概要
本研究プロジェクトでは、「協働AIロボットシステムによる、多様な環境に適応したインフラ構築」の実現を目指しています。特に、自然災害の一つである「河道閉塞」への対応を念頭に、現場で活用可能なロボットシステムの実現を具体的な目標として設定しています。この目標のもと、「河道閉塞における緊急調査のシステムインテグレーション」、「河道閉塞における応急復旧作業のシステムインテグレーション」、および「河道閉塞対応を支える基盤技術」の三分野において、研究開発を分担して進めています。これらのうち、緊急調査および応急復旧作業に関するシステムインテグレーションは、災害対応技術の早期社会実装を目的としています。一方で、多様な環境に適応可能なシステムの実現には、さらなる技術開発が不可欠です。そこで、本研究開発テーマ「河道閉塞対応を支える技術」では、河道閉塞対応を見据えた次世代ロボットシステムについてProof of Concept(PoC)を中心とした研究開発を進めています。以下に2025年度における主な成果を示します。
2. これまでの主な成果
本研究開発項目では、様々な状況に臨機応変に対応し、河道閉塞への対応を可能とするロボット技術を中心に研究開発を進めています。以下に、2025年度における主な成果を示します。
排水ポンプの設置は、河道閉塞の応急復旧作業における重要な工程の一つです。現在、このシステムインテグレーションについては、熊谷組が小型重機を用いたシステム開発を進めていますが、災害現場の地盤条件によっては適用が困難な場合があります。そこで、大阪工業大学の研究グループでは、時々刻々と変化する現場の要求に対応可能な、柔軟に合体・分離できる輸送コンテナ「BRAINS」を提案し、あわせて同コンテナに対応した作業機および移動機のコンセプト機を開発しました。本コンテナは上下二層構造を有し、上部に作業機、下部に移動機を格納する設計となっています。災害環境に応じて移動機を交換し、上下を合体させることで、多様なバリエーションの建設ロボットを構成することが可能です。2025年度には、本コンセプトをスケールモデルとして具現化し、九州大学に構築した屋外実験フィールドにおいて動作試験を実施しました。図9に、移動機と作業機の合体・分離を可能とするコンテナ「BRAINS」の概観(左上)、不整地走行性能に優れた移動機「d-FlexCraw」の概観(右上)、およびホース敷設を行う作業機「i-CentiPot Ammonite」(下)を示します。

また、河道閉塞を含む自然災害現場では、災害の影響により倒木等が地中に埋設されている可能性が高く、掘削時における障害物の除去は不可欠な作業となります。そこで本研究では、地中に埋もれた障害物(倒木を模擬した鋼製パイプ)を自動的に除去する掘削作業AIの開発に取り組みました。まず、障害物を含む多様な土砂環境を生成可能な物理シミュレータを構築し、現実データを用いることなく、仮想空間上でのSim-to-Real強化学習により自動掘削AIを学習しました。得られた掘削ポリシーは、地中のパイプ状態や画像認識の不確実性に対応しつつ、パイプの向きを変更する、落とし穴を形成するなど、複数の戦略を柔軟に選択・実行できる点で、高いロバスト性を示しました。
定量評価試験は土木研究所において複数回実施しました。長さ1.0 m、1.5 m、2.0 mの異なるパイプに対し、それぞれ3回中3回の成功率で除去作業を達成しました。また、2025年8月には同研究所において公開実験を実施し、地中から一部が露出したパイプを対象に、実物の油圧ショベルを用いた自動除去動作のデモンストレーションを行いました。図10に、パイプ長さ条件が異なる場合でもパイプ除去が成功した実験の様子を示します。

3. 今後の展開
本プロジェクトは2025年11月末をもって終了しましたが、これまでに得られた要素技術については、各研究開発機関が継続して取り組んでいます。今後は、これらの技術をさらに発展させ、社会実装を推進する計画です。これにより、Technical Readiness Level 5(制御された環境下において、技術・システムの基本的な機能・性能が実証された段階)の達成を目指します。