成果概要

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多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット[6] 河道閉塞応急復旧作業のシステムインテグレーション

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究プロジェクトでは、「協働AIロボットシステムによる、多様な環境に適応したインフラ構築」の実現を目指しています。特に、自然災害の一つである河道閉塞への対応を念頭に、現場で活用可能なロボットシステムの実現を具体目標として設定しています。この目標のもと、「河道閉塞緊急調査のシステムインテグレーション」、「河道閉塞応急復旧作業のシステムインテグレーション」、および「河道閉塞対応を支える技術」の三分野において、研究開発を分担して進めています。このうち、河道閉塞応急復旧では、重機を用いた作業が不可欠です。しかし、対象環境は主に山間部に位置するため、大型重機の運搬は困難です。そこで本プロジェクトでは、ヘリコプターで運搬可能な小型建設ロボット(3 t未満)を複数活用し、排水ポンプ設置作業を中心とした河道閉塞応急復旧システムの実現を目指しています。応急復旧システムインテグレーションの概要を図6に示し、以下に2025年度における「河道閉塞応急復旧作業のシステムインテグレーション」の主な成果を示します。

図6
図6 河道閉塞環境における応急復旧技術

2. これまでの主な成果

本研究開発項目では、これまで、プロジェクト概要の図1に示した河道閉塞災害対応シナリオのうち、「応急復旧作業の準備」および「応急対策」(中段および下段)に該当する技術を統合した応急復旧システムの構築を進めてきました。
河道閉塞災害では、斜面崩壊により堆積した閉塞領域(天然ダム)が河川の越流によって崩壊し、大規模な土石流が発生する可能性があります。これを防止するためには、上流に蓄積した水を安全に下流へ流すための緊急工事が必要です。そこで本研究では、閉塞領域において、上流の湛水部から下流へ水を導くための排水ポンプ設置システムの実現を目指し、環境情報をリアルタイムに把握するための杭型データ収集センサ(センサポッド)を開発するとともに、排水ポンプ設置のための微細作業が可能な遠隔操縦型建設ロボットによる施工手法を採用しました。
まず、杭型センサポッドについて述べます。杭型センサポッドは、杭内部にカメラやGNSSを含む各種センサおよびメッシュ型通信機器を搭載しており、小型建機をはじめとする様々な機器によって災害環境へ設置することで、その場で対象環境の情報を取得できるという利点があります。

次に、排水ポンプ設置システムについて述べます。小型重機は分解せずに運搬可能であり、迅速な対応が可能ですが、水中ポンプの投入作業においては、水際でアーム長が不足する可能性があります。そこで本プロジェクトでは、水中ポンプを搭載したフレームに二段の延長フレームを連結し、これらを押し出すことで先端のポンプを水中へ投入する連結型排水ポンプシステムを開発しました。

図7
図7 杭型センサポッドを地盤に挿入する様子(左)とセンサポッドから得た情報を用いた対象環境のデジタルツイン(右)
図8
自動走行クローラダンプによる資機材運搬および設置
図8
油圧ショベルの遠隔操作による作業路展開設置
図8
連結型排水ポンプ設置フレームによる排水ポンプの設置と排水

図8 河道閉塞模擬環境での水中ポンプ投入の動作試験の状況

これらのシステムについて、九州大学に構築した河道閉塞模擬環境において災害対応デモンストレーションを実施しました。図7に、小型建機を用いた杭型センサポッドの設置動作(左)および取得した環境情報(右)を、図8に水中ポンプ投入の動作試験の様子を示します。以上に示した試験により、技術およびシステムの基本的な機能・性能が実証されました。

3. 今後の展開

本プロジェクトは2025年11月末をもって終了しましたが、油圧ショベルの遠隔操縦による災害対応システムの構築に関する研究開発は、筑波大学と熊谷組との共同研究として継続する予定です。その中で、模擬フィールドにとどまらず、実フィールドにおける技術実証の実施も検討しています。今後は、これらの技術をさらに発展させ、社会実装を推進していく計画です。