成果概要
最終更新日:
恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服[3] ヒトでの生体情報を簡便に取得する技術の開発とヒトデータ解析
2025年度までの進捗状況
1. 概要
本研究開発項目は、プロジェクトの中で、接触・非接触デバイスによる生体情報、ゲノム、呼気を用いた糖酸化レートの解析からできる限り簡便かつ非侵襲的に糖尿病や併発症の早期段階を検出・予測できる手法を開発し、社会実装する(下図参照)というテーマを担っています。この研究開発項目の達成により、糖尿病や併発症の超早期段階の変調を検出・予測する手法開発や社会実装が成し遂げられ、本プロジェクト、目標2に貢献します。
この達成に向けては、高精度の早期糖尿病検出アルゴリズムの作成、糖尿病オムジーンモデルの精度向上、13CO2呼気試験のデータ収集が課題となっており、これらの点を挑戦的テーマとして取り組んでいます。従来とはまったく異なる、非侵襲デバイスのみから糖尿病や心不全を早期発見するという発想で、高速スペクトルカメラ、AI、コホートデータ解析などの手法を用いて取り組んでいます。

2. これまでの主な成果
(1) 家庭で心不全を早期発見するAIシステムの開発
携帯型心電計(在宅で使用できる心電図およびスマートウォッチ)で計測されるⅠ誘導心電図を用いて、心不全の重症度を判定できるAIモデルの開発に成功しました。本システムの導入により、心不全患者は自宅で簡便に病状をモニタリングでき、再入院のリスク低減や早期治療介入が可能となります。

(2) 13CO2呼気試験を用いた糖酸化・肝糖処理能の検査
13C-グルコースを摂取後の呼気中に排出される13CO2を測定することにより、個体レベルでの糖酸化能を検査する13C-グルコース呼気試験を知財化しました。

(3) 糖摂取後の血糖値が健康寿命延長に関連することを発見
正常と診断された人たちの中で、糖負荷後1時間血糖値が170 mg/dl未満の群では170 mg/dl以上群と比較して死亡が少ないことが明らかになりました。ブドウ糖負荷後1時間血糖値170 mg/dl未満を維持することは心臓疾患や悪性腫瘍を予防し健康寿命を延ばすことにつながることが期待されます。

3. 今後の展開
前半5年の簡便かつ非侵襲的に糖尿病や併発症の早期段階を検出・予測できる手法を開発してきた成果を「糖尿病および併発疾患の早期検出」として社会実装につなげる観点で取り組みます。