成果概要
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恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服[1] 臓器間ネットワークによる恒常性メカニズム解明と治療・診断法の開発
2025年度までの進捗状況
1. 概要
本研究開発項目は、プロジェクトの中で、(i)代謝や循環の恒常性を維持する臓器間ネットワーク機構(下図参照)の解明、(ii)それを基に糖尿病や併発疾患に対する新たな予防・診断・治療法の開発を担っています。この研究開発項目の達成により、生物が本来備えている臓器間ネットワークの仕組みを利用した糖尿病の予防・診断・治療法が開発され、本プロジェクト、目標2に貢献します。
この達成に向けては、臓器間をつなぐ求心性神経、中枢神経、遠心性神経の情報伝達に関わる分子やその制御メカニズム解明のための詳細な解析が課題となっており、この点を挑戦的テーマとして取り組んでいます。従来とはまったく異なる、神経系を介した臓器間ネットワークを用いた糖尿病の予防・診断・治療法開発という発想で、シングルセルRNAシークエンス、オプトジェネティクス、fMRI、人工神経接続、血漿リピドミクスなどの手法を用いて取り組んでいます。

2. これまでの主な成果
(1) 膵臓の神経刺激でインスリン産生細胞が増加
臓器間ネットワークの制御や膵臓への迷走神経刺激が糖尿病予防・治療法となるPOC(Proof of Concept)を示した重要な成果です(Nature Biomedical Engineering)。

(2) 加齢による中年太りの仕組みを解明
脳の神経細胞が持つ一次繊毛の長さが「痩せやすさ」を決定し、それが加齢や過栄養によって短くなることが中年太りの原因になることを明らかにした成果です(Cell Metabolism)。肥満に起因する糖尿病など様々な生活習慣病の未病段階での予防法や治療法の開発につながることが期待されます。

(3) 大腸炎症がインスリン産生を促す仕組みを解明
大腸に炎症が起こると肝臓が炎症を感知し、その情報を脳・膵臓へ伝え、膵臓でインスリンを作るβ細胞を増やす仕組みを発見しました(JCI Insight)。この仕組みを調節することにより糖尿病の予防法・治療法の開発が期待されます。

3. 今後の展開
前半5年のマウスで得られた迷走神経刺激による膵β細胞増加の成果を「糖尿病および併発疾患の予防・治療の開発」に継承し、ヒトにおいて膵β細胞増加につながる迷走神経刺激法の有効性を検証し実装につなげます。
また、前半5年のコホートでのマルチオミックス解析の成果を「糖尿病および併発疾患の早期検出」に継承し、コホートデータや臨床サンプルを活用し、糖尿病及び併発疾患の早期検出につながるマーカーを確立します。