成果概要

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身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放[4] 共通基盤技術

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、他チームの研究活動を支える共通基盤の整備を進めています。体制強化に向け、海外チームも含めた課題推進者の選定と追加を行い、ブレインテック・ガイドブックやエビデンスブックの作成を通じて、BMI(Brain Machine Interface)技術に関する理解の促進を図っています。法制度面では、神経技術の進展が法理と実務に与える影響を整理し、国内外に向けた提言や発信を継続しています。また、非侵襲BMIの一般理解を深めるためのアウトリーチや、国際的な認知の向上にも取り組んでいます。Cybernetic Avatar(CA)技術を操作・拡張・再利用可能にするためのオープンプラットフォームであるOpenCAでは多信号統合やオープンソース化、国際連携の枠組みを構築し、信頼ある社会実装を後押ししています。

2. これまでの主な成果

共通課題の検討と社会実装に向けた研究開発

SFプロトタイピング『Neu World』では、新たにSF作品4点を制作し、計8作品を公開しました。2025年度は特に教育機関と連携した出前授業を開始し、2050年に社会の中心となる10代の層へアプローチする等、社会実装に向けた双方向の対話イベントを国内外で計11件実施しました。本プロジェクトの作品は星雲賞候補作にも選出され、社会的な評価を獲得しています。産業界でのデジタルツイン活用においては、実際の建設現場で約1ヵ月間隔でのデータ取得に成功し、工事進捗の時系列差分を確認することで、現場データからバーチャル現場を構築する中核アプローチを実証しました。さらに、複数CA制御の性能評価プラットフォーム(M4Bench)を構築し、50名規模の実験で定量評価を行った論文を発表しました。

Trusted BMIを実現する社会基盤整備

信頼獲得の基盤として、これまで電子書籍で展開してきた『ブレインテック・ガイドブック』および『エビデンスブック』をブラウザ上で閲覧可能なTrusted Neurotechnology Initiativeとしてウェブ公開し、最新知見を誰でも参照でき、迅速に更新できる体制を構築しました。システマティックレビューについては、2025年度新たに10項目の調査を完了し、日英での公開を達成しました。また、2024年度に着手した作業効率化のためのAI自動化ツール開発も大きく前進し、ニューロフィードバック関連論文の分類で約90%の高精度を達成しています。

図1
図1:Advancing Neurotechnology for Society
BMI-CA活用における法学的検討

これまでのELSI(倫理的・法的・社会的課題)探索の集大成として、日本でも類を見ないBMIの法学的検討にかかる書籍『インターネット・オブ・ブレインズの法』を刊行しました。また、国際連携を2024年度よりも大幅に強化し、国際神経倫理学会のプレナリーセッションへの登壇に加え、主要な神経法学研究者(Marcello Ienca教授等)を欧米やアジアから招聘したIoB-S国際シンポジウムを主催しました。さらに「Cognitive Liberty(認知的自由)」の日本国憲法からのアプローチに関する論文の国際出版や、ブラジルの神経法学研究者との共同出版など、新たな国際的ルールメイキングに向けた役割を果たしています。

AI支援型BMI-CA技術の国際アウトリーチ

2024年度に構築したブレインピックのシステムや知見を発展させ、大阪・関西万博において2週間にわたるAI支援型BMI-CA技術の体験展示空間を設営・運用しました。展示の模様を国内外へ発信し、著名YouTuberを通じた取材では全世界2万回以上の閲覧を獲得するなど、飛躍的な認知拡大を達成しました。

OpenCA実現に向けたBMIの研究開発と国際的実証実験の推進

2024年度に開発したBMI-CAプロトタイプを安全性と再利用性の観点からさらに強化し、EEG(脳波)・EMG(筋電位)・視線追跡の同時収集とリアルタイム解析が可能なコードフリーのGUIプラットフォームへと再設計しました。ドバイ未来財団(DFL)との共同研究のもと、ドバイにおいて国際体験型ショーケースを実施しました。政府関係者や研究者など約150名が来場し、平均滞在時間約45分という極めて高い関心を集め、参加者の多くが全体験を完遂するなど、実環境における技術的安定性と国際的な受容性を実証しました。

図2
図2:ドバイ未来財団(DFL)との国際体験型ショーケース