成果概要

身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放[4] 共通基盤技術

2023年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、他の研究開発項目での実施事項を円滑に進め発展させるための基盤づくりを行っています。
プロジェクト体制の強化を目指し、海外の研究グループを含め課題推進者の選定と追加を進めています。また、BMI技術に関する適正な理解促進を目標に、ブレインテック ガイドブックとエビデンスブックの作成を進めています。BMI-CA活用における法学的検討においては、神経科学技術のインパクトがもたらす法の理論・実務の変容に関する考察を進めており、当該研究に基づく国際交流や国内に向けた発信も行っています。また、頭皮脳波を活用した非侵襲BMIの日常利用に関する一般理解の促進と、国際対話を通じたレピュテーション向上を目指し、アウトリーチ手法の開発と実践を行っていきます。

2. これまでの主な成果

<共通課題の検討と社会実装に向けた研究開発>
  • 国際連携によるプロジェクト強化と侵襲型BMIの研究開発の加速を実現するために、豪州メルボルン大学のGrayden教授とカリフォルニア大学サンフランシスコ校のChang教授との連携を企画しプロジェクトへ参画していただきました。
<Trusted BMIを実現する社会基盤整備>
  • 将来的なBMI利用者の社会受容と信頼の醸成に向けて「ブレインテック ガイドブック」を作成し、2022年10月に日本語版、2023年3月に英語版を公開しました。
  • BMI/ブレインテック製品・サービスが主張する効果効能と安全性に関するシステマティックレビュー※1を8項目完了し、そのうち4項目分の結果を「ブレインテック エビデンスブック」として公開しました。2023年7月に日本語版、2023年11月に英語版を公開しました。
  • 国際的なルールメイキングへの貢献を目的としブレインテックガイドブックとエビデンスブックの英語版を公開し、同時に英語記事を配信しました。その内容はUNESCOでのニューロテクノロジーの倫理に関するシンポジウム(2023年7月)にて発表しました。
Neurotech Guide book
<BMI-CA活用における法学的検討>
  • 研究会“Internet of Brains”-Society(IoB-S)を隔月1回程度の頻度で開催しました。IoB-S研究会開催の概要と成果については、著名法学雑誌である「法学セミナー」に連載記事として公表しました。
  • 多数のシンポジウム、学会、刊行物等で、国内外に研究成果を広く公表しました。例えば、韓国ヨンセイ大学におけるシンポジウムの共催と研究報告の実施を通し、積極的な国際発信をしました。
<AI支援型BMI-CA技術の国際アウトリーチ>
  • AI支援型BMI-CA技術を用いて、メタバースゲーム「Fortnite」内のアバターを操作しタイムを競う「ブレインピック」を国内在留中の外国人留学生を中心として開催しました。
  • 「AI支援型BMI-CAの開発を誰もが行えるプラットフォーム」を、初学者である中高大学生でも扱えるように教材化しました。
ブレインピック

3. 今後の展開

  • プロジェクト体制の強化のため、海外の研究グループを含め課題推進者の選定を進めます。
  • BMIやブレインテック製品・サービスの信頼性を評価する自己認証基準(チェックリスト)を作成し、チェックリストの内容を説明したブレインテック ガイドブック vol.2を、日英2言語で公表します。
  • IoBなどの新技術の実装場面での倫理・法律・社会的側面の課題を議論し、実装を受容する社会環境を「実践知」の案出により支援を進めます。また、国内外でのシンポジウム・ワークショップの開催や刊行物の発行により成果を発信していきます。
  • 海外拠点と連携した国際ブレインピックの開催を進めます。また、作成した教材をブラッシュアップし、中高大生を対象とした実習教育を引き続き提供します。

※1 公開研究を体系的に収集、評価し、その結果を統合するための科学的方法