低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2018-PP-08

日本における蓄電池システムとしての揚水発電のポテンシャルとコスト

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  • SDGs9
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概要

 太陽光や風力発電などの出力が揺動する再生可能電力の利用量が増大しており、電力需給調整のための蓄電システムの必要設置量も増加している。蓄電システムには蓄電池や揚水発電システム等があるが、低炭素社会戦略センター(LCS)ではすでに将来の蓄電池製造コストと2050年に向けた様々なシナリオにおける低炭素電源システムに必要な蓄電池容量を計算している。

 本稿では今後開発可能な日本の揚水発電のポテンシャルと、そのコストを計算した。日本では、既存の揚水発電所の蓄電容量は130GWhであるが将来については十分ではなく、また現在の設備利用率も3%程度と低い。今回の計算では、1プラント当たり蓄電容量50MWh(10MW、5時間/回)の揚水発電所が20,000か所建設可能で、合計1,000GWhの蓄電容量が期待できることが分かった(設備容量200GW、設備利用率17%の場合300TWh/yの蓄電量)。この結果は、将来の低炭素電源システム(2050 年電源起源のCO2排出量現状比80~85%減)に必要と試算された蓄電池容量(360~510GWh)以上であり、新規の揚水発電のポテンシャルが十分にあることが示された。発電コストについては23円/kWhと計算された。これは蓄電池のコストの1.4倍であるが、今後運用面や貯水量の増加などによるコストダウンの余地はある。

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