低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-04

情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.3)
―ネットワーク関連消費エネルギーの現状と将来予測および技術的課題―

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13

概要

 情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響について2020年度報告書(Vol.2)ではデータセンターの消費電力増大について検討した。本提案書では、コア、メトロ、アクセス系ネットワーク構造等一定の前提を置いてネットワーク関連消費電力の推定を行い、どのような設備・機器が消費電力に大きな影響を与え、どのような課題があるかを検討した。

 この結果、ネットワーク全体の消費電力は、2018年に国内が23TWh、世界で490TWhと推定された。また年率27%のトラフィックの増大と現状最新技術レベルの固定を前提とすると、消費電力は国内で93TWh(2030)、9,000TWh(2050)、世界で2,400TWh(2030)、260,000TWh(2050)と推定された。このうちコア、メトロネットワークについては、現状技術でもルータの処理能力が大きいため、2030年段階では消費電力増加は比較的緩やかである。問題は消費電力の80%を占めるアクセス系、特に無線アクセス系であり、通信インフラという性質上トラフィック量に関わらず広域をカバーする必要、および通信トラフィックの時間変動が大きいことに対応する必要があり消費電力が大きい。この改善には、ハードウェアのみならず、通信システム、アーキテクチャ等の検討が必要と思われる。
 消費電力の特に大きい設備は無線基地局とルータであり、2030年で現状の1/2~1/3、2050年には1/100以下程度を目標として低減する必要がある。

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