ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP
戦略目標
「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」(PDF:27KB)
研究総括
蒲生 健次(大阪大学 名誉教授/(独)情報通信研究機構 関西先端研究センター 専攻研究員)
概要
この研究領域は、高度情報処理・通信に資するナノデバイス等の実現に向けた新しいプロセシング技術、ナノ構造体の機能を観察・計測・評価する新しい計測評価技術等に係わる研究を対象とするものです。
具体的には、新たなプロセシング技術の確立に向けた、ナノ構造を作り出す光・X線・電子ビーム・イオンビーム等の新たな活用に係わる研究、分子・原子を 制御することにより結晶・組織等をナノレベルで形成する技術に係わる研究、および、構築されたナノ構造体の機能を計測・評価、検証する技術に係わる研究等 が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および 「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。
平成15年度採択分
カーボンナノチューブ形成過程その場観察と物性制御への展開
研究代表者(所属)
概要
カーボンナノチューブ(CNT)は最も注目されているナノ構造材料ですが、電子素子への応用は、基板上で の高度なCNT成長制御の実現無しには有りえません。本研究では、化学気相成長によるCNT成長過程を、電子顕微鏡および分光学的手法によりその場観察す る計測技術を開発し、形成過程の解明を通じて精密な成長制御・物性制御を実現します。これにより、CNTを用いた量子集積素子や光集積素子の実現が期待さ れます。
平成14年度採択分
カーボンナノ材料を用いた量子ナノデバイスプロセスの開発
研究代表者(所属)
石橋 幸治 ((独)理化学研究所 石橋極微デバイス工学研究室 主任研究員)
概要
現在、量子状態のコヒーレンスや1電子レベルでの電子相関を利用した量子情報処理や単電子エレクトロニク スなどが期待されています。本研究では、カーボンナノチューブやフラーレンのもつ超微細性と半導体微細加工技術を組み合わせたデバイスプロセスを開発し、 基本要素デバイスやそれらを集積した簡単な回路を実現します。これによりシリコン集積回路とは相補的な新しいエレクトロニクスに対して、材料的な観点から 新たな展開が期待されます。
超高密度・超微細ナノドット形成とナノ物性評価技術
研究代表者(所属)
市川 昌和 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
独自の極薄Si酸化膜を利用する超高密度・超微細ナノドット形成技術を用いて、Si、SiGe、Geや鉄 シリサイドからなるナノドット超格子や人工配列構造を作成する総合技術を開発します。また、個々のナノドットや集積体の光・電子物性を評価する技術の開発 も行います。このようなナノ構造体においては、光効率の大幅な増大が期待できます。この研究により、光効率の大きな素子を開発できれば、Si光素子とSi 電子素子の融合が可能となります。
高信頼性ナノ相分離構造テンプレートの創製
研究代表者(所属)
彌田 智一 (東京工業大学 資源化学研究所 教授)
概要
高分子の長さや配列を精密に制御できる重合法を用いて、100~101nm領域の高分子ビルディングブロックを合成し、これらの自己組織化による101~102nm 領域の構造構築を目指します。特に、異なる性質のポリマーがナノ領域で規則的に相分離する材料と条件の最適化をはかり、信頼性の高いナノ構造テンプレートを創製します。このテンプレートを用いたナノ構造転写を行い、さまざまな材料のナノ構造デバイスを作製します。
超高速・超並列ナノメカニクス
研究代表者(所属)
概要
微小な走査型力顕微鏡カンチレバーで、固有振動数とQ値の高いものをシリコンナノ細線やカーボンナノ チューブをバネに用いて実現します。それを一本もしくは数百万本用いて、周波数変化による捕捉した原子や分子の同定、広帯域スペクトロスコピー、高速生体 観察、網羅的蛋白結合物質の検索を行います。これにより原子レベルのプロセスのより深く正確な理解、新しい研究手法や分野の創出、医療分析器への展開が期 待されます。
位相差極端紫外光顕微鏡による機能性材料表面観察・計測技術
研究代表者(所属)
木下 博雄 (兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 教授)
概要
サブナノからピコメートルの観察・計測技術の開発は、我が国のナノ産業基盤構築上の最重要課題と考えられ ます。本研究では、極端紫外光(EUV)領域で利用可能な半透膜を作成する技術確立を図り、これを用いた位相差干渉顕微鏡を開発します。これにより、次世 代半導体製造用極端紫外線リソグラフィ(EUVL)マスク上の微細な欠陥(膜表面の凹凸ならびに膜中の異物により生じる位相欠陥)の分離評価が可能とな り、2007年以降には必要となる超極小線幅(50nm~35nm)の半導体デバイスの開発に貢献できると共に、ピコオーダーでの汎用計測器への応用が期 待されます。
ナノ構造解析のための立体原子顕微鏡の開発
研究代表者(所属)
大門 寛 (奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 教授)
概要
研究代表者らは立体顕微鏡という手法を開発し、特定の原子の周りの3次元構造を200億倍に拡大して立体 視して測定することに成功しました。本研究では、この手法の確立を行うとともに、装置を使いやすく改良し、さらに通常の顕微鏡機能も持つようなシステムを 開発します。これにより、個々の量子ドットや有機分子などの原子配列の立体観測が容易になり、原子レベルで制御されたナノデバイスの開発が促進されること が期待されます。
高機能ナノ立体構造デバイス・プロセス
研究代表者(所属)
松井 真二 (兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 教授)
概要
ナノ立体構造体を基に異なる材料を局所的にヘテロ接合させたりドーピングしたりする事ができれば、構造体 自体にセンシング機能や駆動機能、さらには信号変換機能や増幅機能などを持たせることができます。本研究では、これまで研究代表者らが培ってきた独自のナ ノ立体構造体形成技術をベースとし、従来の2次元積層構造体である機能デバイスとは異なる新概念実証デバイスとして、「ナノ立体電子・光デバイス」「ナノ 立体構造バイオ素子」等に代表される「高機能ナノ立体構造デバイス」の創製、および、デバイス構築に必要となるプロセス技術の創製を目指します。