「新機能創成に向けた光・光量子科学技術」

平成24年度 研究終了にあたって

「新機能創成に向けた光・光量子科学技術」研究総括 伊澤 達夫

 「新機能創成に向けた光・光量子科学技術」研究領域は、平成17年に発足して以来3期にわたり公募を実施し、138件の応募を頂き16件の研究チームの提案を採択し研究を推進してまいりましたが、本年度をもってすべてのチームの研究が終了いたします。
 本領域は、戦略目標「光の究極的及び局所的制御とその応用」のもと、我が国が比較的優位に立っている光・光量子科学技術を核にした次世代基盤技術を早期に開拓することを目的に「究極的な光の発生技術とその検出技術の創出」「光と物質の局所的相互作用に基づく新技術の創出」「光による原子の量子的制御と量子極限光の開拓」の3つが中核テーマとして設定されています。そこで、本領域は情報処理・通信、材料、ライフサイエンスなど基礎科学から産業技術にわたる広範な科学技術の、基盤である工学および量子光学に関し光の発生、検知、制御及び利用に関する革新的技術の創出目指す研究を推進してまいりました。
 採択した課題を概観すると、情報処理・通信技術や計測技術などの飛躍を目的とした量子ドット、フォトニクス結晶、非線形光学の応用による新しい光機能素子などの原理や技術、分子・原子や化学反応の制御、生態観察・計測、産業・医療などへの利用を目的とした未開拓の波長域発生などの新しい光源・検出手法の開発・高度化と利用技術、光による原子の量子的制御技術や光の本質に基づく新たな物質科学などの創出を目指す研究などが深まれています。
 本領域のもとで進められた研究は、それぞれの研究分野で世界の研究を牽引する主導的成果をあげています。特に、フォトニック結晶を利用した新しい素子の開発や人工光合成技術など本領域の研究によって研究が飛躍的に進展し、今後、学術的にも産業応用上でも大きく発展が期待される成果が出ております。また、学術的成果だけでなく殺菌用紫外光源や加工用大出力バルスレーザなど産業応用に結びつく成果やプラズマフォトニックデバイスなど他研究機関にも提供する素子技術も生みだしております。このような優れた成果は、CRESTの目的にも合致し高く評価することができます。
 本領域の研究が終了するに当たり、研究を担当された先生方の努力に敬意を表するとともに、領域運営にご協力いただいたアドバイザーの方々、事務局職員の皆様に厚く御礼申し上げます。

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