CREST・さきがけにおけるダイバーシティ推進に向けた取り組み

 研究者の皆さんが存分に力を発揮できる環境づくりを進めます!

白木澤理事

 科学技術の世界においては、年齢、性別、国籍にかかわらず研究者が活躍できることが、研究現場に多様な視点を取り入れ様々な発想を促すことにつながり、組織に活力を与えるとともに、新しい価値創造の源泉となります。
 JSTはCREST・さきがけで研究を推進する研究者の皆さんが、その力を存分に発揮できるよう、環境の整備に努めています。例えば、研究と、出産・育児・介護などのライフイベントとの両立を支援する制度がその一つです。この制度は、研究者の皆さんにライフイベントの期間中も研究開発を継続していただくこと、また一時中断せざるを得ない場合は、可能となった時点で研究開発に復帰していただき、中断による影響を最小限にすることを目指しています。また、CRESTにおいては、その研究費で雇用されている研究員の方々のライフイベントに際し、研究代表者(PI)の皆さんが、研究員の方の負担を軽減しながら研究開発をこれまでと変わらないペースで推進していただくために、「男女共同参画推進費」によるサポートを行っています。これらの支援によって、研究代表者の方も研究員の方も安心して研究とライフイベントを両立することが可能になります。
 このような支援制度は2006年にスタートし、これまでに250名を超える方々にこの制度を利用していただきました。制度を利用した研究者の方々からは、「心身ともに安定して研究を遂行することができた」、「育児とトップレベルでの研究活動の維持の両立が可能となった」、「育児と研究の両立に対する周囲の理解を得られやすくなった」などの感想が寄せられており、ライフイベント期間中の研究活動継続の一助となっていることがお分かりいただけると思います。
 JSTでは、CREST・さきがけで研究を推進される研究者の皆さん一人ひとりが能力を十分に発揮して活躍できるよう、これからも制度の改善に努め、充実した研究環境の整備に取り組んで参ります。

国立研究開発法人 科学技術振興機構
理事 白木澤佳子

 <CREST・さきがけにおけるダイバーシティ推進に向けた取り組み>

 JSTではダイバーシティ推進の取り組みの一環として、研究者のライフイベントに関する支援を行っております。CREST、さきがけに参画する研究者が研究期間中に2週間以上の連続した休暇を必要とするライフイベントが発生した場合、以下のような対応が可能です。お気軽にJSTまでご相談ください。

 ・CREST研究代表者
 研究代表者に代わり、その役割を担える者が代行して引き続き研究を推進することができます。その際、当初計画通りの予算額を使用可能ですが、研究期間の延長はありません。
 詳しくは下記をご参照ください。
  研究代表者等にライフイベントが発生した場合の研究費の運用指針

 ・CREST研究参加者
 CREST研究員として専従雇用されている研究者は、出産・子育て・介護等支援制度の利用が可能です。当該支援制度では、当該研究員による研究開発の促進または負担軽減に資する目的として、月額25万を上限として、「男女共同参画促進費」が支給されます。 詳しくは下記をご参照ください。
  出産・子育て・介護支援制度

 ・さきがけ研究者
 週単位で研究を中断することが可能です。中断した週数を上限として研究期間を延長することができます。その際、研究費については当初計画通りの予算額を使用可能です。
 詳しくは下記をご参照ください。
  研究代表者等にライフイベントが発生した場合の研究費の運用指針

 <CREST、さきがけにおける女性人数の推移>
 女性比率   女性人数


 <CREST 出産・子育て・介護等支援制度 利用者の声>

 【研究者代表者】
 ・男性も含めた支援となっており、男性研究者の子育てへの参加を促す意味で男女共同参画制度の1つの良いモデルなのではないかと思います。
 ・(支援のための雇用の)体制が構築できたことでプロジェクトのメンバーにも余裕を与え、当該研究員も研究進捗の議論に積極的に参加できるようになり、成果発表の共著者としてキャリアが継続できた。
 ・研究チーム内の男女共同参画に対する意識付けという点からも、男女共同参画促進費は有効であり、育児と研究の両立に対する周囲の理解を得られやすくなったことも、対象者にとって有効であった。

 【支援対象研究者】
 ・全般にわたる作業時間が短縮できただけでなく、子供に関わる急な用事などの際にも仕事の引継ぎがしやすくなったため、育児と平行して研究を推進することが出来た。
 ・研究助手のおかげで、子供の健康面に問題があった時にもチームとして研究が滞りなく進められました。妻も研究者ですが、夫婦として研究キャリアの継続を助けられています。
 ・プロジェクトのメンバーが忙しいときでも補助員に作業をお願いできたので、精神的負担を大きく減らすことができ有り難かった。その結果、研究成果の議論に参加する余裕が生まれ、キャリアアップができていると感じている。
 ・これまでに経験のなかった業務にも参加することができ、プロジェクト全体への貢献度を高めることができたと感じております。また、本支援により、職務に従事しながらも子供の成長を楽しんで子育てを続けることができており、大変感謝しております。
 ・(介護に伴う)肉体的負担が減っただけでなく、介護の時間を無理なくとる精神的余裕も生じました。

(使途報告書より抜粋)

女性研究者からのメッセージ

CREST女性代表者(平成26年度、平成27年度採択者については近日公開予定)


さきがけ女性研究者(近日公開予定)

平成25年度採択

月田 早智子

(大阪大学 大学院生命機能研究科/医学系研究科 教授)

課題名:細胞間接着・骨格の秩序形成メカニズムの解明と上皮バリア操作技術の開発
「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」研究領域

「CREST「生命動態」応募のきっかけは、超解像光学顕微鏡によって見いだした「新しい構造体」とその構築の規則性でした。上皮細胞シートバリアーを構築するタイトジャンクション(TJ)について長年研究を進めてきましたが、TJクローディンを起点とした「新しい構造体 : TJアピカル複合体」を見い出したことに感動を覚えました。数理モデルで説明できるような、その構築の規則性が魅力で、共同研究として今までになかったアプローチを開拓していく中で、ひととの出会いがありました。研究室内外の様々な個性の共同研究者に加えて、CREST・JSTの方々や企業の方々との協働により議論がふくらんでいくことは大きな喜びです。女性研究者ということでは、多様な状況に応じて、同じ目線での話あいをしやすいと思っており、バリアーフリーの交流から、さらに新しいことを創造していけるように感じています。」

野崎 京子

(東京大学 大学院工学系研究科 教授)

課題名:極性基含有ポリプロピレン:触媒開発と樹脂設計
「超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製」研究領域

「ポリプロピレン合成は世界で年間5,000万トン以上生産されている巨大産業です。構造材料から、包装材料、繊維、身近なプラスチック製品に至るまで広い市場が期待されていますが、接着性、相溶性、着色性等に劣るため、利用の範囲が限られているのが現状です。本研究は、触媒活性中心近傍の精密な空間制御に基づいて、プロピレンと極性モノマーの共重合を可能にする触媒を開発し、「新ポリプロピレン」の創出を目指します。」

波多野 睦子

(東京工業大学 大学院理工学研究科 教授)

課題名:炭素系ナノエレクトロニクスに基づく革新的な生体磁気計測システムの創出
「素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成」研究領域

「異分野の研究者が協創して新領域を創生するに、CRESTはベストな制度です。私は半導体技術をヘルスケアや社会インフラなどに展開することをゴールとし、ダイヤモンド中の特異な物性をベースとしたイメージング機能を有する常温動作磁気センサの実現にチャレンジしています。このため、理論−材料−プロセス−デバイス−システム−応用、に渡るチームを結成し、最終ゴールを共有してコンカレントな研究を進めています。ハイリスクな融合型研究は、学生への教育的効果も大きいです。アドバイザから「男性はプライドが高いので、このような大掛かりなチームで研究は難しい」と。性差より個人差と思っているのですがどうかしら?5年後に評価いただきましょう。」

平成24年度採択

岩船 由美子

(東京大学生産技術研究所 准教授)

課題名:消費者の受容性を考慮した住宅エネルギー管理システム
「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開」研究領域

「「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開」のチームの一つに採択していただきました。民間企業から大学へと移り、研究者としての実績が十分とは言い難い状態ながら、このようなご支援を頂けたことは大変ありがたいことでした。この分野は女性の研究者が少ないのですが、エネルギーの問題は、ヒトの暮らしに直接深く関与するものであるだけに、単に工学的な観点からのみではなく、社会的な幅広い観点から論じられるべきものと考えられます。女性の研究者も多い社会科学分野等の研究者の方々のCRESTにおける一層の活躍が期待されます。」

竹山 春子

(早稲田大学 理工学術院 教授)

課題名:シングルセルゲノム情報に基づいた海洋難培養微生物メタオミックス解析による環境リスク数理モデルの構築
「海洋生物多様性および生態系の保全・再生に資する基盤技術の創出」研究領域

「本研究課題では、沖縄サンゴ礁生態系をターゲットとして、海洋生物多様性・汚染度・カタストロフィー予測を可能とする環境リスク数理モデルを構築することを目的としています。琉球大学、京都大学のグループと研究を推進しています。具体的には、サンゴ共在バクテリアのオミックスデータと、環境データを解析して、環境変動の指標を見出そうとする研究です。特に、シングルセルレベルもしくは微量な生物試料からオミックス情報を取得することで、サンゴ、褐虫藻、バクテリア、そしてそれらを取り巻く環境との相互関係がより詳細に解明できると考えています。実験室から抜け出して美しいサンゴ礁の海を肌で感じながら研究できる素晴らしい経験をしています。」

<さきがけ>
近日公開予定
科学技術振興機構