[サイバーインフラ] 2025年度採択課題

伊賀上 卓也

レーザ照射熱伝搬による物体内部の構造推定

グラント番号:JPMJAX25M1
研究者
伊賀上 卓也

東京大学
大学院工学系研究科
特任助教

研究概要

本研究では,移動ロボットによるインフラ構造物点検のために,物体の内部構造をレーザ光による熱の伝搬によって推定する手法を構築する.センサとコンクリートの接触が必要な従来手法では,大型構造物の網羅的計測に限界があった.一方,レーザ光はその直進性から,非接触に物質の温度を変化させる.本研究ではこの特性を活用し,レーザ光を照射した際の温度分布の時空間的変化から,コンクリート内部の構造を非接触に推定する.

石坂 晴奈

生成AIはケア専門職の思考を拡張するか

グラント番号:JPMJAX25M2
研究者
石坂 晴奈

千葉大学
大学院情報学研究院
助教

研究概要

超高齢社会における医療・福祉のケアの質と効率性の向上のため,AIによるケア専門職の支援が期待されています.本研究では,AIをケアの現場に適切に普及させることを目指して,生成AIを使用した際の人の思考の変容に注目します.ケア専門職の観察やインタビュー調査などを通して,考える力を拡張するAI設計への指針を得るとともに,人が安心してAIと協働できる方向性を明確にしたいと考えています.

岩渕 颯太

時空間的な触覚情報の伝送技術の創出

グラント番号:JPMJAX25M3
研究者
岩渕 颯太

東京大学
大学院新領域創成科学研究科
大学院生

研究概要

本研究では,「時空間的な触覚情報の伝送技術」とそれに基づく「遠隔触覚インタラクションシステム」を開発する.触覚通信の基盤として,インタラクションに特化した新たな触覚刺激データのフォーマットUTIFを設計する.また,ストリーム通信用にUTIFの高効率な圧縮・復元技術を開発する.更に異種デバイス間で通信可能な触覚インタラクションシステムをクラウド上に構築し,通信性能を実証評価する.

大西 悠生

ハイブリッド型可視光センシングによる屋内ドローン基盤技術の創成

グラント番号:JPMJAX25M4
研究者
大西 悠生

北海道大学
大学院情報科学院
大学院生

研究概要

本研究の目的は、AIの空間認識や意思決定を支援する屋内ドローンの基盤技術を創成することです。屋内ドローンは、AIにおける移動型センサノードとして機能することで、人とAIが共生する社会のサイバーインフラ構築に寄与します。本研究では、屋内の既設照明とドローン搭載照明の反射光に着目したハイブリッド型可視光センシング技術を開発し、屋内ドローンの実用化に必要な測位と屋内空間の三次元再構成技術を創出します。

岡本 隼一

センサーネットワークにおける測定データ信頼性確保のための基盤構築

グラント番号:JPMJAX25M5
研究者
岡本 隼一

産業技術総合研究所
計量標準総合センター
研究員

研究概要

センサーネットワークにおける測定データ信頼性は、社会インフラや産業でのシステム制御・運用にとって重要です。信頼性確保の課題の1つに、センサーが適切に校正されていることをどう担保するかという点があります。本研究では、センサーネットワークを構成するセンサーの校正データが満たすべき“仕様”を数学的論理式として厳密に記述し、これを用いた自動検証を可能にすることで、信頼性確保のための基盤構築を目指します。

小関 廉

自律適応可能な物理ハイブリットAI防災システムの創出

グラント番号:JPMJAX25M6
研究者
小関 廉

大阪大学
大学院情報科学研究科
大学院生

研究概要

Society5.0の実現にむけて様々な地域や災害に展開可能な災害予測システムの開発を目指す。災害データの不足、地域の多様性、説明可能性などの課題を克服するために物理AIハイブリットモデルを構築し、展開先の災害発生データに依存しないテスト時適応技術で対象地域に適応させる。また、ハイブリットモデルが物理モデルを主要因とした予測を行うように制御し、説明可能性を担保する。

北村 知也

通信遅延を補う触覚伝送のための予測補完型制御技術

グラント番号:JPMJAX25M7
研究者
北村 知也

東京理科大学
創域理工学部
助教

研究概要

通信遅延を伴う遠隔操作では、わずかな遅れやジッタが作業の違和感や危険性を生む。本研究では、視覚入力と膨大な過去データをもとに対象物の未来のインピーダンスを予測し、その予測値に基づいて触覚を補完することで、感覚的には遅延を感じさせない触覚伝送技術を実現する。通信の不完全性を前提としつつ、より直感的で信頼性の高い触覚通信を実現し、次世代のサイバーインフラ構築に貢献する。

木村 隼人

横断型解析による自動的暗号プロトコル安全性評価基盤

グラント番号:JPMJAX25M8
研究者
木村 隼人

情報通信研究機構
サイバーセキュリティ研究所
研究員

研究概要

生成AIの浸透でCIの機密データが急増しDC内部不正・設定ミス対策として暗号プロトコルの機密性・完全性が重要になる.さらに将来普及が予想されるV2X通信や事業者間AIエージェント協調ではリアルタイム性・可用性を備えた新プロトコルと厳格な安全性評価が不可欠だが現行手法は1設計と実装を一体検証できず2複数プロトコル相互作用の脆弱性検出も不足する.本研究は課題解消の包括的評価フレームワークを開発する.

清住 空樹

光反射計による光ファイバ網のリアルタイム損傷検知

グラント番号:JPMJAX25M9
研究者
清住 空樹

東京大学
大学院工学系研究科
大学院生

研究概要

サイバーインフラ(CI)の要である光ファイバ網は物理攻撃に脆弱で、近年の海底ケーブル断線事件が示すように、小規模の損傷が大規模障害を引き起こす。本研究では、長距離の光ファイバ中の破損点を高精度かつリアルタイムに特定する基盤技術を創出するため、光相関領域反射計の性能深化を行う。これにより、障害発生時の復旧時間を短縮させ、よりロバストなAI共生社会のCI基盤に貢献する。

小林 真

電磁現象に着目した無線情報伝送の「ついで」センシング

グラント番号:JPMJAX25MA
研究者
小林 真

広島市立大学
大学院情報科学研究科
講師

研究概要

実空間と柔軟な電脳空間を密に融合し、人間にとって快適かつ安全な空間を実現することが求められている。従来は、無線センサ端末を多数配置することで実空間の情報を電脳空間に取り込もうとしてきたが、物理的制約や電力制限により広域展開は困難だった。本研究では、無線情報伝送に用いる電波を「ついで」に活用することで、専用センサなしに物理空間をセンシングする技術を実現し、真のデジタルツイン構築を目指す。

清水 さや子

学術キャリアの継続性を支えるアイデンティティ連携基盤の設計と実装

グラント番号:JPMJAX25MB
研究者
清水 さや子

情報・システム研究機構
国立情報学研究所
助教

研究概要

研究者の所属組織の異動に伴うID変更により、学術サービスの継続利用が困難となる構造的課題を解決するため、本研究ではIDの連続性を保証する照合モデルを構築する。AIによるID関連性推定とフェデレーション認証を組み合わせ、本人性を支援しつつ制度的・倫理的要請にも対応する。多様な研究者層を包摂し、情報インフラと制度設計、AI照合技術の共進化を理論的に探究する。

朱 義文

組込みAIアプリ向け省リソースLinux実行環境

グラント番号:JPMJAX25MC
研究者
朱 義文

名古屋大学
大学院情報学研究科
大学院生

研究概要

本研究では、リアルタイムOSと省リソース化したLinuxの共存により、組込みAIアプリ向けの高効率ハードウェアに適したLinux実行環境を実現します。これにより、優れたSWaP-C(サイズ、重さ、電力、コスト)や、リアルタイム性、信頼性を実現しながら、Linuxによる高機能な組込みAIアプリの開発を容易にします。

清野 雄多

低資源ノード連携による歯科連合学習プラットフォームの構築

グラント番号:JPMJAX25MD
研究者
清野 雄多

大阪大学
歯学部附属病院
特任研究員

研究概要

連合学習はプライバシー保護の観点から医療分野での応用が期待されている。また全国に約6.7万軒あるほとんどの歯科診療所は、CPU-only かつ少量データの「低資源ノード」である。そこで本提案では、歯科診療所ネットワークという、従来の研究が想定してこなかった「多数×低資源×非同期」のノードからなる分散学習の可能性を模索し、すべてのひとに等しく診断の機会を提供できるAIインフラの構築を図る。

谷口 昂平

透過的プロキシを用いた郵便的ネットワーク

グラント番号:JPMJAX25ME
研究者
谷口 昂平

大阪大学
大学院情報科学研究科
大学院生

研究概要

本研究は,ネットワーク管理をコンテナ管理から分離する「郵便的ネットワーク」を提案する.郵便的とは,パケットの送受信をポストへの投函・回収のように行う非同期性と,その配送方法を管理者が自由に制御する主導性を指す.具体的には,透過的プロキシがコンテナ通信を終端・集約し,通信中でもコンテナの停止・再配置を可能にする.また,プロキシ側での輻輳制御とマルチパス転送により,公平かつ高帯域な通信を実現する.

土田 光

複数の攻撃者に対して安全なマルチパーティ計算

グラント番号:JPMJAX25MF
研究者
土田 光

埼玉工業大学
工学部
講師

研究概要

本研究は、複数の攻撃者が存在する現実的な攻撃シナリオに対し、計算結果の改竄と攻撃者間の連携の両方に耐性を持つマルチパーティ計算(Multi-Party Computation, MPC)の開発を目的とする。加算のみで構成可能な新たな手法により、従来方式よりも効率的かつ安全性の高い MPC を実現し、将来的なプライバシー保護型データ解析基盤の構築に貢献する。

山岡 悠

納得感生起の量子回路モデル

グラント番号:JPMJAX25MG
研究者
山岡 悠

大阪大学
量子情報・量子生命研究センター
特任研究員

研究概要

ヒトが意識上で行う処理をAI技術に代替させる境界を探る為,情報処理を意識下へ潜在化させる「納得感」が発生する条件を,情報提示/内容から解明する.思考の意識下誘導実験を納得感生起の観測手段とし,弱教師となる被験者の納得に関する主観応答と実験時の神経生理データの照合から,納得と関連するヒト状態変数を求める.各状態変数を量子ビット,刺激群を量子回路と見なした納得感生起の量子回路モデルの構築を目指す.

山口 隼平

非制約空間コンピューティングに向けた視覚慣性電波オドメトリ基盤の構築

グラント番号:JPMJAX25MH
研究者
山口 隼平

広島市立大学
大学院情報科学研究科
助教

研究概要

学術的問い「仮想空間は現実空間にどれだけ重畳し続けられるのか?」を受けて、本研究ではARグラスを対象として「いつどこで利用してもユーザの体感品質を損ねない空間コンピューティングの実現」を目的とします。本目的達成に向けて、空間コンピューティングの礎である自己位置推定を高精度かつ頑健に実現するための視覚慣性電波オドメトリ基盤を提案し、時空間制約を受けない空間コンピューティングを確立します。

山口 尚紀

ピコ秒光パルス符号化による高精度・高信頼な次世代ToF-LiDAR

グラント番号:JPMJAX25MI
研究者
山口 尚紀

東京大学
大学院工学系研究科
大学院生

研究概要

本研究では非同期光サンプリングを用いることで従来型ToF-LiDARより3桁高速なピコ秒光パルスによる150umの測距分解能を有し、さらに光パルスの符号化を導入することで高精度・高信頼な次世代ToF-LiDARを実現する。これにより高精細な三次元計測技術を確立し、AI共生社会におけるスマートファクトリーや無人物流を含む社会インフラにおけるより高度なサイバー・フィジカル融合の加速を目指すものである。

米倉 晴紀

高信頼なネットワーク分散MoE-LLMシステム

グラント番号:JPMJAX25MJ
研究者
米倉 晴紀

大阪大学
大学院情報科学研究科
大学院生

研究概要

分散MoE型大規模言語モデルの実用化には、効率性に加え「レジリエンス」の確保が不可欠である。本研究は、この重要な課題に対し、Expertの動的な信頼性を考慮した協調型ルーティング、カスケード障害や悪意あるExpertの活動を抑制する耐性機構、システムの堅牢性を定量評価する指標を開発・実装する。これらの成果をOSSとして公開し、信頼性の高い次世代分散AI基盤の構築と普及に貢献する。

林 方正

投機実行ドライランによるSpectre脆弱性検出の高速化

グラント番号:JPMJAX25MK
研究者
林 方正

東京科学大学
工学院
大学院生

研究概要

Spectre脆弱性はプログラムから秘密情報を漏洩させ、計算機システムの安全性を脅かすため、対策は急務である。本研究は、Spectre脆弱性対策の重要な一環であるガジェット検出の高速化と実用化に着眼し、静的分析と専用プロセッサ設計による投機実行ドライランを組み合わせた新手法を提案する。従来手法の性能ボトルネックを大幅に改善し、さらにリアルタイム検出・防御も視野に入るから、実用性が期待できる。

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