[トランススケール] 2025年度採択課題

以倉 崚平

結晶オリゴマーの相互作用による強靭化と自己修復性の両立

グラント番号:JPMJAX25D1
研究者
以倉 崚平

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教

研究概要

強靭性と自己修復性の両立には、強弱相互作用の相乗効果が有効とされていますが、成功例の一方で自己修復性を喪失する例も多く、両立条件は未解明です。本研究では、強度が制御可能で非干渉な複数種の結晶オリゴマーを導入し、サイズ空間・ひずみ・緩和時間を統合したトランススケール解析により、設計指針の確立を目指します。

大﨑 脩仁

金属ナノ材料の表面エネルギー解析に基づく革新的バイオセンサ開発

グラント番号:JPMJAX25D2
研究者
大﨑 脩仁

東北大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

本研究では金属ナノ材料の酸化電位を表面エネルギーから予測するモデルを構築し、実験を介さずに電極特性を設計可能な理論を確立を行います。得られた理論を多様な金属ナノ材料に展開し、疾患ごとに必要な複数のバイオマーカーを電位差で選択的かつ同時に測定するマルチプレックスバイオセンサを開発します。感染症やがんなどの健康診断を網羅的かつ在宅ででき、個人差を克服する新バイオセンサ技術の創出を目指します。

大林 駆

マクロ/ミクロ変形相関を制御したゴムのひずみ誘起結晶化

グラント番号:JPMJAX25D3
研究者
大林 駆

京都大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

エラストマー材料のひずみ誘起結晶化の研究の多くは、変形トリガーとして単純な一軸伸長を用いており、実用環境に近い多軸変形下ではほとんど行われていません。本研究は、エラストマーに数十nmオーダーの巨大な架橋点を導入することで、あらゆる変形で分子鎖の変形モードが常に一軸伸長的になるひずみ誘起結晶性ゴムを創製します。マクロ/ミクロ変形相関の関係を明確化し、ゴムの強靭化を最大化する分子設計指針を提案します。

岡本 一央

ドナー・アクセプター型イナミンを基盤とするトランススケール分子変換マテリアルの開発

グラント番号:JPMJAX25D4
研究者
岡本 一央

富山大学
学術研究部理学系
助教

研究概要

イナミンの1電子酸化により生成するラジカルカチオン中間体は、求電子性と求核性をあわせ持つアンビバレントな化学種です。本研究では、「ドナー・アクセプター型イナミン」の分子設計に基づくラジカルカチオン中間体の意図的な不安定化によりその反応性を最大化し、低分子から高分子に至るまで包括的に有機合成反応を実施できる優れた化学試薬(トランススケール分子変換マテリアル)の開発を目指します。

菊池 幸祐

固相-固相転移を示すタンパク質結晶変形材料の創出

グラント番号:JPMJAX25D5
研究者
菊池 幸祐

東京科学大学
生命理工学院
助教

研究概要

外部刺激で形を変える高分子材料は多数知られていますが、タンパク質結晶で同様の機能を示す例はほとんどありません。本研究は、細胞内結晶化による迅速な変異体作製とアミノ酸残基レベルの設計を組み合わせ、外部刺激に応答して変形を繰り返す「動くタンパク質結晶」を設計します。これにより、分子設計が巨視的変形へ直結する新しいタンパク質材料科学の学理の確立を目指します。

小池 太智

低配位典型元素クリック反応を基軸とした機能化学

グラント番号:JPMJAX25D6
研究者
小池 太智

東京大学
大学院工学系研究科
助教

研究概要

高度なネットワーク構造の制御を志向する分子設計および反応開発は、機能性分子の創出に向けた重要な戦略の一つです。本研究では、新規低配位典型元素クリック反応試薬を設計・合成し、それを利用した有機π電子系の後期修飾を基軸とする、含低配位典型元素材料化学の創製を目指します。有機π電子系に新たに導入される「低配位典型元素部位」を反応軸とする戦略により、柔軟な構造拡張と機能の発現を実現します。

木幡 愛

脂質膜表面で駆動し、ベシクルを変形させる巨大な分子機械

グラント番号:JPMJAX25D7
研究者
木幡 愛

東京科学大学
生命理工学院
助教

研究概要

脂質二重膜からなるベシクルの表面へ導入可能な人工両親媒性分子を合成し、その分子を脂質膜上で自己組織化させることにより、ベシクル表面で駆動する巨大な分子機械を構築することを目的としています。本分子機械は、外部刺激に応答して機械的駆動力を発揮する設計となっており、この動的な駆動力を利用して、人工細胞創製を志向したベシクル小胞の発芽や分裂といった現象の制御を目指します。

小林 舜典

結晶格子欠陥の等価性に基づく欠陥組織の統一的理解

グラント番号:JPMJAX25D8
研究者
小林 舜典

大阪大学
大学院基礎工学研究科
助教

研究概要

結晶性固体材料の力学特性は、内部に存在する結晶格子欠陥によって大きく左右されます。したがって、欠陥の特性を理解し制御することは新しい材料設計に直結します。しかし、結晶格子欠陥には多様な種類があり、その性質も大きく異なります。本研究では欠陥の巨視的弾性場の等価性に着目し、欠陥を代表回位モデルに変換する枠組みを構築します。これにより、多様な欠陥を回位論の視点から統一的に理解することを目指します。

榊原 雅也

速度論的結晶生成を用いたナノ特異相のスケール拡張

グラント番号:JPMJAX25D9
研究者
榊原 雅也

北海道大学
低温科学研究所
JSPS特別研究員(PD)

研究概要

非平衡状態にある結晶構造の探索・物性理解は革新的材料創生に不可欠です。本研究では、電子線・光照射により局所的に非平衡環境を創出することで、準安定構造を維持しながら速度論的にメゾ・マクロ結晶を得る手法を開発します。得られた準安定結晶構造の物理・化学的特性を透過電子顕微鏡を用いてナノ~マイクロスケールで解析することで、非平衡固体材料における構造-物性相関の理解に資する知見獲得を目指します。

坂本 直柔

マルチオペランド分析が拓く原理解明・駆動型CO2電解触媒創出

グラント番号:JPMJAX25DA
研究者
坂本 直柔

(株)豊田中央研究所
ビヨンドX研究部門
研究員

研究概要

CO2の有用化合物への再資源化を実現するCO2電解触媒創出に向けて活性化エネルギーの定量も可能にする赤外分光/ラマン散乱と遠赤外/超低波数ラマン、X線吸収分光による時間分解マルチオペランド分光計測に取り組みます。最表面の金属原子が活性点として駆動する触媒原理に、局在表面プラズモン共鳴の最表面近傍ほど増強効果が強い性質を組み合わせ、触媒の種類やスケールを問わない革新的分析基盤の確立を目指します。

申 宇美

自動実験×機械学習が先導するCO2還元触媒の開発

グラント番号:JPMJAX25DB
研究者
申 宇美

産業技術総合研究所
材料・化学領域
研究員

研究概要

触媒反応は、表面活性点と反応分子の相互作用によって進行し、反応場のナノ構造は合成時の元素組成やプロセス条件により制御されます。本研究では、実験プロセスに含まれる誤差を定量化できる自動実験と機械学習の協働システムを開発し、マクロスケールの合成条件がナノスケールで進行する触媒反応へ及ぼす影響を理解します。さらに、CO2還元反応に有効な触媒開発に適用することで、本アプローチの有効性を実証します。

杉坂 浩太

寸法効果を利用した超高疲労強度金属メタマテリアルの創成

グラント番号:JPMJAX25DC
研究者
杉坂 浩太

京都大学
大学院エネルギー科学研究科
大学院生

研究概要

金属の寸法がナノスケールまで縮小すると、転位の枯渇によって機械的強度が著しく上昇します。本研究では、実用上重要な疲労強度に着目し、ナノスケールの幾何構造の付与によってトランススケールで高疲労強度を発現するメタマテリアルを設計・実証することを目的とします。本来特定の材料寸法のみで得られる「寸法効果」をトランススケールに活用する、革新的な材料設計指針の確立を目指します。

関 凜

均一・不均一触媒のトランススケールな理解に基づく新触媒創出

グラント番号:JPMJAX25DD
研究者
関 凜

東京大学
大学院工学系研究科
助教

研究概要

均一・不均一触媒のトランススケールな理解に基づき,新触媒およびこれを用いた分子変換の創出を目指します。具体的には,錯体の構造制御に基づく固体触媒の創成および,固体触媒の表面を模倣した錯体の合成を行います。不均一/均一の境界に位置する触媒を,分子・バルク双方からのアプローチで設計することで,双方の利点を有する新触媒の創出を目指すとともに,本質的に異なる特徴を抽出し,触媒の再定義を目指します。

田中 駿介

界面分子から見る有機薄膜の自発配向分極

グラント番号:JPMJAX25DE
研究者
田中 駿介

産業技術総合研究所
材料・化学領域
主任研究員

研究概要

永久双極子を有する有機分子が秩序を持って積層された自発配向分極薄膜は、その巨大表面電位を利用することで、革新的な有機デバイス開発につながります。しかし、配向分極の発現機構はいまだ議論の渦中です。本研究では、振動和周波発生分光法を用いて有機分子配向を精密に決定し、分子配向と表面電位の相関を明らかにします。さらに、界面分子を整列させることで、配向分極の極性(向きや強さ)を制御することを目指します。

永井 邑樹

エントロピーの光制御に基づく光蓄冷材料の創成

グラント番号:JPMJAX25DF
研究者
永井 邑樹

立命館大学
生命科学部
助教

研究概要

冷却、保冷技術は我々の暮らしに必要不可欠である一方でその消費電力が問題になっており、持続可能な社会の実現に向けては、再生可能な光エネルギーに基づく冷却技術が重要になると考えられます。そこで本研究では、分子構造および相状態の光制御に基づき低エンタルピーかつ低エントロピーの準安定状態を作り出すことにより、最安定状態へと経時的に戻る際に吸熱を示す光蓄冷材料を開発します。

南部 誠明

結晶×非結晶 特異配列構造が拓く指先サイズのDUV・VUVレーザ光源

グラント番号:JPMJAX25DG
研究者
南部 誠明

大阪大学
レーザー科学研究所
助教

研究概要

深紫外(DUV)および真空紫外(VUV)帯域で動作する小型・高効率なレーザ光源は、学術、産業、医療分野からの強い要請にも関わらず未だ実現していません。本研究では、このような光源の実現を目指し、革新的な第二高調波発生(SHG)デバイスを提案します。非線形結晶ブロックと線形非結晶ブロックを特異的に配列することで、これまで未踏であった小型・高効率なDUV・VUV SHGデバイスの実現に挑みます。

二階堂 圭

極性構造制御による有機半導体ピエゾトロニクスの創出

グラント番号:JPMJAX25DH
研究者
二階堂 圭

東京大学
大学院工学系研究科
助教

研究概要

従来制御が困難であった有機半導体の極性結晶構造の制御手法の確立と、極性構造に由来した新規物性の開拓を目指し、本研究では分子混合に基づく新たな構造制御手法による有機半導体極性結晶の創出に取り組みます。また極性を持った結晶構造の発現により、圧電効果に由来した有機半導体の巨大なひずみ抵抗効果を利用した高感度ひずみセンサへの応用、すなわち有機半導体ピエゾトロニクスの創出を目指します。

野上 純太郎

分子内架橋戦略に基づくトポロジカルナノカーボンの創製

グラント番号:JPMJAX25DI
研究者
野上 純太郎

東京科学大学
物質理工学院
助教

研究概要

3次元ナノカーボン類は複雑な立体に基づく独特の電子的特性や芳香族性、動的挙動を示し、材料応用に向けた特性理解が求められます。本研究では、架橋部位により立体制御をおこなう新合成戦略:分子内架橋戦略を打ち出し、不斉芳香環構築反応と組み合わせたトポロジカルナノカーボンの不斉合成を目指します。構造的特長を活かした発光スイッチングやキラル分子集積へと展開することで革新的トランススケール機能の開拓に挑みます。

三坂 朝基

光応答性分子リザバーデバイスの電荷ダイナミクス測定

グラント番号:JPMJAX25DJ
研究者
三坂 朝基

大阪大学
大学院理学研究科
助教

研究概要

本研究では、ドナー・アクセプター分子を用いた光応答性分子ネットワークリザバーデバイスの作成し、独自に開発した時間分解静電気力顕微鏡を用いて測定することで、分子性リザバーデバイスの電荷ダイナミクスとデバイス機能の関係の解明をすることを目指します。薄膜ナノ物性とデバイスのマクロ電気特性との関係をトランススケールな観点から理解することを試みます。

森野 琢水

多元系実用材料における組織発展予測手法の確立

グラント番号:JPMJAX25DK
研究者
森野 琢水

横浜国立大学
大学院理工学府
大学院生

研究概要

本研究では、メソスケールで形成される材料組織とマクロスケールの熱力学特性を結びつけるために、CALPHAD法とフェーズフィールド法を直接連携させるDirect CALPHAD Coupling(DCC)モデルを開発・拡張し、実用多元材料の組織形成を高精度に予測する計算基盤の構築を目指します。これにより、経験則に頼らない合理的な材料設計を実現し、革新的なマテリアル創成を加速します。

安井 知己

高度に伸長された高分子電解質網目を用いたミセル形成制御と機能開拓

グラント番号:JPMJAX25DL
研究者
安井 知己

北海道大学
大学院先端生命科学研究院
助教

研究概要

難溶な物質を可溶化して薬剤を徐放するドラックデリバリー材料といった、自由自在に物質の取込み、放出挙動をコントロールできる材料が求められています。本研究では、ダブルネットワークゲルが持つ高度に伸長された高分子電解質網目を利用し、ゲルの変形によってミセルの形成を誘起できる技術を開発します。この技術を用いて、ゲルを変形させると薬剤などの疎水性物質をゲル内に取り込めるスマートマテリアルの開発を目指します。

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