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- [トランススケール] 2024年度採択課題
東京理科大学
創域理工学部
助教
輸送機器の軽量化および耐久性向上に向けて、弾性率とタフネスを両立させたプラスチックのタフ化技術の確立が求められています。本研究では、弱いイオン相互作用によるプラスチックのタフ化現象に着目し、ナノスケールの分子設計とマクロスケールの力学特性を結びつける中間構造体のイオンダイナミクスを解明します。これにより、プラスチックのタフ化に関する新たなモデルと分子設計指針の構築を目指します。
(公財)高輝度光科学研究センター
産業利用・産学連携推進室
テニュアトラック研究員
コロイド分散液中のnm~µmサイズの粒子は、X線回折や顕微鏡観察に適さない中間サイズであるため実験的な構造測定が困難です。このようなメゾスケール材料の物性を解明するため、本研究では小角/極小角X線散乱測定(SAXS/USAXS)を利用したコロイド懸濁液の構造計測に取り組みます。高輝度放射光を利用した時間分解のレオロジーとSAXS測定により、高速流動場におけるコロイドの高速応答現象を明らかにします。
三井化学(株)
研究開発本部
主任研究員
高分子系の相分離現象は、生物の物質生成や生命現象において、その重要性が注目されています。本研究では、高分子の分子スケールの性質を考慮し、その相分離構造を精密かつ高速に予測できる分子論的理論を構築します。今回の理論構築をもとに、分子スケールの性質制御によってメソ・マクロスケールの相分離構造を精密に制御できる技術の確立を目指し、革新的新規材料開発の加速化に貢献します。
中央大学
大学院理工学研究科
大学院生
本研究は、ナノ粒子の超高速射出技術および粒子飛翔速度計測技術を開発し、構造材料の長寿命化、高機能化を達成することが目的です。レーザーアブレーションを利用したナノサイズかつナノ秒の動的な衝突実験法を確立し、粒子衝突における空間および時間スケールの依存性によって新しい現象の創出に取り組みます。特に、階層構造をもつ構造材料に着目し、様々なスケールの欠陥を導入してマクロな力学機能の向上を検討します。
名古屋大学
大学院工学研究科
研究員(学振PD)
省エネルギー化に向けて、複雑に乱れた流れである乱流を自由自在に制御することが必要不可欠です。本研究では、微量の界面活性剤を添加するだけで乱流が劇的に抑制される現象に注目します。界面活性剤が形成するミセルが流動場中でどのように分裂・結合するのかを突き止めることで、分子スケールから巨視的な流れのスケールまでを意のままに操る新たな乱流制御指針を提示します。
東北大学
国際放射光イノベーション・スマート研究センター
助教
物性を自在に制御することは革新的デバイスの開発に直結します。本研究では「ひずみ」という汎用操作を用いることにより磁性相状態を司り、付随した動的特性の可逆自在制御を行います。バルクを凌駕する機械特性を持つ二次元層状物質に着目することで、GHz~THzにわたるワイドバンドな磁気共鳴周波数の変調をひずみにより実現し、超高速磁気デバイスへの道筋、すなわちエラストマグノニクスを開拓します。
自然科学研究機構
分子科学研究所
特任助教
本研究では、光誘起キャリアの生成から固体表面での分子の酸化還元反応まで様々な時空間スケールに渡って進行する光触媒反応において、光触媒の表面反応に関わる活性種のオペランド分光計測に取り組みます。特に、メタンや水といったユビキタス分子を活性化する光誘起正孔をオペランド観測することで、表面反応の自在制御に資する表面反応場の材料設計指針を獲得し、高度に表面反応場を制御した次世代光触媒の創製へと貢献します。
九州大学
大学院工学研究院
助教
光エネルギー変換効率を倍増させる戦略として、特定の有機分子が示す励起子分裂が注目を集めています。本研究では、励起子分裂後の三重項の乖離を促すメソスケールの分子集積構造の探求と、光-物質相互作用の設計によるマクロな一重項励起子のダイナミクス制御を組み合わせ、破格の効率を示す励起子分裂型光電変換デバイスの開発を目指します。
東京農工大学
大学院工学研究院
助教
ポリマー/ナノ粒子混合材料において、ミクロな構造やダイナミクスとマクロな物性との関係をトランススケールで理解することは、革新的な新素材を創成する上で重要です。本研究では、「液中」という現実の系に近い環境において、透過電子顕微鏡その場観察技術を確立することで液中の分子論的描像を得ます。ナノスケールの情報とマクロな物性解析を組み合わせることで、液体試料に対する物性構造相関の体系的な理解を目指します。
京都大学
大学院工学研究科
助教
分子性結晶は、構成分子がどのような配列をとるか、つまり結晶構造によって性質が変化します。ある結晶構造が別の構造へと変化する相転移では、反応前後の構造だけでなく反応過程を理解することが重要です。そこで本研究では、粗視化モデルをベースとした分子性結晶の新たな相転移経路探索手法を開発します。これを用いて、機械的刺激に応答し結晶構造が変化するメカノクロミズムの機構を解析します。
東京大学
大学院工学系研究科
大学院生
材料設計では、マクロスケールで発現する機能物性とナノスケールで発現する局所物性の相関関係を理解することが有効であると考えられます。本研究では、生成モデルの枠組みの中で、それらの異なる空間スケールにおける物性間の複雑な相関性を深層学習モデルに学習させ、より効果的に材料設計を行うことが可能な結晶材料生成モデルを構築することを目指します。
東京大学
大学院総合文化研究科
助教
「共役」という概念はπ共役系によって発展してきました。その一方で、結合を介さない空間的な共役に関してはいまだ詳細な研究がなされておりません。ナノスケールの分子設計を元に、マクロスケールで電子系を完全に制御するには、空間的共役の理解が必要不可欠です。本研究では、空間的なπ対称性の共役系を非共有電子対によって構築し、そのハイスループットな伝導度測定から、トランススケールな統一概念の確立を目指します。
茨城大学
学術研究院
助教
高結晶性光触媒は、励起キャリアの再結合が生じやすい欠陥や歪みが少ない一方で、サブミクロンからマイクロ領域の比較的大きな粒子となることが多いです。その結果、比表面積が小さくなり、基質の吸着やキャリア移動においてデメリットが生じます。本研究では、この課題を解決するため、従来「抑制すべき」とされてきた光腐食反応を活用し、サブミクロンサイズの高結晶性光触媒に対する「光ナノ加工プロセス」の確立を目指します。
大阪大学
大学院工学研究科
特別研究員
強誘電体は現代社会に不可欠であり、アクチュエータやセンサーなど多用途に利用されていますが、その機能向上には分極ドメイン制御が重要です。強誘電性ネマティック液晶(NFLC)は、強誘電材料でありながら液晶の流動性や自己組織性を併せ持ちます。本研究では、形状異方性を有するポリマーネットワークを用いてNFLCの分極ドメイン制御を試み、ドメイン配列をデザインした高度なソフト強誘電デバイスの開発を目指します。
東京科学大学
総合研究院
助教
双晶変形は、形状記憶効果をはじめとした様々な高機能性をもたらします。その中で本研究では、低温熱処理によって結晶構造や微細組織が変化しないにもかかわらず、マクロな変形挙動が大きく変化するチタン基形状記憶合金をモデル材とします。これにより、双晶界面の易動度の変化というマクロな現象を支配する界面近傍の変化をナノスケールに見出し、双晶界面移動に関するトランススケールな理解を試みます。
広島大学
大学院先進理工系科学研究科
助教
科学技術の発展により多くの革新的な材料が開発されていますが、大量合成できない場合や、デバイスやシステム中でその機能が低下してしまう場合があります。本研究では、工業規模でも使用できるプロセスを用いる材料合成と、材料の生成とデバイスの作製を一貫して行うワンステッププロセスを採用したトランススケールな材料設計技術の確立により、真に機能する革新的なマテリアルを創製します。
東京科学大学
総合研究院
助教
異種物質をブロック化してヘテロ接合すると、構成要素単独の状態では発現しない相乗的機能が期待されます。ブロック構造体は、分子レベルで起こる事象を非線形的、相乗的に巨視的な事象へと翻訳する、トランススケールの概念を具現化するモチーフと考えています。本研究では、異種ハイブリッドペロブスカイトをブロック共結晶化する方法論を確立し、ナノのヘテロ界面が誘起する、マクロな電子・光電子的相乗機能を探求します。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教
本研究では、電子材料物性のトランススケールな理解にむけて、ナノの立場からアプローチを行います。高い空間分解能を有する原子間力顕微鏡を用い、材料とナノプローブとの局所的相互作用力の検出することで、電子物性の局所解析を行います。 静電気力の各種分光測定を大域的に取得することで、時間・空間の両スケールにわたる解析を行い、ナノ物性とマクロ物性の相互理解を目指します。
京都大学
高等研究院
特定研究員
シャボン玉のように特定の物質が秩序を持って集まり、自発的に形成される構造体を「自己集合体」と呼びます。自己集合体は一般的に、対称性の高い球状構造を好みますが、この性質が材料開発における構造の多様性を制限しています。そこで本研究では、数理と化学の力の融合させて非典型的な離散自己集合体を合成し、トランススケールな集合現象制御による革新的な材料開発に挑みます。
大阪大学
大学院工学研究科
助教
芳香環が幾何学的配置で連結したカーボンマテリアルは、特徴的な物性から次世代マテリアルズサイエンスにおける基盤材料として注目されています。本研究では芳香環から水素を2つ取り除いた化合物群である「アライン」を自在に配列・環化することで構造制御されたカーボンマテリアル合成法を確立し、その機能探索に取り組みます。
広島大学
大学院統合生命科学研究科
助教
従来装置は、自己集合化にみられる平衡状態や一過性の過程に注目し、設計・開発が行われてきました。本研究では、分子が非平衡下で自発的に組み上がりはじめて発現する自励振動を応用することで、自己組織化するマイクロデバイスを開発します。分子や原子の自律性に根差した技術は、大掛かりで複雑な装置や外部からのエネルギー供給といった制約から独立しており、省資材化や省エネに寄与する革新的技術基盤になると期待されます。
名古屋大学
大学院情報学研究科
助教
異なる触媒間でのポリマー交換と重合反応が同時進行する可逆的連鎖移動法(CSP)には「分子運動と重合反応の間の時間スケールの壁」と「ナノスケールの存在である触媒分子がメソスケール空間に分布することによる空間スケールの壁」のふたつが存在します。本研究では、これらを同時に克服するトランススケールな重合反応シミュレーション手法を創成することで、CSPのメカニズム解明と新規反応系の設計指針提案を目指します。