[トランススケール] 2023年度採択課題

秋吉 一孝

汎用元素を利用したカルコパイライト型半導体粒子の創製と光機能制御

研究者
秋吉 一孝

名古屋大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

持続可能な開発目標(SDGs)が目指すエネルギー問題解決に向けて、全太陽光のうち約半分を占める赤外光エネルギーの有効利用は挑戦的な課題です。本研究では、I-III-VI族カルコパイライト型半導体の中でも鉄や銅、硫黄などの汎用元素で構成された半導体ナノ粒子に注目し、合成法及び分離・選別法を開発するとともに、高い光閉じ込め機能を有したマクロ薄膜材料化による高効率な太陽電池や光触媒の実用化を目指します。

新井 達也

X線回折で見る高分子複合材料のリアルタイム内部運動

研究者
新井 達也

北海道大学
大学院先端生命科学研究院
助教

研究概要

高分子複合材料において、ナノスケールのダイナミクスがマクロな物性と関連していることは広く知られています。そのため、ダイナミクスの直接観察手法の発展が期待されています。本研究では、時分割X線回折強度の揺らぎの速さからダイナミクスを推定する新たな手法としてDXB法を考案しました。DXB法を用いて様々なゴムやゲルのダイナミクスを測定し、マクロな物性との関係性を明らかにする事を本研究の最終目的とします。

石井 良樹

ハイブリッドソフトマテリアルの集合体物性を切り拓くナノ構造計算化学

研究者
石井 良樹

北里大学
未来工学部
講師

研究概要

有機・無機分子が織りなすハイブリッドソフトマテリアルは、無機系ドメインが強固に相互作用しつつ、有機系ドメインが大きな自由度を使って柔らかく複雑なメソ集合様態を形成することで、様々な材料機能を発現します。そこで本研究では、ナノスケールの相互作用を正確に取り扱う計算化学を用いて、ハイブリッドマテリアルの1分子描像とナノ~メソ集合構造、マクロ物性を相互に繋ぐトランススケールな学理構築を展開します。

大久保 光

SRT材料の潤滑機構の階層的な理解と新機能開拓

研究者
大久保 光

横浜国立大学
大学院環境情報研究院
助教

研究概要

トランススケールな動的界面情報を同時取得可能なオペランド計測、具体的には、「sum-mmオーダーの接触域で発現する静・動力学応答」、「µmオーダーの界面厚み」及び「nmオーダーの分子情報」の時空間分解同時計測を実施することで、「ソフト&レジリエント・トライボロジー(SRT)材料」の階層構造を把握し、その潤滑機構を階層的に理解します。得られた知見から、新たなSRT材料の高機能化技術の確立を試みます。

岡田 和歩

予疲労変形を用いたき裂発生抑制による高強度鋼の疲労限度向上機構の解明

研究者
岡田 和歩

物質・材料研究機構
構造材料研究センター
研究員

研究概要

従来の超高強度鋼は疲労限度が低く、幅広く社会実装する上で問題となってきました。本研究では、予疲労変形によってき裂発生を抑制し、超高強度鋼の疲労限度を2倍に向上させています。そこで、き裂発生メカニズムに基づいて予疲労変形による疲労限度向上機構を考察することで、「疲労き裂が発生しにくい微視組織形態とは何か?」を明らかにし、き裂発生の抑制によって疲労限度を向上させるための材料設計指針の獲得を目指します。

奥村 慎太郎

プラスチックを還元分解する革新的光触媒の創製

研究者
奥村 慎太郎

京都大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

近年、プラスチック産業による石油の大量消費やプラスチックごみによる環境汚染が社会問題となっており、そのリサイクル技術の開発・発展は急務の課題です。本研究では主要なプラスチックであるポリエステルの、光還元による新たな分解法の開発に挑戦します。具体的には、エステル還元に有効な革新的光触媒の創製および低分子エステルの還元からポリエステルの還元分解へのトランススケールに取り組みます。

吉川 聡一

トポケミカル電解法による熱非平衡金属間化合物の創製

研究者
吉川 聡一

東京都立大学
大学院理学研究科
助教

研究概要

鋳型酸化物の構造因子やその電解還元反応条件を変えることで金属間化合物ナノ粒子を合成し、その電解形成過程をバルク解析と表面解析手法を組み合わせたオペランド分光法によりスケール横断分光計測することで、熱非平衡金属間化合物の構造制御因子を解明します。さらに、トポケミカル電解による金属間化合物の設計手法を一般化し、鋳型酸化物の結晶構造制御により新奇な熱非平衡金属間化合物の探索手法を確立します。

櫛田 創

分子振動ポラリトン凝縮によるトランススケール材料創成

研究者
櫛田 創

筑波大学
数理物質系
助教

研究概要

本研究は、分子振動を、1つの量子情報担体に用ようとする研究です。その上で、達成すべき命題は一般にサブピコ秒で失活する分子振動励起寿命の大幅な引き上げと、その振動子の密な集積です。化学技術を駆使することでこの2つを併せて達成し、本来は不揃いな分子振動というナノ量子多体が、トランススケールに協奏することで 1つのマクロな量子として振る舞う分子振動ポラリトン凝縮の実現を目指します。

倉科 佑太

超音波細胞操作治療を実現するためのナノ振動核の創成

研究者
倉科 佑太

東京農工大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

神経活動を超音波により操作し、細胞操作による治療を実現することを最終的な目標とします。そのために、生体深部で超音波を増幅できるナノ振動核を創生し、MHz帯の超音波がナノ振動核に及ぼす影響について、そのメカニズムを解明することを目的とします。これにより、非侵襲的で細胞を遠隔操作できる革新的な医療技術を生み出すための第一歩となる材料探索の研究を実施します。

栗栖 実

膨張・分裂する次世代マイクロ膜小胞の創出

研究者
栗栖 実

東北大学
大学院理学研究科
助教

研究概要

特定の両親媒性分子は水中で数十マイクロメートルの膜小胞を構成します。こうした膜小胞は内部に分子や化学反応を格納することで、次世代ワクチンや細胞サイズのロボット技術への応用が進行中です。本研究ではナノスケールの分子形状に着目し、その数万倍も大きな膜小胞の形状を制御することで、膨張・分裂し数百個に増殖可能な動的な膜小胞を開発します。これにより膜小胞を基盤とする科学技術群をマテリアルの力で変革します。

高橋 仁徳

スケーラブル分子強誘電体の開拓と理解

研究者
高橋 仁徳

北海道大学
電子科学研究所
助教

研究概要

単一次元鎖強誘電体にサイズの小さなカチオンをドーピングし、相関長を系統的に制御することで、分子レベルでチューナブルなリラクサー強誘電体群の設計指針の提示に向けた検討を行います。また分極反転ユニットの分子修飾により高密度集積させることで、新規分子性強誘電体を開拓します。さらに多価カチオン性の分子機械を作製し、単分子誘電体としての評価を行います。

高橋 秀実

光で実現する革新的結晶作製技術の創成

研究者
高橋 秀実

大阪大学
大学院工学研究科
招へい研究員

研究概要

レーザー光の「集める・並べる・壊す」といった工作的作用は、新たな結晶化制御法として有望視されています。本研究では、レーザーアブレーション(物を壊す)と光ピンセット(物を集める・並べる)を組み合わせた新規光学系を構築して結晶化制御を行うとともに、種々計測系を用いて結晶化原理のトランススケールな理解を試みます。これら知見を基に、結晶の形や構造を自在に造り分けられる革新的テクノロジーの創出を目指します。

谷口 卓也

機械学習を活用した有機固相転移の計画的創出

研究者
谷口 卓也

早稲田大学
データ科学センター
准教授

研究概要

本研究ではDFTを代替する機械学習ポテンシャルを用いて、効率的かつDFTに近い精度でMDシミュレーションを行い、有機固体の未知の構造相転移を創出します。特に、温度変化および応力印加によって発現する構造相転移に注目し、計算機上でスクリーニングを実施してから実験による検証・機能評価を行います。

堤 拓朗

構造活性相関解析が拓く機能性高分子開発

研究者
堤 拓朗

北海道大学
大学院理学研究院
助教

研究概要

豊かな生活の基盤となる革新的高分子材料の開発には実験的な試行錯誤が必要です。高分子の機能を単位構造から予測できれば、決め打ち的な高分子設計が達成されます。本研究では、単位構造の構造異性体を全列挙し、孤立系・溶液系ホモポリマー群に対する数値シミュレーションと構造的特徴量の抽出により、スケールを超越した分子論的理解に基づく構造活性相関解析に取り組みます。これにより機能性高分子の設計指針を提案します。

出倉 駿

有機ナノ柔粘性結晶の創成と動的機能の創発

研究者
出倉 駿

東北大学
多元物質科学研究所
助教

研究概要

固体でありながら液体並みの分子運動性を有する柔粘性結晶(PC)は、機能性材料に革新をもたらす新物質群として注目されています。本研究では、ナノ化によって分子運動性が飛躍的に向上・制御された“有機ナノPC”を創成し、既存物質の強誘電体化や次世代全固体電池の実現に資する超多価イオン伝導などの動的機能の創発を目指します。有機ナノPCの科学によって、エネルギー問題および持続可能な未来社会の実現に貢献します。

花山 博紀

金属ナノ構造の精密合成・配列制御

研究者
花山 博紀

千葉大学
大学院工学研究院
助教

研究概要

有機・金属ナノ構造を材料として利用する際には、ナノ構造間の相互作用が重要であり、メソスケールの配列・構造化が優れた物性発現の鍵となります。しかし、金属ナノ材料の長周期の配列制御や曲率を有するナノスケール精密構造の合成は未だ困難です。本研究では、分子集合体と金属ナノ構造のホストゲスト化学の学理を確立し、それをもとに超分子ポリマーを用いた金属ナノ構造創成やそれらの配列制御の実現を目指します。

平田 海斗

光触媒機構の解明に資する電気化学セル顕微鏡の開発

研究者
平田 海斗

名古屋大学
大学院工学研究科
特任助教

研究概要

カーボンニュートラルに向けて、太陽光を利活用した光触媒による水分解反応が注目されており、実現化のためには反応プロセスを高効率化させる開発指針が必要です。これまではマクロな電気化学測定法が広く用いられてきましたが、平均化情報での理解には限界があります。そこで、本研究では、従来の電気化学測定法の計測領域をナノスケールまで局所化した電気化学セル顕微鏡を開発し、光触媒メカニズムの解明を目指します。

福永 隼也

ソフトなキラリティを有するナノカーボンのネットワーク構築

研究者
福永 隼也

東京大学
大学院理学系研究科
助教

研究概要

特異な対称性を持つキラル炭素性物質「ダイアモンドの双子」をユニットとして、これを連結しネットワーク構築を目指します。内在するソフトなキラリティの制御をポイントとして、分子構造をデザインします。「一次元」「二次元」の2つの戦略で、ネットワーク化の検討を行います。得られた構造体は原子レベルの視点とメソ~マクロスケールの視点を融合して評価し、キラリティに主眼を置いて機能探索に取り組みます。

増田 紘士

セラミックスにおける微視的な塑性変形能の活性化

研究者
増田 紘士

東京大学
大学院工学系研究科
講師

研究概要

本研究では、加工・熱処理によって制御された転位組織がセラミックスの微視的な塑性変形能に与える影響を微小機械試験技術を活用することで評価し、塑性変形をより効果的に (例えば、低応力で大ひずみまで) 引き出すための組織因子を明らかにします。

宮岸 拓路

マイクロフロー技術を用いたトポロジカル高分子の精密合成

研究者
宮岸 拓路

北海道大学
大学院理学研究院
助教

研究概要

高分子材料において、ミクロな分子鎖の絡み合いが力学物性に強い影響を与えることが知られています。しかし、高分子のトポロジーを精密に制御する手段は限定的で、ミクロな分子鎖のトポロジーとマクロな物性を結びつけるトランススケールな理解は発展途上です。本研究ではマイクロフロー合成技術を活用することで、トポロジカル高分子材料の架橋剤のトポロジーや配列を精密に制御し、この課題を解決することを目指しています。

矢口 敦也

高次生体組織を構築するトランススケール材料の開発

研究者
矢口 敦也

東京農工大学
大学院工学府
大学院生

研究概要

生命機能は、生体分子の機序から組織や器官内、また異なる器官間での連携といったマクロな視点までを包括して初めてその全容が理解されます。本研究では、このようなトランススケールに行われる生命活動の生体外再構築を可能にする、新規細胞外マトリクス代替材料の開発を行います。さらに、分子からボトムアップ的にデザインした新規材料を用いて高次生体組織を構築し、生命機能のメカニズム解明手法としての応用を目指します。

渡邊 雄一郎

電場下ナノスケール制御による革新的超分子ポリマーマテリアルの創生

研究者
渡邊 雄一郎

京都大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

超分子ポリマーは、モノマー分子が非共有結合によって連結された分子集合体で、自己修復・バイオ・ナノテクノロジーマテリアルなどの様々な応用展開が期待されています。本研究は、分子自己集合の「電場下ナノスケール制御手法」の確立と、革新的超分子ポリマーマテリアルの創生を目的とします。スケールを超越した自己集合の制御を電場によって実現し、マテリアル創生手法としての可能性を大きく拓きます。

プログラム

  • CREST
  • さきがけ
  • ERATO
  • ACT-X
  • ALCA
  • CRONOS
  • AIPネットワークラボ
  • 終了事業アーカイブズ
  • ご意見・ご要望