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- [次世代AI・数理情報] 2024年度採択課題
東京科学大学
情報理工学院
大学院生
衛星画像の空間・時間・波長解像度の間には、使用する人工衛星やセンサの違いに起因するトレードオフの関係があります。また、衛星計測の過程においては、ノイズ・外れ値・雲や霧といったデータの劣化が避けられません。本研究では、数理最適化と深層学習の融合アプローチにより、劣化を分離しながら複数の画像系列を合成することで、全解像度が高く劣化のない画像データを取得する「ロバスト衛星画像合成」の実現を目指します。
国立精神・神経医療研究センター
神経研究所
特任研究室長
自律性を有す脳モデル(AI)の構築は、人間の知能原理の解明と人間とAIが寄添う社会の実現の上で重要なトピックですが、特定の最適化問題として理解されている脳の計算過程で自律性が創発する機序は不明です。本研究では、自発的行動生成、多感覚統合、継続学習を統合する神経力学モデルを構成し、自由エネルギー最小化における認知モード切替え(最小化する損失関数の動的調節)の観点から認知自律性の計算理論を創出します。
名古屋工業大学
大学院工学研究科
准教授
実応用ではブラックボックス関数最適化が頻繁に取り扱われます。最近、IRGP-UCBと呼ばれるベイズ最適化手法が提案されています。しかし、この手法は最大化問題には適用できるが他の様々な設定へ拡張可能かどうかは未知数です。本研究では、最大化問題以外の代表的な設定であるロバスト最適化及びパレート最適化問題に対し、IRGP-UCBの拡張手法を開発し、理論保証の導出と数値実験による実践的性能検証を行います。
量子科学技術研究開発機構
量子医科学研究所
博士研究員
好奇心は、実世界のような不確実で明確な報酬のない環境でも、私たちを行動に駆り立てます。この好奇心メカニズムは、神経科学だけでなくAIやロボティクスなど情報学でも注目されている一方、実態は未だ明らかではありません。本研究課題では、情報学と神経科学を融合し、霊長類の好奇心を引き出す革新的サルVR実験システム開発を通じて、好奇心を生む環境とその神経メカニズムを同定し、好奇心駆動型の次世代AI開発への貢献を目指します。
東京大学
大学院情報理工学系研究科
大学院生
LLMが実世界ロボットにまで組み込まれようとしている現代において、人とLLMの感覚や身体の違いが言語コミュニケーションの妨げになるリスクがあると提案者は考えています。入出力のモダリティが異なるLLM同士で共通の言語を創発させる問題設定(マルチモーダル表現学習としての創発コミュニケーション)を考え、これからの時代の言語コミュニケーションのあり方を模索していきます。
神奈川大学
情報学部
助教
人間の専門家は限られた学習からシンプルに記述可能な経験知を得ており、生成過程がブラックボックスで人間には理解できない大規模AIとは対照的です。クラシック音楽の和声理論はそのような人間の知識の好例です。本研究はクラシック音楽を題材に、少量かつ複雑な楽譜データからの特徴簡約と系列モデリングによる法則性獲得を同時に行う方法を開拓します。
横浜国立大学
教育推進機構
特任教員(助教)
医療分野や工学分野で現れる最適化問題では、解の評価を現実環境で行う場合がありますが、その評価時に危険を伴う問題が存在します。シミュレータの活用により危険な評価が回避されてきましたが、その制作コストやSim-to-Realへの対処などの課題に直面しています。本研究では、現実環境での危険な評価を回避する安全な最適化の実現を目指し、最適化の安全性に関する理論構築ならびにアルゴリズム開発に取り組みます。
大阪大学
ヒューマン・メタバース疾患研究拠点
特任研究員
大規模言語モデル (LLM) は最近、医療分野を含む幅広いタスクとアプリケーションにわたり優れた機能を発揮しています。GPT-4 などのモデルは医療に関する質問への回答に優れていますが、実際の臨床現場で複雑なタスクを処理する際には精度と解釈可能性が不足しています。この研究では、LLM に基づく構造化された方法を使用して診断結果を明確かつ論理的に推論するとともに、診断結果の精度と解釈可能性を向上させることをめざします。
東京大学
大学院情報理工学系研究科
大学院生
本研究では、テキスト資源に頼らず音声資源のみを学習に用いて音声対話システムを構築する方法を検討します。既存のシステムは意味の通ったやり取りを十分に行えないという課題があり、本研究では音声信号から教師なしで単語に近い単位を抽出することでこの課題の解決を目指します。本研究を通して音声対話システムを多様な文化圏・ドメインへ拡張することで、インクルーシブなAI社会の実現への一助となることが期待されます。
東京大学
大学院新領域創生科学研究科
大学院生
本研究では、生体信号に含まれる未来音声情報を利用し、発話よりも先行して発話内容が聴覚提示される聴覚フィードフォワードを実現します。また、聴覚フィードフォワードを利用することで、自身が喋ろうとした発話内容が他者音声で合成され聴覚提示されるシャドーイング体験によって、聴覚提示される任意の声質に対する没入感が向上し認知変化が生じるか、また認知変化を引き起こる声質を体得することが可能か検証します。
東京科学大学
総合研究院
助教
本研究では視覚情報を用いて複雑な概念や情報を可視化したものである「視覚的説明」を自動生成する手法の実現を目指します。視覚的説明が生成可能な画像生成モデルと対話的な視覚的説明生成のための言語モデルを組み合わせることでユーザーの理解や要求に応じたカスタマイズ可能な視覚的説明を提供します。教育や医療、ビジネスなど様々な場面における人と人との情報伝達に革新をもたらすと期待できます。
東京大学
大学院経済学研究科
博士課程
本研究では、複雑な実世界の観測から変数間の関係性を推論するための挑戦的な課題に取り組みます。具体的には、変数選択法の主な構成要素である「(i) 目的変数に対する各候補変数の重要度スコアの導出」及び「(ii) 計算されたスコアの適切な閾値処理による変数選択」の二つを深層を含むニューラルネットワークの理論的洞察から精緻化しつつ、既定水準以下に偽発見率を制御できる科学的発見の方法論の実現を目指します。
名古屋大学
大学院工学研究科
博士課程学生
本研究では、自然言語を介した移動データ理解のため、移動データと自然言語のマルチモーダルAI(MobAI)を開発します。MobAIは、分析者の移動データに対する意味理解を支援し、非分析者の移動データ利活用を促進するものです。これまで障壁だった移動データ分析の難解さと企業間データ共有のプライバシー問題を解決し、都市計画や商業戦略の策定など、様々な分野でのデータ駆動型意思決定を支援することを目指します。
富士通(株)
富士通研究所
研究員
予測モデルを用いた意思決定において、ユーザは次第に予測の信頼性を推測できるようになる一方で、予測モデルは精度管理のための更新を行うことがあります。このとき、少なからず予測の傾向が変化し、ユーザは従来通りに信頼性を推測できないため、生産性の維持は容易ではありません。本研究では、予測結果と根拠の変化に着目し、ユーザが信頼性の推測を修正しやすく、生産性の維持が容易な予測モデル更新の実現を目指します。
東京大学
大学院学際情報学府
大学院生
本研究では、人の無意識的な動作を主体に変わりAIに制御させることで、意識的な操作入力を時分割的に複数の代理身体(アバター)部位上で行えるようにし、生得的身体よりも大きい自由度を持つ拡張身体の操作を実現します。人の意図を反映する予備動作からそれに続く動作を予測・再生するAIシステムと、複数の身体部位に対する操作切り替えを補助する力覚提示システムを組み合わせ、操作入力の時分割を可能にします。
東京大学
理学系研究科附属知の物理学研究センター
助教
学習時の振る舞いを理論的に説明・理解することはデータ科学の根幹を成す要素の1つです。これまでの理論解析は設定の詳細に依存しない基本的性質の解明を探求してきましたが、学習タスクが複雑化し、現実に出会う個別の設定における振る舞いを予言することは困難となっています。本研究では、個別の設定における振る舞いを近似的に説明する数理モデルを推論する枠組みを構築し、現実と理論の橋渡しをする方法論の確立を目指します。
名古屋工業大学
大学院情報工学研究科
助教
本研究は、ラケットスポーツにおいて、戦術変化に対応する選手間の連携メカニズムを明らかにし、戦術的シーンの解釈を実現することを目指します。まず、戦術変化に対応する選手間の連携メカニズムを強化学習で学習し、次に、戦術的シーンにおける質問応答を策定し、マルチモーダルTransformerを用いて汎用的なラケットスポーツの戦術的シーンを解析するモデルを構築します。
東京都立大学
システムデザイン研究科
助教
3人以上の個人の間の高次の相互作用を伴う社会ネットワークをハイパーグラフにより表現し、密に相互作用し合う個人の集団、つまり高次コミュニティ構造を正確に推定および可視化する技術が求められています。本研究では、現実のハイパーグラフの構造的特徴を考慮して高次コミュニティ構造を推定する確率的ブロックモデルを提案し、推定した高次コミュニティ構造を正確に保存したままノードを低次元空間に埋め込む方法を開拓します。
東京科学大学
情報理工学院
助教
学習アルゴリズムが予測のために⽤いる仮説の記述の簡潔さと、その仮説を発⾒するために必要となる計算量、及び、学習アルゴリズムの能⼒に対する理論保証とデータの圧縮可能性の関係の解析を中⼼とした研究を⾏います。得られた結果を元に、NP 困難性に基づく暗号の安全性証明という重要未解決問題の本質的進展と、理論計算機科学のアイデアを取り込んだ⾰新的学習アルゴリズム構成・活⽤法の創出を⽬指します。
東京大学
大学院 情報理工学系研究科
大学院生
深層基盤モデルのスタンダードとして活躍するTransformerは、注意機構と呼ばれる計算量が大きい手法に依存しています。省コストな代替手法が数多く提案されていますが、それらの能力は注意機構には及びません。本研究では、注意機構と代替手法の能力を統計理論に基づいて解明します。注意機構を代替手法で置き換えても性能が落ちない状況を明らかにすることで、効率的かつ高性能なネットワークの設計を目指します。
理化学研究所
革新知能統合研究センター
研究員
近年では計測技術の発展により、処理すべき文字列データが爆発的に増加しています。大規模データを現実的な時間で処理するには、データに対するクエリ(質問)を処理するデータ構造が重要です。データ構造の使用メモリ量はデータ圧縮を活用することで削減できますが、使用メモリ量にはδ最適領域という情報理論的下界が存在します。本研究ではδ最適領域を達成し、かつクエリを高速に処理できる圧縮データ構造を開発します。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
大学院生
近年の大規模言語モデルの精度は飛躍的に向上しているものの、学習に膨大なデータを必要とします。一方で子供は低リソースで言語を獲得可能であり、第一言語獲得の分野では、特に子供の言語獲得過程の誤りが効率的な言語習得に重要であると示唆されています。本研究では、視覚的な情報と言葉を結びつける際の子供の代表的な誤りを模することで、マルチモーダル言語モデルの学習効率化を目指します。
名古屋大学
大学院工学研究科
助教
本研究は高速自律移動体制御のためのオンライン安全強化学習フレームワークの構築と実機適用に取り組みます。高速度域における不確実なダイナミクス・安全制約モデルに対応するために、強化学習と確率推論型最適制御を駆使することで、安全制約を満たしながら適応的に最適な方策を獲得します。結果として、超人間的な制御を安全に実機環境で学習することが可能な「信頼される高速自律移動制御AI」の実現を目指します。
早稲田大学
理工学術院
講師 (任期付)
趣味として絵画を嗜む人・画家・伝統技術後継者など様々なユーザーへの補助を対象とした生成AIが盛んに研究されています。絵の生成はAIを通して出来るようになりましたが、絵から書き方を生成する描画系列生成は、不良設定問題でありユーザーが満足する精度が出ていません。本研究では人間の描画データから書き方として最もらしくなるように描画系列推定の最適化を行い良設定問題として解けるような新しいAIの開発に取り組みます。
東京大学
大学院工学系研究科
大学院生
12年ごとに論文数が倍加する中で研究の質を担保するため、適切な研究評価(査読)者を効率的に探す技術に注目が集まっています。本研究では査読と引用の共通点に着目し、研究者が相互に引用する中で査読を進める方法を拡張し、GNNを用いて大量の論文から適切な査読者を選定する方法を提案します。この新しい査読は別な研究の一部として進められるので、従来査読に割く年間1億時間超を、研究に振り向けられると期待されます。
埼玉大学
理工学研究科
大学院生
近年、食生活の多様化や健康意識の向上によりパーソナライズドフードの需要が急増しています。従来のシステムはデータベースに基づいて食品を提供しますが、個人の味覚や嗜好は異なるうえ時間経過で変化するため、個別最適化が求められています。本研究では、個人の嗜好を学習するAIと味を制御するフードファブリケーションシステムを開発し、個別の食品の味を個人に合わせて最適化するシステムを構築することを目指します。
情報・システム研究機構
国立情報学研究所
特任研究員
人工知能の予測手法は人間の応答の模倣に優れていますが、形式的・論理的推論には依然課題があります。本研究では、複雑な数学構造のAIへの適用方法とその特性の形式的検証、およびこれらの構造を用いたAIの推論計算の加速について新たなアプローチで探究します。この革新的な取り組みにより、AIの論理推論能力を向上させる理論的基盤を確立し、より洗練された意思決定システムの開発に貢献することを目指します。
立命館大学
大学院情報理工学研究科
大学院生
本研究では、組み合わせ範疇文法に基づく構文解析モデルであるHolographic CCGと大規模言語モデルを統合し、これらのモデルを相互に対話させることで、人間に固有の認知機能である言語の創造的使用のメカニズムを計算論的に明らかにすることを目指します。これにより、人間の認知機能に関する学術的理解を進展させるとともに、AIによる高度な言語使用およびAIアラインメントの向上を実現します。
東京大学
大学院情報理工学系研究科
大学院生
信頼されるAIの開発に貢献してきた、AIの汎化性能と解釈性に関する研究は、それぞれデータの量と質の有限性を考慮した保証の取り組みとして理解できます。本研究では、「データの有限性のもとでAIのどのようなふるまいを保証できるか」というメタ的な問いに、力学系の学習タスクを分析することで取り組みます。タスクに内在する数理構造の研究により、実際に学習可能で、かつ我々が解釈可能な知能の特徴づけに挑戦します。
東京大学
大学院工学系研究科
特任講師
AIは医療分野で重要な役割を果たしており、医療の質問に回答するタスクや治療のアドバイスを提供するタスクに役立っています。本研究では、医療に関する質問により正確に答えることができるように、医療知識グラフを活用した大規模言語モデルを使って、AIの性能向上を目指します。また、他の医療テキスト生成のタスクにも応用し、高品質な日本語の医療データセットを作成して、AIの医療分野でのパフォーマンスを改善します。