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- [生命現象と機能性物質] 2024年度採択課題
京都大学
医生物学研究所
助教
幹細胞らしさ (ステムネス) の維持には、転写ネットワークが重要な役割を担っています。転写ネットワークを構成する細胞種特異的転写因子は次々に明らかにされていますが、転写ネットワークを介した細胞種横断的ステムネス制御機構の理解は十分ではありません。遺伝子同士の機能的協調関係を網羅的に探索できる遺伝学的スクリーニングを用いて、新規ステムネス制御因子の同定に挑みます。
東京大学
大学院医学系研究科
特任研究員
獲得免疫の司令塔であるT細胞は、多様なT細胞受容体(TCR)を1細胞あたり1つ発現し、それぞれに固有の抗原を認識すると言われています。そんな中私は、細胞表面に発現しているTCRと異なるTCRを細胞内に ”隠し持つ” T細胞を発見し、そのようなT細胞が高い抗腫瘍活性を示すことを見出しました。本研究では、細胞内TCRが抗腫瘍免疫応答の中で果たす役割を明らかにします。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
基礎科学特別研究員
器官の左右非対称性は器官機能などに必須であり,細胞の捻れや回転として観察される「細胞キラリティ」が器官レベルの左右非対称性の原因と考えられている.本研究では,細胞キラリティを明瞭に示す上皮細胞を用いて,自発的にねじれる細胞チューブのin vitro再構成を目指す.さらに,細胞–細胞および細胞–基質間接着への介入によりねじれ方向を制御し,細胞接着機構が左右非対称性形成に果たす役割を解明する.
名古屋大学
高等研究院
YLC特任助教
卵巣癌は婦人科腫瘍領域における最も予後不良な癌種の一つで、貯留した腹水を介して、大網や腸間膜などの腹腔内脂肪組織に腹膜播種という転移巣を形成し進展していくという特徴を有しています。本研究では卵巣癌細胞と腹水、脂肪組織の相互作用により形成される腹腔内環境全体を1つのエコシステムとして捉え、これを包括的に改変することで腹膜播種を伴った進行期卵巣癌の病態を制御する新規治療戦略の開発を目指します。
国立精神・神経医療研究センター
神経研究所
室長
脳と末梢臓器は血中の液性因子、細胞、または神経経路を介して相互作用をしており、この破綻が様々な病態を引き起こすことが明らかとなりつつあります。本研究では、自閉スペクトラム症をモデルとして、病態時に血中で変動する因子と脳機能不全との関連性を明らかにします。さらに、当該因子が惹起する脳内細胞の機能変化への介入法を確立し、中枢神経疾患を克服する新しい治療法の基盤創出を目指します。
京都大学
複合原子力科学研究所
准教授
本研究では高い活性を持つ植物由来のライゲーション酵素に着目し、これを用いたプロテインライゲーション法を実用化レベルで確立することを目的とします。さらに、ライゲーション技術を自由自在に様々なタンパク質をライゲーション可能な技術へと発展させ、幅広いタンパク質に一般化して適用させることで有用な新規タンパク質の創出も目指しています。
奈良女子大学
研究院生活環境科学系
専任講師
ベージュ脂肪細胞は誘導型の熱産生脂肪であり、エネルギー消費量を増大させます。このため、ベージュ脂肪細胞を増やし活性化させることは、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防・改善に寄与すると考えられます。本研究では、ベージュ脂肪細胞の前駆細胞(ベージュ脂肪前駆細胞)の調節機序を明らかにし、同細胞を増やすことでエネルギー消費の増大につながる機能性物質を同定することを目的とします。
名古屋大学
高等研究院
特任助教
消化・呼吸・心拍など、私達の体内機能の多くが、脳と体内組織を繋ぐ「迷走神経」によって調整されています。しかし、どのように多彩な体内機能を個別に調節できるのか、その詳細は未だ不明です。本研究では、神経回路を標識する「経シナプス性ウイルスベクター」を小型魚類ゼブラフィッシュの迷走神経に導入することで、特定の体内機能に携わる回路を個別に可視化し、その全体像を理解するとともに、形成メカニズムに迫ります。
京都大学
医生物学研究所
特定助教
血液腫瘍等の治療で行われる造血幹細胞移植では、移植免疫細胞が患者組織を攻撃する移植片対宿主病が問題となります。マウス同種異系造血幹細胞移植モデルで免疫抑制性の制御性T細胞移植によりGVHD抑制が可能であることを見出したことから、本研究では詳細な分子メカニズム解明により移植患者の体内で新たな自己免疫寛容を樹立する制御メカニズムを解明し、治療効果が高く副作用の少ない造血細胞移植法の開発に繋げます。
九州大学
大学院薬学研究院
助教
細胞を使わない核酸合成は基礎研究から医療、バイオテクノロジーの幅広い分野で高い需要があります。しかし、既存技術は汎用性と効率性という点で細胞が持つDNA複製能力を再現できていないという課題があります。本研究では、手付かずの古細菌のゲノム機能の発掘とDNA複製機構解明を通して、古細菌が持つDNA複製システムを再構築します。これにより、複製起点に依存しない高性能な無細胞核酸増幅技術を創出します。
順天堂大学
大学院医学研究科
准教授
感染症を媒介する蚊の唾液には様々な生理活性物質が含まれ、古くからウイルスの伝播や病原性を増強することが知られているが、その詳細はよく分かっていません。本研究では、未だ詳細な解析の進んでいない蚊の唾液(未知の機能性物質を多く含む)に着目し、ウイルスの感染増強に関わる蚊の唾液中の機能物質の同定や宿主応答の詳細な解析等を通して、蚊の唾液を標的とした新たな感染症制御戦略の開発を目指します。
大阪大学
産業科学研究所
助教
エピジェネティクスの異常はがんや神経精神疾患など、多くの難治性疾患に関連することから、エピジェネティクス制御を目的とした創薬研究が注目されています。また、近年、エピジェネティクスが関与する疾患には、酵素の触媒活性だけではなく、複合体としての機能が重要であることが示唆されています。本研究では複合体の新規化学的制御分子を開発することで、これまで未解明であった複合体の機能を解き明かすことを目指します。
東京大学
大学院理学系研究科
助教
末梢の臓器から脳に伝わる感覚は、内受容感覚と呼ばれます。近年、心臓の内受容感覚が様々な行動を調節する可能性が指摘されていますが、その機構は不明です。本研究では、私が独自に開発してきた最新の測定技術・操作技術を活用し、心臓の内受容感覚が忌避行動を調節する機構の解明を目指します。
九州大学
大学院工学研究院
助教
体内の免疫機構における分子認識メカニズムには、細胞表面のSiglecと呼ばれる膜タンパク質の集積が関与しています。ナノサイズの高分子によってこのSiglecを自在に集積できれば、細胞の機能を制御する技術となります。そこで本研究ではSiglecと結合する高分子を作製し、その高分子のトポロジー構造 (線形または環状の構造) がSiglecの集積様式および細胞の免疫作用機序に与える影響を明らかにします。
大阪大学
大学院医学系研究科
招へい教員
肺線維化メカニズムの解明には、様々な病因からなる間質性肺炎の空間動態に基づく疾患間の異質性、共通性を含む包括的理解が必要です。本研究は線維化ニッチ細胞集団に注目し、肺線維化予測手法の確立に加え、ヒト精密切断肺スライスを用いた空間的遺伝子発現解析を行い、肺線維症における空間動態及び薬剤摂動メカニズムを解明します。 また、確立した手法を嚢胞性疾患へ展開し、新規分子探索や創薬を目指します。
東京科学大学
総合研究院
助教
多細胞生物の器官発生期は、複雑な過程にも関わらず再現性良く達成されます。これは胚発生のロバストネスと称されますが、この時期の胎生生物の胚は人為的介入が困難であったためその本態は謎のままです。本研究はマウス子宮外胚培養法を用いて、器官形成期の胚に実験的な介入を行うことにより胚発生に不適応な細胞を生み出し、細胞間コミュニケーション通した胚発生のロバストネス維持機構の解明を目指します。
京都大学
大学院医学研究科
助教
ヒトの雌性生殖細胞発生では、胎児期に卵母細胞への分化が進行し、成体での卵子形成の源となる原始卵胞が形成されます。本研究では、ヒト多能性幹細胞を起点として、卵母細胞発生過程を試験管内で再構成することを目指します。この試験管内再構成系は、ヒト生殖細胞の発生メカニズムの解明に加え、生殖細胞関連疾患の病因解明や治療法の開発における重要な研究基盤となることが期待されます。
大阪大学
大学院医学系研究科
招へい教員
神経変性疾患は重篤な神経脱落に至る前に早期発見と予防的治療が必要です。しかし病変の時期や場所に関する情報は限られており、未知の病変が多く残されています。本研究では、透明化イメージングを用いた全脳全細胞解析技術「CWAS」を開発し、単一細胞レベルで神経変性病変の時期や場所を網羅的に特定します。これによって可能となる時空間病変情報と分子オミクスの統合は、超早期の診断・治療の標的分子の特定に貢献します。
名古屋大学
大学院理学研究科
助教
細胞板は植物の細胞質分裂時に形成される細胞内の高次構造体です。細胞板形成は、細胞板成分を含む小胞の集積によって進行することが知られていますが、その分子機構には依然として多くの未解明な点が残されています。本研究では、最近発見された細胞板形成を駆動する分子モーターを手がかりに、細胞生物学的および生化学的アプローチを用いて、細胞板形成の分子機構の解明を目指します。
東京大学
大学院薬学系研究科
助教
転写因子は、遺伝子転写の調節において中心的な役割を果たすタンパク質であり、多様な生命現象に関与しています。転写因子の機能異常はがんなどの様々な疾患に繋がるため、疾患の治療標的となっている一方で、その活性の制御方法は限られています。本研究では、人工触媒による生細胞内化学修飾で転写因子を活性化するという新概念の創成に挑みます。
九州大学
大学院薬学研究院
助教
心機能や心疾患は体内時計(概日リズム)の影響を大きく受けます。本研究では単球(白血球の一種)に発現するGPR68の概日リズムと心機能との関係、そして未だ十分に解明されていないGPR68の活性化機構を、生体イメージングやクライオ電子顕微鏡などを駆使することで解明することを目指します。そして、関連する組織/細胞の機能と遺伝子発現の時空間的情報を体系化することで、心不全病態予測法と治療法開発を試みます。