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- [生命現象と機能性物質] 2023年度採択課題
岡山大学
学術研究院医歯薬学域
特別契約職員助教
ミトコンドリアはエネルギー産生などを担う細胞内小器官で、その異常が様々な疾患に関与することが明らかになってきています。本研究では新しい動物モデルで様々な解析技術を応用して異常ミトコンドリアの全身への広がりとそれに伴う機能的な変化を解明します。本研究を通じてミトコンドリア異常に関する新しい概念を確立し、ミトコンドリア異常が寄与する疾患の理解を深め、新しい治療法の創出を目指します。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
基礎科学特別研究員
細胞外マトリックス(ECM)は、量・組成・沈着パターンを時空間的に変化させ、細胞形質・挙動を制御すると考えられている。しかし、ECMを可視化・計測・操作する手段が乏しく、時空間変動の情報は決定的に欠けている。本研究は、生体内で細胞の挙動とECM分子の動きを可視化すること、ECM組成を時空間的に操作し、細胞の挙動と組織形態を解析することで、ECMが駆動する上皮組織の発生・恒常性のしくみを理解する。
京都大学
大学院薬学研究科
助教
タンパク質リン酸化修飾はその責任酵素であるキナーゼ・ホスファターゼの活性により制御されますが、これらの酵素の触媒反応効率が、「基質の構造状態」にどのように依存するかは未だ明らかになっていません。本研究では、キナーゼ・ホスファターゼ反応の基質構造依存性をプロテオーム規模で明らかにします。本研究を通じて、未知のリン酸化修飾の機能解析のため方法論を提供します。
名古屋大学
大学院工学研究科
大学院生
天然アミノ酸由来の人工核酸L-aTNAはDNAよりも優れた機能を有するため様々な応用が期待されていますが、天然酵素に認識されないため酵素反応による伸張等の操作が困難でした。そこで私はL-aTNAの化学的な鋳型合成法を開発しました。本研究ではこの手法を発展させ、膜内での鋳型合成による人工生命システムの構築や液液相分離を用いた鋳型合成の制御、液晶化によるゲノムサイズのL-aTNA鎖の合成を目指します。
東京大学
大学院情報理工学系研究科
大学院生
ゲノム全体において突然変異率が非一様であることが明らかになっています。しかその全貌の理解のためには、エンハンサー領域のような既存のゲノムの分類よりも高解像で分類可能な説明変数を抽出し、包括的に解析する必要があります。本研究では染色体3D構造といったマクロな視点から、エピゲノムの局所的パターンといったミクロな視点を統合することで変異率に寄与する特徴量を記述し、変異率の非一様性の生成機構に迫ります。
東京大学
定量生命科学研究所
特別研究員
遺伝子発現はエンハンサーと呼ばれるゲノム中の調節領域を介して緻密に制御されています。近年、エンハンサーは複数の遺伝子を同時に制御する「トポロジカル(構造型)オペロン」と呼ばれる未知のゲノム構造化単位を形成することが示唆されています。本研究では、トポロジカルオペロンの形成を介したゲノムの動作原理をライブイメージングベースの手法でハイスループットかつ定量的に解析する新たな計測系の開発を目指します。
東京科学大学
生命理工学院
特任助教
蛍光タンパク質を用いた生体分子イメージングでは、幅広い蛍光スペクトルの重なりが原因で同時観察可能な色数が限られるという課題があります。本研究ではラマンスペクトルの狭帯域性に着目し、蛍光よりも同時多重検出能に優れたラマンイメージング法での観察に適した多色の「ラマンタンパク質」を独自の分子設計によって開発し、多様な生命現象を同時観察する基盤技術の確立を目指します。
熊本大学
生命資源研究・支援センター
特任助教
神経変性疾患では正常な細胞にはみられない凝集体が蓄積することで細胞死を引き起こす。この凝集体はRNAやタンパク質などが相分離して形成される非膜オルガネラであるため、無傷のまま単離することが難しくその構成因子の理解が進んでいない。本研究では微細な細胞内領域に存在するRNAを調べるための技術基盤を構築する。これを用いて疾患モデル細胞の凝集体に内包されるRNAを解き明かし神経変性との関連を明らかにする。
九州大学
生体防御医学研究所
助教
妊娠の場となる子宮や胎盤では、母体の免疫細胞が誤って胎児を攻撃しない仕組みが発達していると考えられます。本研究では、独自に見つけた免疫抑制能を有する生理活性脂質が胎児保護分子として機能する可能性について検証するとともに、この機能性物質を授受する免疫細胞と非免疫細胞を同定し、その関係性を紐解きます。さらに、本物質の制御法を開発し、不妊や不育症の克服につながる新しい治療法の構築を目指します。
九州大学
大学院薬学研究院
助教
神経障害性疼痛は神経系の損傷によって生じる慢性疼痛です。近年私は、脊髄で増加するCD11c陽性ミクログリア細胞がインスリン様成長因子(IGF1)を介して、神経障害性疼痛を緩和することを見出しました。本研究では、遺伝子改変技術・疼痛行動試験・細胞分取技術・遺伝子発現解析を駆使し、IGF1が疼痛を抑制するメカニズムを明らかにすることで、神経障害性疼痛病態のさらなる解明と新規治療戦略の開発に貢献します。
奈良女子大学
研究院自然科学系
准教授
超硫黄分子は、太古の地球から生物を支えてきた生命素子として、その普遍性や重要性の点から近年注目を集めています。本研究では、「超硫黄分子と活性酸素による協調的な転写制御」に注目し、新たなレドックスシグナル伝達機構の解明を目指します。本成果は、レドックス反応に基づいた生命現象の理解に変革をもたらすのみならず、レドックスバランスの破綻が引き起こす様々な疾病の新たな治療法の開発に繋がります。
京都大学
iPS細胞研究所
特定研究員
ヒト胎盤は約10か月の妊娠期間でその一生を終えますが、胎盤の幹細胞としての役割を担う細胞性栄養膜細胞(CT)はその短期間で質・量ともに低下します。近年、胎盤で活性化状態にある内在性レトロウイルスが様々な加齢組織において細胞老化を促すことがわかってきました。そこで、本研究では内在性レトロウイルスに着目し、ヒト胎盤形成過程におけるCTの幹細胞機能低下の分子機構解明を目指します。
東京大学
大学院総合文化研究科
助教
細胞機能の拡張を目指す合成生物学研究は、バイオものづくりや医療応用、さらには細胞の起源に迫る上でも役立ちます。私はこれまで、天然塩基と同じように複製可能な人工塩基を遺伝子DNAに導入することで、非天然タンパク質を発現することに成功しています。本研究では、人工塩基を転写制御DNAに導入することで、精密な遺伝子発現制御法を確立するとともに、人工塩基で制御される人工細胞の作製可能性について探ります。
東京大学
大学院工学系研究科
助教
ラージセリンリコンビナーゼ(LSR)はゲノムに内在する標的DNAへの長鎖DNAのノックイン技術として期待されている。本研究ではLSRホモログの多様な標的DNA認識機構を生化学的・構造生物学的解析によって解明する。これらの結果から、LSRの標的DNA認識機構を理解し、新たなLSR改変体の塩基特異性を設計するための情報を得る。これにより、LSRを用いた遺伝子ノックイン技術の適用範囲の拡張を目指す。
東京大学
大学院工学系研究科
助教
ポリユビキチンは、細胞内タンパク質の分解を媒介する翻訳後修飾です。本研究では、特に分岐型ポリユビキチン鎖に着目し、特定のタンパク質の分解を強力に誘導する酵素非依存的な標的ユビキチン化法を開発します。また、主要な分解経路であるプロテアソーム経路とオートファジー経路のそれぞれに選択的に基質を導く分岐鎖構造を抽出し、細胞や標的に応じて狙った経路で分解することを可能とする分子技術の構築へと繋げます。
東京科学大学
総合研究院
特任准教授
アンジオテンシンII(Ang II)の受容体であるAT1aを発現している細胞は様々な脳領域に存在している。しかし、体液中のAng IIは血液脳関門に阻まれて脳組織に移行できないため、脳内のAT1aに直接作用できない。そのため、脳内で独自に産生される「脳内Ang II」の存在が示唆されているが、詳細は不明である。本研究では、脳内Ang IIの産生機構および生理的役割を解明することを目指している。
東京科学大学
総合研究院
テニュアトラック准教授
好塩基球は、血中を循環する白血球の中に1%ほどしか存在しない希少な免疫細胞です。最近の研究から、好塩基球はアレルギーや寄生虫感染に対する防御に重要であることが明らかになっていますが、好塩基球がどのような経路で分化・成熟してくるのかはほとんどわかっていません。本研究では、高感度1細胞解析技術を駆使することでこの謎に挑み、マウス・ヒトにおける好塩基球の分化・成熟の分子機構を解き明かします。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
研究員
植物の葉緑体ゲノムを改変する形質転換技術は、光合成の強化による作物の増収やCO2利活用型の物質生産系の開発につながります。しかし、既存技術では主要穀物を含む単子葉植物で葉緑体の形質転換が達成できません。そこで本研究では、DNAの細胞間輸送を可能とするペプチド超分子を開発することで、未分化な生殖細胞を標的とするゲノム改変を実現し、単子葉植物の葉緑体形質転換に挑みます。
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
特任助教
近年、RNA分子に化学修飾をほどこすRNA修飾酵素がRNAの成熟制御や遺伝子の発現調節などの機能を持つことが新たに明らかにされてきました。本研究では特に、マイクロRNAという小分子RNAの発現量や機能がRNA修飾酵素によって制御される現象に着目します。構造解析と生化学的解析の手法を用いて、RNA修飾酵素がマイクロRNAをどのように認識し作用するのかを分子・原子レベルで解明することを目指します。