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- [生命現象と機能性物質] 2022年度採択課題
金沢大学
がん進展制御研究所
助教
多細胞生物である私たちの身体は、細胞同士が互いにコミュニケーションを取り合うことにより緻密に制御されています。本研究では、細胞間コミュニケーションにおけるDNAの機能に着目し、「機能性DNAを介した細胞間コミュニケーション」という新たな概念を提案します。さらに機能性DNAを自在に操作することにより、発生段階から疾患に至るまで多細胞生物における様々な生命現象を制御することを目指します。
京都大学
iPS細胞研究所
特定研究員
近年、細胞内の翻訳産物には、標準的翻訳産物と通常の翻訳機構とは異なる生成過程を経る非標準的翻訳産物が存在することが明らかになりました。これら未同定の非標準的翻訳産物はヒトの老化に関わる機能性物質を含んでいると考えられます。そこで、早老症モデルiPS細胞を用いた横断的マルチオミクス解析を行い、老化に関わる非標準的翻訳産物や現象を同定し、その機能を明らかにします。
量子科学技術研究開発機構
量子医科学研究所
研究員
Auger電子はナノスケールで作用する放射線であり、放出する放射性同位元素(RI)を化学修飾して標的薬剤として機能させることで、分子レベルで作用制御された新しい放射線治療が可能となります。本研究では、DNA結合性に優れた白金のAuger電子放出RIをベースとし、がんの異常なゲノム機構に関わる因子を標的とする放射性白金化合物を開発することで、がん細胞の急所を狙い撃つ次世代量子科学技術創成に挑みます。
京都大学
化学研究所
助教
細胞内液-液相分離の形成には天然変性タンパク質が重要な要素であることが知られています。抗体は高い抗原認識能を持つことから、天然変性タンパク質をも自在に制御可能です。しかし、抗体は膜透過性がないことから生細胞で細胞内を標的とすることは困難です。そこで、本研究では、高効率かつ高汎用的な抗体の細胞内導入プラットフォームとしてペプチド-抗体コアセルベートを確立し、細胞液-液相分離の制御を目指します。
広島大学
大学院先進理工系科学研究科
准教授
本研究では、転移がん治療など難治性がん治療への応用が期待されているものの誘導法が確立されていないBNCTによって誘導されるアブスコパル効果の誘導法の確立にナノテクノロジーを用いて挑みます。そこでナノ集合体の大きさ・形態・キラリティを制御能に加えて、タンパク質複合化能をもつカルボラン集合体を用い、免疫チェックポイント阻害剤とホウ素薬剤を腫瘍組織への効率的な送達によりアブスコパル効果の誘導を実現します。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
基礎科学特別研究員
アミノ酸の感知は変化する栄養環境に適応するために欠かせません。本研究では、非必須アミノ酸チロシンの感知により引き起こされる飢餓適応応答のメカニズム解明を目的とします。チロシン感知実体同定のために行う候補核内受容体の機能評価やゲノムワイドスクリーニングに加え、細胞内チロシン動態をモニターできる人工in vivoアプタマー型バイオセンサーの作出により、体内アミノ酸の挙動や機能の明瞭な理解を目指します。
東京大学
大学院新領域創成科学研究科
助教
植物はさまざまな代謝物を生産して外敵から身を守っていますが、線虫感染に対抗してどのような防御物質を生産しているのかは理解が進んでいません。本研究では、線虫抵抗性台木として農業利用されているトルバムという植物を対象に、抗線虫物質とその生合成遺伝子の同定、さらに異種植物への線虫抵抗性の付与に挑みます。本研究の成果は、植物由来の抗線虫物質によるヒトと環境に優しい新たな線虫制御技術の基盤となります。
東京理科大学
先進工学部
助教
脳機能や神経疾患を理解する上では、神経細胞一つの活動だけではなく、脳の多領域間の機能連関を計測する必要があります。本研究では、透明で生体適合性を有するナノ薄膜に加え、補償光学技術、新規細胞標識法を活用し、マウス脳の最前部から最後部までの超広範囲を単一神経細胞の分解能でin vivo光イメージングできる新規手法の開発を行います。最終的に、新規手法を疾患モデルマウスに応用し、病態の解明を目指します。
名古屋大学
大学院医学系研究科
客員研究者
生体内イメージングは現象を可視化するのに優れる一方で、捉えた現象の分子基盤を探索することはできません。私は生体内で時空間的に観察された1細胞レベルでの細胞の形態変化・動態観察から、注目した細胞の網羅的発現データを抽出できる新しい方法論「オプト・オミクス」を核とした解析技術を構築します。イメージングから癌の治療標的をハイスループットに同定することを目標とし、さらに他分野への展開を目指します。
京都大学
iPS細胞研究所
特定助教
マイクロ流体デバイス上に肝細胞および胆管上皮細胞を搭載し、胆汁酸代謝能を有する肝臓チップを開発したのち、マイクロ流体デバイス上に腸管上皮細胞を搭載し、腸内細菌と共生可能な腸管チップを開発します。その後、作製した肝臓および腸管チップを連結した腸肝循環チップを開発することで、腸肝循環の再現を行い、胆汁酸組成の変化等が肝臓および腸管チップの機能に及ぼす影響を明らかにします。
山口大学
大学院医学系研究科
助教
多くのゲノム情報が蓄積され、遺伝子配列の変異や多様性が明らかになりました。細胞膜に局在するタンパク質は、僅かな変異によって局在量が減少若しくは消失し、疾患発症に至る場合があります。この変異による局在量変化を素早く定量する標準手法が求められています。本研究では、膜タンパク質の局在量を定量し、かつ薬剤スクリーニングに応用可能な新たな手法を開発します。
東京大学
大学院医学系研究科
客員研究員
加齢性疾患である糖尿病の治療法の開発は高齢化が進む我が国にとっては喫緊の課題です。本研究では、加齢とともに蓄積する老化膵島細胞に着目し、その特徴を網羅的に解析することで老化に重要な分子や経路を同定します。また老化膵島細胞にリプログラミングを誘導することで、同定した老化特性の若返りを行います。さらにリプログラミングを標的としたスクリーニングにより、糖尿病の革新的な予防・治療薬を探索します。
東京都医学総合研究所
基礎医科学研究分野
研究員
老化は特有の時間パターンで進行します。では、何がこの時間パターンを形作っているのでしょうか?本研究では、ある遺伝子の変化が別の遺伝子変化につながるという連鎖的変化=遺伝子カスケードがその主要な機構であると仮定します。この仮定をもとに、寿命の短い線虫について、生涯にわたり数時間ごとの網羅解析を行うことで、老化時の遺伝子変化の順序を記述し、当該遺伝子カスケードを同定することを目指します。
国立循環器病研究センター
研究所
非常勤研究員
コエンザイムQの別名としても知られるユビキノンは、心不全への治療効果が期待される脂溶性分子ですが、その制御機構は不明な点が多くあります。我々は、機能未知のユビキノン結合タンパク質がユビキノンの機能を抑制的に制御する可能性を見出しています。そこで本研究では、このユビキノン結合タンパク質の機能を初めて解明します。そして将来的に、ユビキノンの機能拡張による新たな心不全治療薬の開発を目指しています。
東京大学
先端科学技術研究センター
助教
光遺伝学は、光によって生命現象を操作する技術であり、神経科学などの基礎生物学分野のみならず近年ではヒトの疾患治療にも応用されています。本研究では、光によって多様な物質を任意の方向へ輸送することができるという高い応用性と拡張性を兼ね備えた革新的光遺伝学ツールセットの開発をめざします。この目標達成のために、私はこれまで自身が培ってきた構造生物学、生化学、分光学などの技術と経験を応用します。
東京大学
大学院医学系研究科
助教
生体内で糖鎖を合成する糖転移酵素の活性は様々な生命現象や疾患を説明する上で非常に重要ですが、それらに対して未だ有用な検出系が確立されていないことは糖鎖生物学における長年の課題です。本研究では、新たな糖転移酵素活性を検出可能な分子プローブを設計・開発することで、疾患に関連するバイオマーカー酵素活性とその阻害剤の探索を試みると共に、ケミカルバイオロジーという観点から糖鎖生物学の理解を目指します。
大阪大学
大学院連合小児発達学研究科
助教
私たちはこれまでリソソームによる新たな細胞内分解経路を発見、「DUMP」と名付け、その機能不全に起因する細胞内タンパク質の蓄積・凝集を伴う進行性疾患などと共に報告してきました。本研究においては、これらに関する予備データを足がかりにDUMPのメカニズムとその細胞内恒常性への寄与の解明、およびその加齢性疾患と老化の予防・治療につながるDUMPを誘導する化合物・方法の探索を目標とします。
東京大学
大学院工学系研究科
助教
抗体は生物が体内で自ら創り出す分子認識素子です。動物免疫を用いれば目的の抗体を取得できることが多く、これまで物理化学的観点で一から抗体が設計されることはありませんでした。一方で、標的に対して特異的に結合する低分子化合物は、物理化学的解析に基づいて設計されます。本研究では、この特異的低分子化合物設計方法から着想し、ハイスループットな物理化学的解析によるデータ駆動型の抗体設計方法の確立を目指します。
京都大学
大学院薬学研究科
助教
私達は毎日睡眠覚醒のサイクルを繰り返し、体内では体温・ホルモン等の概日変動リズムが刻まれていますが、これらは脳の視交叉上核SCNを中枢とした体内時計システムの恩恵です。本研究ではSCNを起点とする神経回路が生理的リズムを形成する機構の解明を目的とします。新規バイオ技術を創成しシナプス接続を捉え、神経のラベル化・人為的操作を可能にします。本研究成果を基に老化に伴う生理的リズム減衰の克服に挑戦します。
静岡県立大学
薬学部
助教
様々な細胞現象において、細胞内構成因子の動態は時空間的に制御されますが、その分子機構には依然として謎が多く残されています。本研究では、1細胞内の「温度」を操作できる機能性物質を創出し、細胞内局所の温度変動により局在が規定されるタンパク質群の同定、及び当該分子群の温度依存的な機能を解析します。本研究を通じて、細胞内温度が制御する生命現象の解明が期待されます。
京都府立医科大学
大学院医学研究科
客員講師
タンパク質を分解して機能を抑制するタンパク質分解誘導薬は、医薬品や基礎生命科学研究ツールとして期待されています。その一つであるPROTACには、医薬応用を目指す上で適切な量を適切な場所へ届ける送達技術が必要となります。また、細胞内に発現するE3に応じて分解活性が変化する課題があります。これらの克服を目指してPROTACをナノ粒子化し、E3の機能を制御できるナノ粒子型PROTACを開発します。