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- [環境とバイオテクノロジー] 2022年度採択課題
兵庫県立大学
大学院工学研究科
助教
微生物群集は様々な代謝機能や動植物への影響を通じて、幅広い産業・環境問題と密接に関連しています。本研究では、微生物群集全体の有益・有害な機能を好適に制御するという目標に向け、個々の微生物が発揮する機能の相互作用に着目した新たな解析手法を提案します。特に、群集中の各構成種が「群集全体の機能にどれだけ寄与するか」を定量的な指標として表現するための実験デバイスと数理モデルの開発に取り組みます。
立命館大学
立命館グローバル・イノベーション研究機構
助教
次世代シーケンサーの普及によって環境微生物学の世界は大きな変革を迎えていますが、我々は日々蓄積する膨大なゲノム情報を真に解読できているのでしょうか。本研究では、終止コドンUGAにコードされる21番目のアミノ酸・セレノシステインを含むため、遺伝子予測が困難であったセレンタンパク質の革新的予測法を開発し、環境微生物のゲノム情報に巧妙に隠された機能性遺伝子の発見と翻訳機構の多様性の解明を目指します。
名古屋大学
高等研究院
特任助教
ナノカーボン材料は、我が国が世界トップレベルにある分野です。しかし、多くの機能性ナノカーボン材料の合成には多大なエネルギーを要し大量の廃棄物を排出します。そのため、低環境負荷かつ高効率生産方法の開発が急務とされています。本研究では、持続的発展が可能な社会の実現に資する技術として注目され開発が活発化しているバイオプロセスに着目し、機能性ナノカーボン材料の高効率生産を指向し生体触媒の創製を目指します。
帯広畜産大学
環境農学研究部門
助教
生物はそれぞれ独自の「環世界」を知覚しています。害虫の環世界を知ることは、その害虫の認識機構を逆手取った防除法開発に繋がります。本研究の目標は、農学分野で甚大な被害を与えている植物寄生性線虫の環世界を知ることです。本線虫だけが持つ感覚ニューロンに着目し、ニューロン破壊試験、遺伝子発現解析・破壊試験によってその機能を解明することで、植物寄生性線虫が感知する独自の環世界の一端を明らかにします。
名古屋大学
シンクロトロン光研究センター
助教
脂肪酸の長さ制御とアルケン生産反応を同時に行う「バイオガソリン生産酵素」をCYP152ファミリー酵素のコンセンサス配列と40%の相同性を示す4700種から選別します。アミノ酸配列クラスタリング、タンパク質構造予測AI、MDシミュレーションを用いて酵素活性を推定します。適切な炭素鎖長まで短縮するとアルケンを生産する酵素を選定し、タンパク質を発現して活性評価します。酵素を用いてバイオ燃料を生産します。
大阪大学
大学院工学研究科
助教
現在の工業的物質生産のニーズに即した酵素の反応適用範囲の拡張は、バイオプロセスの実用化における課題です。本研究では、酵素の反応適用範囲を光エネルギーを利用して拡張することをめざし、光励起による挑戦的なラジカル反応を促進する新規生体触媒を開発します。具体的には、指向性進化法を駆使して酵素を改変することで、α-ケト酸とハロゲン化アルキルの不斉ラジカルカップリング反応を実現する新規生体触媒を創製します。
茨城大学
大学院理工学研究科
助教
氷晶形状制御および低温細胞保護を示す氷結合タンパク質(Ice-Binding Protein: IBP)に着目し、中性子回折実験による構造特異的な分子機構の解明、時分割X線計測による氷晶成長評価、蛍光観察による細胞保護作用のメカニズムを理解し、これら基礎科学知見に基づいた生物丸ごとの保存技術を確立します。
京都大学
大学院生命科学研究科
准教授
バイオテクノロジーを利用した物質生産では、生物が持つ代謝活性を再構成して廉価な材料から希少な化合物を作りだすことができます。効率的な物質生産のためには再構成系の最適化が必要ですが、酵素活性の動的パラメータ最適化はほとんどなされていません。本研究では、高い時間分解で細胞内機能を操作可能な光遺伝学を用いて、細胞内物質生産系の動的パラメータを多段階で最適化できる基盤技術の開発を目的とします。
京都大学
大学院生命科学研究科
特定准教授
腸内細菌とヒトは緊密な共生関係を構築していますが、その共生機構は未だに不明な部分が多く残されています。本研究では、糖タンパク質の糖鎖代謝機構を腸内細菌において解明すると共に、当該代謝が腸内細菌叢およびヒトに及ぼす生理機能を明らかにします。これにより、糖鎖代謝を介した腸内細菌とヒトの新たな共生の概念を提案することを目指します。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
基礎科学特別研究員
二酸化炭素(CO2)は、経済活動や日常生活に伴い大気中へ排出される温室効果ガスの一種であり、地球温暖化への影響を低減するためには、大気中のCO2の総量を削減する必要があります。本研究では、大気や排ガス中に含まれるCO2を積極的に消費して有用な物質を産み出すCO2固定化技術の創出を目指し、バイオ触媒を用いてCO2を固定化するための基盤技術の開発に取り組みます。
山形大学
学術研究院
助教
植物は固着生活を営むため様々な転写制御機構を駆使して環境変動に対処します。高温ストレス時の迅速な転写応答には、RNAポリメラーゼII(PolII)の修飾制御、すなわち転写因子を介さない制御が重要だと考え、その制御機構の解明を目標とします。PolIIの新規イメージングシステムと画像解析法を構築し、PolII脱リン酸化酵素の機能解析と合わせて環境変動におけるPolIIダイナミクスの解明を目指します。
日本大学
生物資源科学部
専任講師
フグ毒(テトロドトキシン)は様々な生物で検出されていますが、中でも毒保有量が多いオオツノヒラムシがその起源解明の手がかりを有すると考えています。無毒の餌で育てたフグは毒化しないことが知られていますが、ヒラムシではどうでしょうか。これを調べるために必要なヒラムシの人工飼育法は未確立です。本研究では、ヒラムシの生活環の鍵ステージである幼生の着生を人工的に誘引すべく、その化学シグナルの特定を目指します。
東京大学
大学院農学生命科学研究科
特任助教
複合微生物群はより小さな機能集団であるサブ群集がネットワークを形成することで機能を発揮するシステムです。そのため、サブ群集がどのようにネットワーク構造を形成し、環境変化に適応してその形を変えるのかを理解することが必要不可欠です。そこで本研究では、層流マイクロ流路を用いることで1細胞レベルの代謝と分子拡散を紐付け、ネットワークを可視化し機能維持機構を解明します。
産業技術総合研究所
生物プロセス研究部門
主任研究員
代謝改変した微生物を用いて代謝物の相互供与関係を設計することで、複数の菌株が共依存的に増殖する人工的な細菌叢を構築することができます。この人工合成細菌叢では、代謝物相互供与に関与する酵素反応に応じて菌叢全体の共増殖速度が変化します。この特性を活用すると「共増殖速度」を指標として高活性な酵素変異体を選抜することができます。本研究では人工合成細菌叢を選択場とした革新的酵素スクリーング技術を開発します。
福井大学
学術研究院基盤部門
准教授
バイオエレクトロニクス用デバイスでは、電極触媒として優れた酵素を用いる必要があります。しかし、通常の酵素活性評価では酵素電気化学反応を行うデバイス用酵素改変のための適確な情報取得が困難です。本研究では酵素電気化学反応に基づくスクリーニング結果から、電極触媒活性等の大量の情報について多変量解析を行い、取得結果を機械学習へ適用することでデバイス用高性能酵素変異体のための新規設計手法を確立します。
神戸大学
先端バイオ工学研究センター
特命助教
光合成生物の環境応答機構では、光合成活性変化による細胞内レドックス変化がレドックス制御タンパク質の酸化還元状態に反映され、下流の酵素活性制御や活性酸素種除去が行われます。細胞内では多くのレドックス制御タンパク質が混在し、このシステムは複雑な制御ネットワークを形成しています。本研究では、網羅的にタンパク質の電位を決定する新規手法を開発し、光合成の代謝調節や酸化ストレス適応の機序解明を行います。
明治大学
農学部
助教
花芽形成(花成)は、農業や品種改良と深い関わりがあります。花成を詳細に理解し、自由自在に制御する方法を確立することは、農作物の安定供給や、迅速に新品種を生み出すことにつながります。本研究では、ケミカルバイオロジーと構造生物学を融合したアプローチで、花成関連タンパク質に作用する有機分子を開発し、花成メカニズムの分子的な理解と、薬剤投与のみで花成を精密に制御する手法の確立を目指します。
京都大学
化学研究所
助教
巨大ウイルスは最大数Mbpにおよぶ巨大なゲノムを持つウイルスです。本研究ではこのウイルスが複雑な生物機能を発現するためのベクターとして有望な素材であると考え、外来遺伝子をどの程度コードできるか、巨大ウイルスのコーディング容量の決定を目指します。また、巨大ウイルスは種々の可動性ゲノム因子と共存しています。本研究では、これらが巨大ウイルスのゲノム改変に有用であると考え、その利用可能性を検討します。
東京工業大学
物質理工学院
特任助教
微生物合成ポリエステルは環境調和型材料として利用でき、これからの持続可能な社会の実現に向けて有益な材料です。しかしながら長年かけ洗練されてきた化石資源由来材料と比べると、コスト面や物性面で課題があります。本研究では、特定の末端構造を有する低分子量な微生物合成ポリエステルの生産を実現させ、それを用いた材料物性の向上とコスト低減を目指します。
海洋研究開発機構
海洋機能利用部門
研究員
ゲノム上のDNA化学修飾(エピゲノム)は、真核生物と同様に、バクテリアやアーキア、ウイルスでも広くおきており、生理学的に重要な役割を担っています。しかし、今日までの研究例は分離培養可能な生物種の一部に偏在しており、その多様性や分布、進化・生態への影響など、様々な事が未解明です。本研究では非培養的な「メタエピゲノム」解析手法を用いて、高温環境の微生物叢が持つDNA化学修飾の包括的解明を目指します。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
基礎科学特別研究員
脱炭素社会の実現にはCO2を回収して利用する技術や、化石資源由来の化学品を再生可能資源から生産する技術が不可欠です。本研究ではCO2から合成可能な低分子化合物を原料に、産業上重要な化合物であるスチレンを微生物発酵によって高収率で生産する技術を開発します。代謝系を分断する独自技術や、炭素固定反応をモジュール化する独創的な戦略を用いることで、通常では不可能な超高収率でのスチレン生産を目指します。
東北大学
大学院生命科学研究科
助教
本研究では、バイオインフォマテクィスおよび進化解析により甲虫由来の虫こぶ誘導因子を絞り込みます。さらに、植物の維管束分化誘導系を用いることで昆虫から絞り込んだ因子に対する植物組織の応答を細胞レベルで可視化し、虫こぶ誘導因子による植物組織改変の分子機構の解明を目指します。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教
雨がもたらす高湿度は、植物病原細菌による葉の病害を助長します。高湿度において、葉内の病原細菌は細胞間隙に水を蓄えることで増殖を促進します(水浸漬)。一方で、植物は高湿度に応じて水浸漬の発生を防ぐことが分かってきました。本研究では、植物が高湿度に応答する仕組みを紐解き、高湿度における植物と病原細菌の攻防を分子レベルで解明することで、高湿度に適応した病害防除の創出に向けた基盤構築を目指します。
北海道大学
大学院薬学研究院
助教
微生物は環境に応じて二次代謝生産を制御することから、二次代謝産物は微生物の生命活動に重要な役割を果たすとされていますが、その詳細は未解明です。本研究は菌間コミュニケーション媒体である細胞外膜小胞(MVs)を利用して細菌間相互作用に関わる二次代謝産物を取得します。さらにMVsと二次代謝産物を介した細菌間相互作用様式を解明します。本研究成果は化合物やMVsを活用した細菌叢制御技術の開発に貢献します。