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- [環境とバイオテクノロジー] 2021年度採択課題
理化学研究所
環境資源科学研究センター
基礎科学特別研究員
植物寄生性線虫であるシストセンチュウは世界中の農業に甚大な被害を与えています。シストセンチュウは宿主となる植物の根から分泌される孵化促進物質を特異的に認識して孵化します。シストセンチュウの防除には孵化促進物質を起点とした方策が有効であると考えられます。本研究は、これまで全くの不明であった孵化促進物質生合成系の解明を目的とし、さらに得られた知見を応用した新奇シストセンチュウ防除法の開発を目指します。
名古屋大学
大学院工学研究科
助教
薬剤耐性をもつ細菌やウイルスのモニタリングには、遺伝子型を高速に判別可能なDNA分析法が必要です。従来の分析法は、分析に多数のDNA断片が必須であり、増幅工程が高速化のボトルネックでした。そこで本研究では、高い分析精度を確保したまま、DNA1分子での分析を実現可能なプラズモニックナノ流路を用いたDNA分析法を実現することで、増幅工程を不要とし、分析の飛躍的な高速化を目指します。
東京大学
大学院農学生命科学研究科
助教
自然界には多様な脂肪族化合物が存在し、その疎水性から様々な生物の生体膜に作用していると考えられますが、生体膜全体への影響は体系的には理解されていません。本研究では、真核微生物を対象として、細胞外脂肪族化合物が生体膜組成に与える影響を定量的に捉えるとともに、細胞機能がどのように変化するのかを解析します。本研究を通して、生体膜物性変化を生み出す脂肪族化合物を利用した微生物機能探索の基盤を創出します。
大阪大学
大学院基礎工学研究科
助教
生命機能を活用するバイオテクノロジーの発展には、機能発現に関連性の深い分子の化学構造情報を1分子レベルで分析することが必要不可欠です。本研究は、単一分子の分子振動変化を網羅的に計測するハイブリッドナノ振動分光法を創出し、生体1分子の化学構造変化や分子振動の協奏性、生体分子間の相互作用が機能に及ぼす影響を明らかにすることを目指します。
東京海洋大学
学術研究院
准教授
養殖が盛んなクルマエビ類ですが、どのように免疫機能が制御されているか不明な点が多く残されています。そこで本研究では、病原体感染時のクルマエビ宿主の免疫細胞および血リンパ中細菌叢の変動および相互作用を解析することで、どのようにしてエビが病原菌に打ち勝つかを明らかにします。本研究は、新規免疫賦活剤のスクリーニング手法確立につながり、抗生物質を使わない環境にやさしい養殖技術に貢献できます。
情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所
助教
構造色とは、微細な構造によって光が干渉し発色する現象です(例:CDの虹色発色)。構造色は植物の花弁にも存在し、昆虫への視覚的影響を利用することで、着果剤や農薬が不要となる農作物の作出が可能です。また、植物の構造色発色は細胞壁の凹凸構造に由来するため、人体に無害な多彩色素材を提案できます。本研究では、農業・産業への新技術開発を目的とした、花の構造色を呈する微細構造の形成機構解明を行います。
信州大学
学術研究院理工学域
助教
植物細胞内でオルガネラは密接なコミュニケーションを取ることで、様々な環境刺激に対して適切に応答します。本研究ではオルガネラ同士の直接のコミュニケーションである物理的接着に注目し、プロテオミクスをベースとした手法を用いてオルガネラ間の接着を制御する分子メカニズムを解明します。本研究は環境変動に適応した作物の創出に貢献します。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
客員研究員
植物は、周囲の環境に応じて器官や個体の「成長」をコントロールしています。本研究では土壌栄養素に対して明確な応答を示すシロイヌナズナの「根毛」をモデルとして、遺伝子制御ネットワークの観点から植物が外部環境に対して柔軟に応答する仕組みを明らかにします。そして植物の成長を自由自在にコントロールする技術の確立を目指します。
大阪大学
大学院情報科学研究科
助教
酵母を用いた有用物質生産においては、実績の高い出芽酵母S. cerevisiaeに加え、新しい機能を持った別の酵母の利用も期待されています。本研究は主にハエの体内から単離された野生酵母における特性の評価を行い、さらに水平伝搬や交配といった進化工学を用いることにより酵母の改変を試みます。持続可能な社会の実現に向け、未知の野生酵母の情報を集約し、そこから有用な代謝物や遺伝子を見出すことを目指します。
摂南大学
農学部
講師
予備実験の結果から、フィチン酸は植物のmRNAの核外輸送活性を負に制御し、トランスクリプトームを変化させることが示唆されました。そこで本研究では、イネを用いてフィチン酸がmRNAの核外輸送活性に与える影響を定量的に評価し、フィチン酸依存的なmRNA核外輸送のフィードバック制御を受ける遺伝子群の共通配列構造、及び当該フィードバック制御を担う分子的実体を解明します。
東京大学
大気海洋研究所
准教授
海の砂漠と称される温暖で貧栄養な海域では、藻類を細胞内に共生させる「光共生」を行う生物が、微小な光合成のホットスポットを形成しています。しかし、光共生を司るメカニズムは未解明です。本研究では、浮遊性有孔虫という単細胞プランクトンを対象に、光共生関連遺伝子の特定に挑戦します。これにより、光共生の分子基盤の解明と、海洋物質循環における光共生の寄与を評価できるようなマーカー遺伝子の特定を目指します。
富山県立大学
工学部
講師
Cryo-EMなどの革新的技術の発展に伴い特に翻訳研究領域において、時代に埋もれていた先人たちの研究成果を再評価する機運が高まってきています。申請者は最近、微生物における新規翻訳品質管理機構(RQC)の存在を明らかとしました。そこで本研究では、過去の知見を生かしながら、その品質管理機構の全貌の理解と、その解析の過程で明らかとなってきた微生物翻訳装置に内在する新規環境応答機構の解明を目指します。
高知大学
医学部
特任助教
水圏には膨大な数のウイルスが存在することがシーケンス解析により明らかにされていますが、感染性ウイルス粒子としての単離・培養例は限られています。この理由として、ウイルスがカプシド損傷により感染性を失っている可能性が考えられます。本研究では、環境ウイルス由来ゲノムを宿主候補細胞へ人為導入することで、損傷ウイルスを含む多様なウイルスを感染性粒子として得るための技術(ウイルスサルベージ技術)を開発します。
静岡大学
農学部
准教授
地球温暖化が進む現在、高温ストレスによる発芽阻害は作物生産性を左右する深刻な問題となっています。近年、カリキン結合タンパク質であるKAI2が高温下における発芽制御に関与することが示唆されていますが、KAI2の植物内生リガンドは未同定のままです。本研究では、発芽阻害物質に着目してKAI2を不活性化する内生リガンドを同定し、高温ストレスによる発芽阻害メカニズムを統合的に理解することを目指します。
秋田県立大学
生物資源科学部
助教
あらゆる動植物において、宿主生物が本来持たない重要機能を共生微生物が担っていることがわかっています。将来、共生微生物を介して、任意の宿主生物に有用機能を自在に付与することが可能となれば、様々な環境問題の解決に貢献できるはずです。その実現を目指し本研究では、昆虫の必須共生細菌としても機能する植物共生細菌を対象に、この細菌が異なる宿主生物体内に適応することを可能としている分子基盤を解明します。
物質・材料研究機構
高分子・バイオ材料研究センター
主任研究員
シロアリはセルロースを餌とし、木造建築物を侵食する害虫として知られていますが、床下や木材の内部で活動するため、検出には困難が伴います。本研究では、シロアリ特有の腸内セルロース分解菌に着目し、環境中から高速セルロース分解菌を特異的に検出する電気化学バイオセンサーを開発します。さらに、謎の多いシロアリ腸内細菌の生理代謝を電気化学的観点から解明します。
ノボザイムズジャパン(株)
研究開発部門
Department Manager
産業用酵素は、多様な産業で加工助剤として利用され、生産効率の改善などを実現してきた優れた触媒です。これらのほとんどは微生物による発酵生産で製造されますが、工業生産に適う微生物宿主が少ないため、生産できる酵素の多様性も限られます。本研究では、天然から発見されていない「酸性条件で酵素を高生産する細菌宿主」を人工進化実験により開発し、生産基盤として活用することで、新規酵素群の社会実装を目指します。
名古屋大学
高等研究院
特任助教
地球温暖化による海水温の変化は、魚類を含む変温性の外温動物から構成される海洋生態系に深刻な影響を及ぼしています。しかし、外温動物における温度適応機構は明らかとなっていません。本研究では温帯地域に生息するメダカが持つ柔軟性や頑健性に優れた季節温度適応能の分子基盤の解明を通じて、海洋生態系の保全や、水産業における気候変動への対策技術や適応技術の開発へとつながる基礎的知見を得ることを目指します。
東京農業大学
生命科学部
助教
遺伝子パーツ開発のブレッドボードとして利用されている無細胞タンパク質合成系では、非モデル生物の利用のために、非モデル生物由来の無細胞タンパク質合成系が開発されはじめています。課題は系のバッファー最適化で、本研究では大腸菌のバッファーを最適化する機械学習モデルを転移学習に利用し、他の非モデル生物由来の無細胞タンパク質合成系を効率よく開発する手法を構築します。
海洋研究開発機構
海洋機能利用部門
研究員
微生物は地球上の様々な環境に対して、どのように適応し、進化してきたのでしょうか。本研究では、大規模メタゲノムデータを用いて環境横断的メタ解析を行うための情報学的手法を確立し、「遺伝子分布の環境特性」に関する網羅的な情報基盤を構築します。この知識リソースを活用して、微生物が持つ環境適応因子の全体像を解明するとともに、膨大な数の機能未知遺伝子から有用な遺伝子資源を探索するなどの応用研究に取り組みます。
筑波大学
生命環境系
助教
世界中で食糧増産をもたらした「緑の革命」植物は、背丈が低く倒れにくいという有用形質を示す一方、窒素吸収能が低下し膨大な肥料を要求するという欠点を持ち合わせています。 本研究では、欠点を克服した次なる「緑の革命」植物の創出への可能性を秘める転写中核因子に着目し、その分子機能を原子分解能レベルで解明します。そして、得られた構造情報に基づき、次なる「緑の革命」に資する転写因子の機能改変体をデザインします。
広島大学
大学院統合生命科学研究科
助教
数種の植物病原細菌はホウ酸を感知し集積しますが、この行動の意義は明らかになっていません。本研究では、「植物の傷口からホウ酸が漏出し、それが病原菌にとって感染時の侵入口の目印となる」という仮説を立て、その証明を試みます。病原菌側における感染時のホウ酸集積行動の役割を解析するとともに、植物側におけるホウ酸漏出の可能性を検証することで、植物病原菌におけるホウ酸を介した感染機構の解明を目指します。
明治大学
農学部
専任講師
乳児期から離乳期にかけてどのような腸内細菌叢が形成されるかがその後の健康に影響すると言われています。母乳オリゴ糖は乳児の腸内にビフィズス菌を増殖させる機能が知られていますが、最近、酪酸生成菌も増殖させることがわかってきました。そこで13Cラベル母乳オリゴ糖を用いてビフィズス菌を中心とした腸内細菌の種間関係を明らかにすることで母乳オリゴ糖の機能性をより正しく理解することを目指します。
東北大学
大学院工学研究科
助教
細胞内で生じる代謝は、連続する代謝酵素の複合体(メタボロン)の形成により時空間的に制御されていることが考えられています。本研究では、フラボノイド代謝酵素群に着目してメタボロン形成動態の解析を行い、タンパク質間相互作用を介した代謝酵素の特異性制御機構および基質チャネリングによる代謝効率化メカニズムを明らかにし、より環境負荷の小さい物質生産への応用を目指します。