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- [環境とバイオテクノロジー] 2020年度採択課題
名古屋大学
大学院生命農学研究科
助教
植物の花序形態は作物生産性を左右する最重要の因子ですが、環境ストレス下における花序形態可塑性のメカニズムは未解明のままです。本研究では野生イネ遺伝資源を用いて、分子遺伝学的手法により、花序形態多様性およびストレスに応答して変化する花序形態の分子基盤解明に挑戦します。多様な花序形態の環境応答機構を理解し、その制御方法を提案することによって食糧安定確保を実現する環境適応型植物の設計に貢献します。
大阪大学
大学院情報科学研究科
准教授
持続可能な社会の実現に向け、未利用微生物から有用代謝物やその産生酵素遺伝子を見出し、自在に活用するニーズが高まっています。そこで本研究では、ノンターゲットメタボロームデータと全ゲノムデータを有機的に統合解析することで、微生物の未同定化合物の構造や未知遺伝子の機能情報を推定する情報解析プラットフォームの構築に取り組みます。
呉工業高等専門学校
環境都市工学分野
准教授
環境中の微生物のほとんどは様々な理由から分離株化することが出来ません。分離を阻む因子は数多くありますが、一つ確からしいのはそもそも人類は未だ「環境中から狙った菌を釣り上げる」ことが出来ていないということです。本研究では近年大きく注目されているゲノム編集を技術基盤に、遺伝子標的型の任意微生物分離(i.e 狙った菌を釣り上げる技術)という、新しい環境微生物分離スキームの確立を目指します。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
研究員
植物病害糸状菌は植物免疫を打破する病原性因子を駆使することで感染を成立させます。しかしながら病原性因子の冗長性のため、従来の手法では病原性因子の同定が困難でした。本研究では植物-病原糸状菌双方で多重変異体が作成可能な新たに開発した実験系を用いて病原性因子とその植物における標的因子を同定します。本研究で得られる知見は作物の耐病性育種や低環境負荷の農薬開発に貢献します。
岡山大学
異分野基礎科学研究所
特任助教
穀物は土壌中のケイ素を取り込むことで虫害や強風、土壌のミネラル異常等の様々な環境ストレスに対して耐性を獲得しています。それゆえ、ケイ素取り込みを担うケイ酸輸送体の機能は穀物の収量に直結しますが、その輸送機構はほとんど分かっていません。本研究では穀物のケイ酸輸送体の構造を原子レベルで明らかにします。得られた構造情報に基づいて変異体の機能解析を行い、ケイ酸輸送体のケイ酸輸送機構を解明します。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
研究員
生物の細胞は培養環境に応じて性質を変えますが、その振る舞いは複雑かつ動的で、予測や制御は困難です。本研究では全自動培養実験システムに、私が開発を進める細胞状態と培養条件の間のフィードバック学習制御系としての機能を付与します。これを用いて細菌・酵母の実験進化による遺伝型制御や、酵母および動植物細胞の動的な表現型制御を実現し、次世代の基盤バイオテクノロジーの創出を目指します。
東京大学
大学院総合文化研究科
助教
多種多様な遊離脂肪酸分子種をシアノバクテリアに添加して、光阻害に対する影響を解析し、遊離脂肪酸による光阻害への影響について理論モデル化を行います。さらに、光阻害の過程における修復及び損傷の解析、脂質修飾タンパク質の網羅的な解析から遊離脂肪酸の光阻害への作用点を分子レベルで明らかにし、理論モデルと分子メカニズムを組み合わせることで、光合成を制御するための新規遊離脂肪酸の分子デザインを行います。
神戸大学
大学院工学研究科
特命准教授
生命科学において高感度に分析対象を検出する技術は必要不可欠です。本研究では人工高分子をベースに分析対象を捕捉する分子認識素子とその結合事象を可視化するためのレポーター分子を部位特異的に高密度集積したナノ界面を創製する技術を開発し、これを用いて超高感度にウイルスを検出するシステムの実現を目指します。
東京大学
大気海洋研究所
助教
サンゴ礁は全海洋生物の約25%を育む、極めて重要な生態系です。 近年、サンゴの白化現象により世界中のサンゴ礁が崩壊する甚大な被害が報告されています。本研究では微生物の力により生態系を保全する「エコプロバイオティクス」の概念を提唱し、ヒトを対象に展開されてきたプロバイオティクスの概念や細菌叢操作・分析技術をサンゴ研究へ拡張することで、世界のサンゴ礁保全をリードする革新的な育種法の創出を目指します。
農業・食品産業技術総合研究機構
作物研究部門
研究員
他殖性作物である普通ソバをモデルとして植物の近交弱勢に関わる評価手法の確立と分子遺伝学的機構の解明に挑戦します。本研究では兄弟交配により近交係数を高めたソバ系統群に対して、画像解析による弱勢形質評価手法の開発・弱勢形質関連伝子座の特定・メチローム/トランスクリプトームによる弱勢機構の探索を行います。本研究の成果は近交弱勢を未然に回避した新たな環境適応型作物の創出に貢献し得ると考えています。
理化学研究所
環境資源科学研究センター
上級研究員
宿主生物によって同一反応を触媒する酵素の遺伝的背景や動力学的パラメータが異なることがあるのはなぜでしょうか?本研究は、動力学的パラメータのひとつで酵素と基質の親和性を示すKm値に注目し、触媒化学の性能評価手法を用い本問いに答えることを目指します。さらに得られた知見を応用して、有用物質生産系に適した酵素を設計するための指針を与えることを目指します。
大阪大学
大学院情報科学研究科
助教
細胞をミクロな生産工場と捉え、代謝経路を改変することで、バイオ燃料や医薬品等の様々な有用物質を環境低負荷に生産できます。しかし、細胞は数千種類のタンパク質が複雑に連携したシステムであるため、代謝経路設計は現在でも困難な課題の一つです。本研究では、タンパク質工学と情報科学の側面から代謝経路設計にアプローチすることで、細胞内の代謝状態を体系的かつ精密に捉え、合理的な経路設計手法の確立を目指します。
産業技術総合研究所
生物プロセス研究部門
産総研特別研究員
環境調和型の植物病害防除法の確立は、持続可能な農業生産の実現にとって重要課題の1つです。本研究では、土壌伝染性植物病害の発生様式に着目して案出した、土壌微生物叢の制御を基盤とする新規の環境調和型植物病害防除技術の開発に繋がる研究に取り組みます。特に本防除技術の開発に必要な、微生物機能を活用した土壌微生物叢人工制御に関する基礎的知見を得ることを目指します。
産業技術総合研究所
産総研・早大 生体システムビッグデータ解析オープンイノベーションラボラトリ
研究員
本研究では微小液滴作製技術を応用し、ウイルス1粒子ゲノム情報の網羅的な獲得を可能にする技術の開発を目指します。水圏環境中のウイルス粒子の高精度ゲノム情報をハイスループットに取得することで、未知ウイルスを含めたゲノムデータベースの拡充を行います。さらに、宿主となる細菌のゲノム情報を合わせて取得・解析することにより、「どのウイルスが」「どの細菌に」「どの程度の頻度で」感染しているのかを明らかにします。
東京大学
大学院農学生命科学研究科
助教
モデル糸状菌Aspergillus fumigatusに、菌類ウイルス、あるいはウイルスの遺伝情報を導入し、二次代謝を活性化する因子を探索します。次に、当該因子を他種糸状菌に導入し、産生が誘導された化合物の中から新規有用物質を探索します。また、有用物質の工業生産菌に二次代謝活性化因子を導入することで、物質生産量の向上が可能であるか検討します。
東京工業大学
科学技術創成研究院
助教
酸素発生型光合成バクテリアである藍藻には、硫酸多糖が特異的に存在します。私はあるモデル藍藻種の硫酸多糖依存性バイオフィルム形成と硫酸多糖合成・制御系を明らかにしました。そして、環境中の多様な藍藻バイオフィルムの形成や機能に硫酸多糖が重要な役割を果たすと考えました。そこで本研究では、非モデル種を含む複数の硫酸多糖蓄積藍藻種を対象として形質転換系や機能解析手法を確立することで、その解明を目指します。
金沢大学
理工研究域
助教
バイオテクノロジー分野において、生物の構造や機能を分子レベルで理解し、新規生体機能の発現や応用技術の拡大に繋げるためには、「生体試料を液中環境下で可視化する分子スケール解析技術の開発」が必要不可欠です。この課題を実現するために、本研究では、先端径0.4 nmの探針を備えた超解像液中原子間力顕微鏡を開発し、液中かつ非染色で生体試料の表面と内部をサブナノスケール分解能で観察できる計測手法を確立します。
量子科学技術研究開発機構
量子技術基盤研究部門
主任研究員
植物体内の炭素栄養の輸送(転流)を自在に操り、可食部へ集中的に転流させることで、作物栽培への投入エネルギーを収穫物として余すことなく回収する究極の栽培技術を確立したいと考えています。その礎となる知見を得るため本研究では、植物体内の栄養元素の動きを可視化できるポジトロンイメージング技術を駆使し、特定の組織・器官で発現した遺伝子群がどのように機能し植物全身の転流を調節するのか全体像の解明に挑戦します。
情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 特任研究員
野生植物の種子は休眠が深く、多様な微生物が存在する土壌中で腐敗せず長期間生存できますが、その仕組みは分かっていません。本研究では、野生イネをモデルとして、種子への微生物の侵入・感染の抑制に関わる遺伝的要因および植物分子を明らかにします。これにより、野生植物遺伝資源の潜在能力を活かした作物種子の品質向上や長期保存など、持続可能かつ安定した作物生産の基盤技術開発に関する知見を得ることを目指します。
京都大学
高等研究院
特定助教
我々は植物が生合成する様々な小分子を医農薬や化学合成の原材料として利活用しています。そのため、植物の複雑な生合成システムを自在にコントロールすることができれば、我々の持続的生産社会を支える革新的な技術となると考えられます。本研究では、合成分子を用いた細胞内夾雑系でのタンパク質の多量化技術を確立することで、生合成制御法の開発を目指します。
名古屋大学
大学院工学研究科
助教
プラスチックやゴムなどの高分子材料はひとたび環境中に排出されると長期間にわたり残存するため、適切に処理する方法が求められています。近年、生体触媒(酵素)による分解が注目されていますが、分解速度が著しく遅いという問題があります。本研究では、基質に対する親和性を酵素に付与するとともに、酵素の複合体化を行うことで固相基質である高分子材料の表面近傍に酵素を濃縮し、分解速度の飛躍的向上を目指します。
東京大学
大学院農学生命科学研究科
助教
世界の農業に甚大な被害を与えている根寄生雑草は、宿主植物の根から分泌されるストリゴラクトン(SL)を感知して発芽します。SL構造は多岐にわたり、構造の違いにより根寄生雑草種ごとの発芽誘導活性は異なります。本研究では、SL生合成機構の解明を通じて、作物が本来生産するSLを、その作物に寄生する根寄生雑草に対して低い発芽誘導活性を示すSLへ改変することで、根寄生雑草抵抗性作物の創成を目指します。