[AI活用学問革新創成] 2020年度採択課題

石塚 師也

AIで拓く地球資源の分布と性状の解析

研究者
石塚 師也

京都大学
大学院工学研究科
講師

研究概要

地下の状態や物性の不確実性は地下資源開発のリスクと言えます。本研究では、持続的な地球エネルギー資源の開発のために、AIを用いて、地下の温度等の状態分布や浸透率等の物性を推定する手法の開発および、岩石物性の発現メカニズムを解明する手法の開発を目指します。AIに物理法則を組み入れることによって、従来手法よりも信頼される予測を可能とするとともに、AIによる岩石材料物性の理解に寄与します。

上原 一将

深層学習を用いたヒト間協調技能を支える脳情報特徴量抽出とその応用

研究者
上原 一将

豊橋技術科学大学
情報・知能工学系
准教授

研究概要

複数人同時脳機能計測と深層学習を解析に組み込むことで(1)協調技能のエキスパートからヒト間協調技能に寄与する脳情報特徴量抽出し、その脳内神経基盤を理解します。(2)協調技能のエキスパートから抽出した脳情報特徴量を利用して協調技能学習者の脳状態を協調技能エキスパートの脳活動に近似させ、効率的に協調技能を学習することを実現するニューロフィードバック搭載型協調技学習支援システムの開発に挑戦します。

大上 雅史

タンパク質を制御するペプチドのデザインAI

研究者
大上 雅史

東京工業大学
情報理工学院
准教授

研究概要

薬の研究開発プロセスは年々複雑化しており、標的タンパク質は高難度のものしか残されていません。本研究では、高難度標的であるタンパク質間相互作用 (PPI) に焦点を当て、PPIを阻害できるペプチド分子をデザインするAI手法を開発します。特にこれまで注目されていなかった界面構造の情報を利用したAIを開発することで、適切なペプチド配列を提示することを目的とします。

Clanuwat Tarin

資料調査のためのオンデバイスくずし字認識

研究者
Clanuwat Tarin

情報・システム研究機構
データサイエンス共同利用基盤施設
特任助教

研究概要

くずし字は日本で千年以上も使われてきましたが、現在くずし字がきちんと読める人は数千人程度ともいわれ、大量に残された歴史的資料に比べて読める人が少ないという問題があります。この問題を解決するために、研究代表者はオンデバイス機械学習の手法を研究し、手持ちの資料を簡単に調査できるくずし字認識スマホアプリを開発します。このアプリは最終的にGooglePlayとAppStoreで無料アプリとして公開します。

河原塚 健人

情報化身体の学習理論に基づく成長ロボットの革新と創成

研究者
河原塚 健人

東京大学
大学院情報理工学系研究科
特任助教

研究概要

ロボットに備わる身体感覚間の因果的・空間的関係性を表現する情報化身体モデルの学習理論とその応用技術を開発し、経験から内部システム・身体構造が形成・成長していく新しいロボットへの革新と創成を行います。人間が直接記述することなく、経験から制御器・認識器等を自己生成、逐次的に更新・適応していき、適切な身体感覚の削除や追加、道具や環境による身体の拘束と拡張等を自立的に行うことを目指します。

北園 淳

統合情報理論の劣モジュラ性に基づく拡張とその神経科学への応用

研究者
北園 淳

東京大学
大学院総合文化研究科
特任研究員

研究概要

「意識」に関する仮説である統合情報理論では、我々の主観的な意識は、神経細胞間の情報の統合が最も強い、神経ネットワークのコアにおいて生じるとしています。本研究では、このコアの概念を劣モジュラ性と呼ばれる数理的な性質に基づき一般化します。その一般化したコアを用いて神経データを解析し、意識の生まれる場所の解明に挑みます。また一般化したコアを、対象を意識に限らず広く神経ネットワーク解析に応用します。

草場 彰

次世代半導体開発におけるプロセス設計の革新

研究者
草場 彰

九州大学
応用力学研究所
助教

研究概要

次世代半導体の開発期間を短縮するためには、プロセス条件から結晶品質を定量的に予測する必要があります。しかし、気相・表面・固相における各物理モデルを演繹的に統合したマルチスケールシミュレーションでは、目的変数のオーダーや変化方向を予測するに留まるのが現状です。本研究では、物理モデルを最新の計測データにより修正、さらに各物理モデルを帰納的に統合することで定量的な予測を実現し、プロセス設計を革新します。

沓澤 京

Shared synergyを利用した高い汎化能力をもたらす模倣学習

研究者
沓澤 京

東北大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

人間の教示動作をロボットに学習させる模倣学習は人間がおこなう作業の自動化に有用であると期待されます、新規な環境に対しては動作を教示しなおす必要があります。本研究では人間の動作生成の神経的基盤である筋シナジーを利用した模倣学習システムの実現を目指します。人間は環境が変化しても共通の筋シナジーを再利用して動作生成するという知見を利用して、人間の汎化能力を再現するシステムの実現を目指します。

黒木 菜保子

時空精細化AIで挑む化学反応場の量子化学

研究者
黒木 菜保子

中央大学
理工学部
助教

研究概要

環境負荷の小さな化学反応の開発は、持続可能な社会の実現に必須です。化学反応を理論的に制御するには、「溶質の電子状態変化」に加え、時間スケールがオーダー単位で異なる「溶媒の再配向」も包括的に追跡した「反応場の自在設計」を実現する必要があります。本 ACT-X 研究では、物理化学と情報科学技術の融合により、化学反応制御の隠れた主役を担う溶媒効果(反応時空間)を詳細に解析する新技術を開発します。

黒宮 寛之

教育のエビデンス ・エコシステムの構築

研究者
黒宮 寛之

京都大学
大学院情報学研究科
大学院生

研究概要

本研究では学習ビッグデータを活用して、エビデンスの「つくる」「つたえる」「つかう」を系統的に支援する学習分析基盤システム「エビデンス・エコシステム」を構築することを目的とします。このシステムでは人工知能によって学習ログから自動的にエビデンスを抽出・分類し、それらを適切なタイミングで推薦する予定です。また同時に現場での活用に向けた、人工知能およびエビデンスに基づく教育のニーズの掘り起こしも行います。

小嶋 泰弘

移流拡散過程に基づく環境依存的細胞状態ダイナミクスの推定

研究者
小嶋 泰弘

国立がん研究センター
研究所
ユニット長

研究概要

本研究は、細胞状態の環境依存的なダイナミクスをKolmogorov方程式により記述することで、空間トランスクリプトームと細胞動態をつなぐ確率モデルを構築し、効率的に最適化を行うアルゴリズムの構築を目標とします。これにより、環境依存的な細胞状態の平均的な変動とゆらぎをデータ駆動的に捉え、その分子機構の推定を行います。さらに、生体組織全体の運命決定に対するミクロな細胞状態の遷移の貢献を明らかにします。

小林 加代子

木材マルチスケール構造の網羅的解析による物性予測

研究者
小林 加代子

京都大学
大学院農学研究科
助教

研究概要

木材科学における横断的な情報学活用の先駆けとなることを目指し、AIを用いた木材の物性予測に取り組みます。木材は複雑なマルチスケール構造を有するため、物性との相関については未だ明らかになっていない点が多くあります。本研究では木材の構造データを網羅的に取得し、そこから物性を予測するモデルを機械学習により構築します。さらに得られた予測モデルから物性を決定する構造的な要因を特定することを目指します。

齋藤 勇士

データ駆動型スパースセンシングによる航空宇宙開発の飛躍

研究者
齋藤 勇士

東北大学
学際科学フロンティア研究所
助教

研究概要

構造質量の限界を極める航空宇宙機において、センサの数、位置、精度には制約があり、限られたセンサに基づき高精度な燃焼場・流体場を再構成すること、および、不具合事象を瞬時に事前検知することは困難です。本研究ではデータ駆動型スパースセンシングを開発および航空宇宙分野への展開によって、複雑場の高速・高精度な再構成と不具合事象の事前検知を実現し、航空宇宙機の信頼性向上を目指します。

清水 悠生

機械学習を用いた磁石同期モータの構造最適化

研究者
清水 悠生

立命館大学
理工学部
助教

研究概要

私たちの周りには電気で動く様々な製品が存在し、その動力源には電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電動モータが用いられています。このモータの形状と性能の間には強い非線形性が存在し、設計時には実験や解析を何度も繰り返す必要があるため、開発期間の長期化が問題となっています。本研究では、電磁界解析技術と深層生成モデルを組み合わせることで、モータの最適設計期間の短縮を目指します。

田中 貴

解釈可能なAIによる土壌・作物系モデルの開発

研究者
田中 貴

岐阜大学
応用生物科学部
准教授

研究概要

農家圃場において土壌特性の時空間変動を推定する技術を開発し、その推定値を予測因子とする深層学習を用いて作物の収量予測モデルを構築します。次に、深層学習の学習済みモデルに、仮説の範囲内で環境因子が作物収量に及ぼす影響をシミュレートすることで、モデルの構造を可視化します。そこで得られた新たな知見を、既存の作物モデルに導入することで、地域にテーラーメイドな土壌・作物系モデルを構築します。

田中 ひかり

神経変性疾患におけるYAP依存的ネクローシスに至る運命決定の解析

研究者
田中 ひかり

東京医科歯科大学
難治疾患研究所
講師

研究概要

神経変性疾患における神経細胞死は治療可能な段階(可逆的段階)から治療不可能な段階(不可逆的段階)に進行する重要な病態過程であり、この前兆を知り制御することは極めて重要です。本研究はYAP依存的ネクローシスに焦点をあて、これに至る運命予測をAI 技術を用いて行ってきます。これにより人の目では捉えられなかったYAP依存的ネクローシス発生前の1細胞内動態を明らかにし、それを阻止することを目標とします。

辻 晶

Developing datasets of infant behavior that are exploitable by AI

研究者
辻 晶

東京大学
国際高等研究所
講師

研究概要

乳幼児は現在のAIに比べて優れた速さと効率で世の中を学ぶことができます。乳幼児の発達から得る洞察をAI研究へ実装するには計算アプローチが可能な方法で乳幼児の行動を測定することです。現在の大きな問題点は(1)収集可能なデータ量の限界(2)効率的な自動分析の未確立です。 本研究では乳幼児の視線行動の標準化された大規模なデータを収集し、自動分析の環境構築に向けたソリューションを提案します。

中山 功太

31言語におけるFG-NER・ELシステム開発

研究者
中山 功太

筑波大学
理工情報生命学術院システム情報工学研究群
大学院生

研究概要

本研究では、深層学習を用いた多言語FG-NER・ELシステムの開発を行います。しかし本システムの学習に必要なデータセットの作成は非常に高コストであるため、Wikipediaのリンク構造を活用した低コストながら高品質なデータセットの構築を目指します。構築における問題点の一つは多くの偽陰性ラベルの混在であり、システムの精度を損ないます。本研究では真陰性ラベルに着目し、偽陰性ラベルの影響を軽減します。

長谷川 達人

水産業のビッグデータ化に向けた汎用的な漁獲量認識基盤の開発

研究者
長谷川 達人

福井大学
学術研究院工学系部門
准教授

研究概要

本研究では、大規模な漁獲物画像データセットの整備、撮影から認識を一手に担うAIモニタデバイスのハードウェア開発、様々な漁場で頑健に動作する魚種・魚体長・尾数の高精度な認識手法のソフトウェア開発を行います。本研究によって、詳細な漁獲量情報のビッグデータ化を図り、水産業の業務改善及び水産研究の革新を目指します。

プンポンサノン パリンヤ

フード3Dプリンターと人工知能を使用して食事体験を向上させる計算フードテクスチャ

研究者
プンポンサノン パリンヤ

大阪大学
高等共創研究院・大学院基礎工学研究科
助教

研究概要

本研究では、食の持続可能性の観点から、食品3Dプリントにおける食感表現の向上に取り組みます。まず、物理的な食感がヒトの知覚・感性に与える影響を調査するとともに、食品3Dプリンタで再現できる食感空間を定義します。次に、所望の知覚・感性を誘発する食感を、環境負荷の低い代替食材で3Dプリント再現するための計算モデルを構築します。これらの技術は、摂食障害に苦しむ方の食体験を向上させることにも寄与します。

村島 基之

AI技術活用によるトライボフォーキャスト学問分野の創成

研究者
村島 基之

東北大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

本研究では、AI利用を前提とした連続測定、高解像度測定、高精度同期測定を柱とした摩擦面光学画像連続測定摩擦試験機を開発します。得られたデータを経時変化を捉えるニューラルネットワークに学習させることで高精度摩擦予測を達成します。加えて、Grad-CAM等の評価アルゴリズムを用いて摩擦予測に重要な光学画像の特徴を解析することで、従来困難であった創発性とヒステリシスを組込んだ摩擦モデルの構築を行います。

山田 寛章

民事紛争のための説明可能な解決結果予測モデル

研究者
山田 寛章

東京工業大学
情報理工学院
助教

研究概要

本研究は自然言語処理技術を用いて与えられた事実関係から民事紛争解決結果を予測し、その根拠や説明を併せて出力できるシステムの開発を行います。そのために、紛争解決結果の予測タスクを定式化し、システムの構築および評価に必要なデータセットを作成します。本研究成果により、専門家・非専門家の両者にとって民事紛争における解決の見通しや争点の整理が容易になり、民事紛争解決の効率化・迅速化に寄与します。

吉田 壮

異なる価値観を融合する検索基盤の創成

研究者
吉田 壮

関西大学
システム理工学部
助教

研究概要

本研究では、多様な価値観が存在するソーシャルメディアから正確な情報とその全体像を解釈可能な形で公平に提供する検索技術を創成します。虚偽情報を含まないランキングの生成、および多様な視点の情報を1ページに収まるランキングへ俯瞰的に並べる検索多様化技術を構築します。さらに、キーワードとの合致以外の関連情報で検索結果を拡張することで、検索に加えられたバイアスの発見的可視化を目指します。

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